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【わたしの学びの集大成】文学部 史学科4年(2021年3月卒業)K.A.さん

卒業論文を完成させるまで

<はじめに>
本学の学びの特色である少人数教育。学生は教員や学友たちと向き合い、議論や考察を重ねながら自分の研究テーマを見つけます。そしてゼミの授業を通して調査や文献探索の精度を高め、さらには表現の手法を磨き、論文やレポートをまとめることを4年間繰り返します。
4年生全員に必修となる卒業論文・卒業実験・卒業制作は、自身が取り組んできた学びの集大成です。

では具体的に「卒業論文を書く」とはどのようなことでしょうか。大学1年次ではまだまだ遠い未来のこと、そして途方もなく大きな挑戦に思え不安を感じる学生もいるかもしれません。
ここでは、卒業論文を提出した4年生の体験を一つご紹介します。
少人数教育
卒業論文

卒業論文 テーマを決める、ゼミ・研究室を決める

卒論では『西大寺田園目録』という史料を主に用いて、鎌倉時代において戒律興隆運動や慈善救済事業に邁進していたとされている叡尊教団の実態について書きました。
ゼミに所属するまでは「叡尊教団」や『西大寺田園目録』についてよく知りませんでしたが、テーマ決めの参考にするために日本中世史の先行研究をいくつか読んでいた時に、叡尊教団についての記述が目に留まり、彼らの活動に非常に興味をもったためこのテーマで研究を行いました。

提出までの長い道のり

前期は、ひたすら卒論に関連する先行研究の読解や史料の整理を行いました。この作業が独自の考察を示すうえでの大事な土台となるので、本の題名・大まかな概要・重要な部分などをメモしたり、史料を年号ごとに表にまとめたりするなどして、時間をかけて丁寧に行うことが大切だと思います。細かくて地道な作業ではありますが、初めのうちから意識してやっておくとよいです。
夏休みごろには、卒論テーマに関する知識も増え、少しずつ考察を立てられるようになったため、章立てを考えはじめました。私のゼミでは9 月に中間報告会があったので、そこで卒論の構成や大まかな内容について発表し、卒論の方向性を再確認するとともに今後の課題を整理しました。
後期(10 月まで)は、中間報告会で見つけた課題を基に、先行研究や史料の見直しや考察を深めていき、卒論内容のさらなる充実を目指しました。11 月には卒論を書く下地が整ったため、執筆作業に専念し始めました。最初は適当な言い回しが思い浮かばなかったり、引用の仕方が分からなかったりと少し書くだけでもかなり時間がかかりましたが、先生の添削をいただきながらひたすら書くことによってコツを掴んでいきました。頭だけで考えようとせず、分からないなりにも手を動かしてみることが大切だと思います。計画的に進めることが出来た甲斐もあって12 月の頭には原稿が完成したため、締め切りに余裕をもって出すことが出来ました。

就職活動と卒論執筆の両立

私は公務員試験を受けていたのですが、コロナの影響で試験日程が延びたため前期が丸々筆記試験期間と重なってしまいました。筆記試験は科目がかなり多く、直前期ということもあってたくさんの時間を筆記の勉強に割かざるを得ない状況の中で、卒論との両立はかなり厳しかったです。もちろん全く卒論に触れないわけにもいかないので、自分なりに両立の仕方を工夫しました。
私の場合は、卒論に重きを置く日(週に1、2 日)を決めて、その日は早い時間に勉強を切り上げて卒論に関することをするようにしていました。一気に集中してやることで効率も上がりましたし、頭を切り替えることでリフレッシュにもなりました。面接試験が始まってから(夏休み以降)は、余裕が出来たので卒論にかける時間を徐々に増やしていきました。
就職活動中はどうしても意識がそちらに向きがちですが、卒論も大事なので自分にとって負担にならない方法で両立を目指してほしいです。

卒論を書き上げて今思うこと

卒論執筆を通して、計画的に物事を進める力や伝えたいことを的確に表現する力などを鍛えることが出来ました。試行錯誤を重ねて研究してきたことが一本の論文になった時の達成感はとても大きかったです。
学問に対して長い時間をかけて向き合うことはこれでおそらく最後になるので少し寂しい気もしますが、この経験で得たことは一生残るので、まずは新社会人として少しでも活躍するための基盤として生かしていきたいと思います。