\JWU PR アンバサダー/ 社会で活躍されている卒業生インタビュー 第5弾!

2025.05.08

【卒業生インタビュー】日本赤十字社 鴫原美穂さん(人間社会学部現代社会学科2012年卒)

こんにちは。JWU PR アンバサダーです。

日本女子大学には、さまざまな分野で活躍されている卒業生がいらっしゃいます。そこで、昨年度から5回にわたり、「社会で活躍されている卒業生インタビュー」をお届けしています。本企画では、私たちがインタビューをとおして日本女子大学で学ぶ意義や、卒業後の社会での活躍を深掘りしていきます。いまのお仕事内容から、大学時代でしかできない学びや経験、学生のときにしておいた方がいいことまで、ここでしか聞くことのできない貴重なお話を伺いました。

第5回は、本学人間社会学部現代社会学科を2012年に卒業され、現在日本赤十字社東京都支部にお勤めの鴫原美穂さんに、JWU PR アンバサダーのE.YS.N2名がお話を伺いました。

20253月時点の情報です

 


—— 赤十字社とはどのような活動をされているのでしょうか?
鴫原さん:赤十字は、世界192の国と地域にある世界最大の国際的な人道機関です。主に紛争や自然災害などで被害を受けた方々に対して人道支援活動を行っていますが、国ごとに事業内容は異なります。私が働いているのは日本にある赤十字で、日本赤十字社では、災害時の救護活動はもちろん、献血活動やいただいた血液から輸血用血液製剤をつくり医療機関へ供給する事業、救急法等の講習普及、ボランティア活動の推進なども行っています。世界で大きな紛争や災害があった際には、世界中の赤十字が医療支援や避難の支援を連携して行うこともあります。
いつでも出動できるように地下に待機している緊急車両
いつでも出動できるように地下に待機している緊急車両

—— 日本赤十字社のお仕事を選んだきっかけを教えてください。
鴫原さん:就職活動に向けて自分の生き方や、社会との関わり方を考え始めていた大学2年生の3月に東日本大震災があり、地元が被災しました。幸い家族や自宅に大きな被害はありませんでしたが、被災地で赤十字社の方々が活動している姿を間近で見る中で、こうした働き方ができたらいいなと興味関心を持ちました。

—— 就職活動で大切にしていたことはありますか。
鴫原さん:自分の性格上、公共の福祉や公になる仕事の方が合っていると思っていました。そのため、就職活動の際も会社の考え方や方針と、自分が考える社会との関わり方がマッチしているか考えることは大切にしていました。
就職すると学生時代には想像できていなかったさまざまな業務に出会いますが、自分の軸を持って就職活動ができると、社会との関わりを実感し、納得感を持って仕事に取り組むことができると思います。

—— 現在のお仕事内容ややりがいを感じたエピソードについてお聞かせください。
鴫原さん:現在は、会計業務の担当者として、ご寄付いただいた資金の管理・運用や、予算、決算の取りまとめなどを行っています。
赤十字社は、事業が幅広く、さまざまな仕事を経験できることがおもしろいと感じます。異動の度に転職したのかなと思うほどで、さまざまな経験ができるのはこの仕事の大変な面でもあり、良い面でもあるのではないかと思います。
やりがいを感じたエピソードは2つあります。1つ目は寄付部門の仕事をしていたときです。「赤十字の名前は知っているが何をしているか分からない」と言われることが多かったことから、寄付募集資材の表現の仕方を一新し、活動内容を一連の流れでわかりやすく表現したことがありました。地域で募金活動に協力してくださるボランティアの方から、「こういうのが欲しかった!」と言ってもらえたときに、赤十字社の活動を一般の方へ知ってもらえる活動に貢献できたことに対して、とてもやりがいを感じました。

2つ目は、2024年の1月の能登半島地震が発生した際に、東京都支部から約3ヶ月間、救護班を現地に派遣したときのことです。私は東京に残り、現地の職員が救護活動に専念できるよう、必要経費の管理や、宿泊場所の確保などの後方支援に取り組みました。救護班の職員が全員無事に帰ってきたときにとてもほっとしたのを覚えています。

備蓄倉庫には救護所を開設できる備品が常備されている
備蓄倉庫には救護所を開設できる備品が常備されている

—— 大学で学んだことが今のお仕事に繋がっていることはありますか。
鴫原さん:私は寄付部門での経験をとおして、寄付が社会を変えるためのお金であると強く実感しました。寄付を募るには、社会情勢や今の経済状況、寄付をしてくれる方々の関心事を深く分析することが必要です。どのような支援者がどのような課題に共感し、寄付をしてくれるのか、その共通点を探り、どのような訴求を行えば活動への共感を得られるかを考えながら取り組みました。このように現代社会を多角的に捉え、世の中で起こっている事象をしっかりと理解したうえで解決策を模索する力は、現代社会学科での学びをとおして培ったものだと感じています。

—— 日本女子大学を志望した理由を教えてください。
鴫原さん:家族からの紹介です。受験先をいくつか探しているときに、兄から合いそうな大学があるから受けてみたらどうかと紹介されて初めて知りました。地元を出て東京の大学を志望することに不安はありましたが、その後パンフレットを読み学科を調べる中で、社会の授業全般が好きで、現代社会学を広く学びたい私に合っていると思い志望しました。
自身の性格的に学生数が多く、大規模な大学よりは、少人数で手厚くサポートしてもらえる大学が合っていると思いました。日本女子大学は少人数で、かつ総合大学という点が、進学の決め手だったと思います。

—— 現代社会学科を選んだ理由を教えてください。

鴫原さん:大学受験の際はまだ学びたいことが明確に決まっていなかったこともあり、現代社会学科なら社会について幅広く学べそうだと思ったのが1番の理由です。また、人間社会学部には現代社会学科のほかに、文化学科、社会福祉学科、教育学科、心理学科があり、社会に関するさまざまな授業を幅広く受講できるかなと思ったのも理由の1つです。

—— 現代社会学科で学んだからこその強みはありますか。
鴫原さん:私が現代社会学科でよかったと思ったのは、研究テーマに縛られず好きなことをとことん学べたことです。私は尾中文哉先生の比較社会論のゼミ(研究室)に所属していましたが、日本と韓国やタイなどの海外との比較からピクトグラムに至るまで、研究できるテーマが幅広かったのを覚えています。自分次第でいくらでも可能性を広げられる学科なのだと思います。

—— 卒業論文の内容を教えてください。
鴫原さん:今お話した、尾中文哉先生の比較社会論を研究するゼミ(研究室)で、日本と韓国における人との距離感の違いについて研究しました。両国は文化的に似ている部分が多いにもかかわらず、人との接し方や距離感には大きな違いがあります。その理由を、韓国の2つの大学を訪れてフィールドワーク調査を行うなどして、言葉の文化の違いなどから分析しました。

—— アルバイトやサークルなどの課外活動について教えてください。
鴫原さん:大学2年生から卒業まで百貨店の洋菓子売り場でアルバイトをしていました。言葉遣いや、笑顔の作り方などを学ぶ研修は就職活動にも役立ったと感じましたし、とても良い経験になりました。売場に立てば社員もアルバイトでも接客に差があってはならないというプロ意識を学ぶ機会ともなりました。また、小学校からテニスを習っていたので、サークルは他大学のテニスサークルに入っていました。他大学の人と知り合って、交友関係が広がりましたし、初めてキャプテンとしてリーダー的な役割を担えたことは、とてもいい経験になりました。

—— 現代社会学科の雰囲気、友人関係を教えてください。
鴫原さん:みんなが穏やかで、お互いの価値観や違いを否定せず、認め合える雰囲気がありました。真面目な人が多く、芯がしっかりしていて、遊びも勉強も全力な友人が多かったと思います。女性しかいないからこそ性別を意識せずに、一人の人間として学びと向き合える環境はとても居心地が良かったです。

—— 大学生のうちにやっておくべきことを教えてください。
鴫原さん:人との出会いや海外での経験など、大学の勉強以外で得られる学びもたくさんあると思うので、旅行やサークル活動なども楽しむことをおすすめしたいと思います。私はもともと留学を考えていなかったのですが、卒業論文のテーマが日本と韓国についてだったので、自分で韓国語の勉強をして、卒業式の1ヶ月前に韓国に短期留学に行きました。留学先で違う価値観に触れたことはとても貴重な経験でした。また、卒業してから振り返っても大学の授業は魅力的なものが多かったなと思うので、ほかの学科の授業や、普段履修しないような授業も余裕があれば受講してみてほしいと思います。
—— 日本女子大学のおすすめポイントを教えてください。
鴫原さん:学生数が多すぎないからこそ先生と距離感が近くフランクに話すことができ、私にとって規模感が合っていたなと思います。また、就職活動のときに学内で模擬面接を練習できたのがすごく良かったです。キャリア支援課には先輩方の情報など就職活動に関わるさまざまな情報があり求人を見てご紹介いただけるものもあったので、就活のときにすごく助かりました。そして、寄付や献血に協力してくださる方で日本女子大学の卒業生にお会いすることも多く、歴史が長い大学であることを、実感します。歴史が長く、多くの卒業生を輩出していることも日本女子大学の良いところだと思います。

—— 日本女子大学でよかったなと思うポイントを教えてください。
鴫原さん:進学して間違いなかったと思っています。大学は合格することがゴールではなく、入って何をしたかが、卒業後の人生に大きく影響すると思います。大学でさまざまな勉強をして、自分が好きなことをテーマに、とことん追求して卒業論文を書けるので「ちゃんと学びきったな」と実感して卒業する人が多いのかなと思います。

—— 卒業論文が必修だからこそ自分の学びを深め、集大成として実感できる点が大きな魅力ですよね。鴫原さんにとって日本女子大学はどんな存在ですか。
鴫原さん:自分を知ることができた場所だったと感じます。私は学びたいことが明確にあって入学したわけではなかったですが、大学での4年間をとおして、自分自身の興味のある分野や考え方を認識することができました。また、それを受け止めてくれる友人や先生がいる環境で大学生活を送れてよかったなと思っています。

—— 最後に後輩に向けてメッセージをお願いします。
鴫原さん:大学の学びは、資格を取るなど直接仕事に役立つようなものだけでなく、考え方や物の見方などが養われ、社会に出て自分が気づかないうちにでも役に立っているものもあると思います。
就職活動中は、急に人生がスピードアップする感覚がありました。さらに社会にでると、想像しているよりも社会は広く、さまざまな人がいてそれぞれの生き方があることに気が付きました。就職してもいい、起業してもいい、学び直してもいい、どれも正解だと思います。自分の人生は、自分の足でしか歩けないので、自分が選んだ道で起こった失敗や後悔は、今後の糧となる経験になると思います。ですので、変化や失敗を恐れずに、自分で選んだ道を進んでいってほしいなと思います。

【インタビューを行ってみて】
人間社会学部 現代社会学科1年 S.N
同じ現代社会学科で学びを深められた、卒業生の鴫原さんにインタビューできたことは、私にとって貴重な経験となりました。私は大学1年生なので、就職活動や社会に出ることについて深く考える機会はまだ多くありませんが、これからは鴫原さんのように、日々大学生活の中でひたむきに努力を続けることで、価値観や考え方の広がりを持てるようになりたいです。そして、日本女子大学現代社会学科という恵まれた学びの環境を最大限に活用し、残りの大学生活をより有意義な時間にしていきたいと思います。

文学部 英文学科3年 E.Y
微々たる金額ではありますが私自身が日頃から慈善団体等に寄付を行っていることもあり、今回のインタビューは深い関心を持って臨みました。
インタビューに答えていただいた鴫原さんは穏やかで柔和な雰囲気の中に、真摯で凛としたお人柄が感じられる方でした。寄付を行ったり、行うか考えたりした際に「自分のお金はどんな風に使われているのか」と考えたことがある方も多いと思います。
実際に鴫原さんも、その疑問に答えるためにお金の流れを可視化した図やパネル等を制作しておられました。
有事の際には赤十字社さまをはじめ、私たちのために昼夜を問わず駆けつけ、心身を尽くし、支えてくれる方々がいます。それは決して当然のことではありません。顔も知らない誰かの痛みを想い、助けたいと思う心で成り立っています。
寄付はまだ出会ったことのない誰かの生命、そしてその未来を守るものです。
この記事が、皆さんの寄付への「あと一歩」を後押しする存在になれば幸いです。