食で新たな世界を拓く卒業生の今

2025.08.01

【イベントレポート】オープンキャンパスで食科学部卒業生によるトーク企画を開催

左から松尾さん、西形さん、長井さん、富沢さん
左から松尾さん、西形さん、長井さん、富沢さん

6月15日(日)、オープンキャンパスを目白キャンパスで開催しました。今年も各学部・学科が趣向を凝らした多彩なプログラムで来場者を迎えましたが、中でも毎回注目を集めるのが卒業生によるトーク企画です。今回は食科学部、理学部、文学部の3学部が、それぞれの学部から社会に羽ばたき活躍する卒業生を招いたトーク企画を実施しました。

2025年度4月に開設した食科学部の前身となる家政学部食物学科の卒業生によるトーク企画では、食科学科(旧:食物学専攻)と栄養学科(旧:管理栄養士専攻)の学びが、現在の仕事にどう生かされているかを、在学中のエピソードを交えながら等身大の言葉で語っていただきました。

「午後の紅茶」の商品開発の最前線で活躍
長井美保さん(キリンビバレッジ株式会社、家政学部食物学科食物学専攻2021年卒)

キリンビバレッジ株式会社で「午後の紅茶」の商品開発を担当する長井さん。高校時代から食品メーカーへの就職を志し、食について多角的に学べる日本女子大学に進学されました。食物学科は、栄養学や生物学、食文化など食の幅広い領域について学べ、将来食のスペシャリストとして活躍できるチャンスがあると語ります。「とくに印象に残っているのは調理学実習です。料理を科学的視点から嗜好性を高める方法を学びました。最終的にはコース料理を自分で考えて作ることができるようになりました」と、当時作ったコース料理の画像とともに大学時代を振り返りました。

現在は、紅茶文化をさらに日本で定着させるべく、味の設計から抽出方法、香りのバランスまで細かく調整し新商品の開発を手掛ける日々を過ごす長井さん。無糖紅茶の新商品の開発を例に、紅茶の渋みや飲みにくさを低減し、よりすっきりおいしく飲める紅茶を追求した経験を語っていただきました。

商品開発の現場の第一線で活躍される長井さん
商品開発の現場の第一線で活躍される長井さん

食の専門家としてお客様の課題を解決
富沢千翔さん(日清オイリオグループ株式会社、家政学部食物学科食物学専攻2023年卒)

日清オイリオグループ株式会社の加工食品開発課で活躍されている富沢さん。食科学科では、食味評価研究室での官能評価技術の習得や、日本食の新たな魅力を伝える企業との共同プロジェクトにも参加し、実践的な学びを深めました。

また、学生生活や私生活での悩み・疑問など、同じ立場の学生が相談に乗って支援することを目的としたピア・サポーターなどにも積極的に参加。多彩な経験が充実した大学生活を彩りました。

現在の仕事では、スーパーでコロッケなどの惣菜を作る際に使われる業務用油脂の開発を手掛ける富沢さん。お客様の声をじっくり聞きながら、「もっと美味しく、もっと使いやすく」というニーズに応える製品作りに取り組んでいます。例えば、時間が経っても衣がサクサクのコロッケを実現する油の開発など、食べる人の笑顔を想像しながら日々試行錯誤を重ねているそうです。

大学での学びは、食に関する科学的な知識だけでなく、食文化や盛り付けなどの見せ方まで幅広く学べたことが、現在の仕事に生きているそうです。実習や少人数の授業でのきめ細かな指導、そして仲間たちとの交流が、学びの楽しさと自信につながったと語りました。

業務用製品の開発現場における顧客ニーズへの対応について語る富沢さん
業務用製品の開発現場における顧客ニーズへの対応について語る富沢さん

医療現場で“食”の力を届ける管理栄養士
西形ゆいさん(埼玉医科大学病院、家政学部食物学科管理栄養士専攻2018年卒)

特定機能病院である埼玉医科大学病院で管理栄養士として働く西形さんは、日本女子大学での学びを生かし、医療の現場で“食の力”を届けています。病院では、食事の提供業務と入院患者の方への栄養管理や指導に携わっている西形さん。直営給食の病院であるため、献立作成から食数管理、検品、配膳やアレルギー対応まで幅広く担当されています。患者様1人ひとりの状態に合わせた食事を提供するため、緊急入院による変更対応や細かな調整も欠かせません。

思い出に残っているのは、敬老の日の行事食を担当したときのこと。献立の作成や準備は大変でしたが、食事に添える患者名を記載した紙の裏面に感謝のメッセージを返してくださった患者様がいたとき、「やってよかった」と心から思えたそうです。

日本女子大学での学びは、講義だけでなく実験や実習が充実しており、そこで得た知識が今の献立作成に直接生きているといいます。3年次には給食経営管理実習で100人分の大量調理を経験し、厨房の動線をレゴブロックで確認するなど実践的な工夫も経験。文化祭である目白祭では、学生だけで計400食のランチ提供を行い、責任者としての自信にもつながりました。

「食事療法や栄養療法はすべての患者様に関わります。信頼できる根拠のある情報をもとに、患者様に寄り添っていくことが管理栄養士の大切な役割だと思います」と語りました。

病院給食と臨床栄養の両輪を担う仕事のやりがいを伝える西形さん
病院給食と臨床栄養の両輪を担う仕事のやりがいを伝える西形さん

アスリートを支える食の現場から
松尾夏海さん(エームサービス株式会社、家政学部食物学科管理栄養士専攻2020年卒)

プロサッカーチームの専属管理栄養士として、選手の食事づくりと栄養管理を担っている松尾さん。松尾さんが働くエームサービスは、企業や病院、学校など多様な場所へ給食提供を行っており、現場での判断力と柔軟な対応力が求められます。

「アスリートの食事は、栄養バランスはもちろん、練習や試合後に素早い疲労回復ができる内容にすることが重要です。疲労回復を促す主食・主菜・副菜・汁物・果物などをバランスよく揃えた定食スタイルが基本です。試合前日には「ゲン担ぎ」として、相手チームのホームスタジアムがある地域の郷土料理をヒントにした献立を出すなど、遊び心も加えながら、しっかりとエネルギー補給ができるメニューを提供しています」

こうした毎日の業務を支えているのが、日本女子大学での学びだと松尾さんは話します。とくに、給食経営管理論と実習では、スチームコンベクションなど本格的な調理機器を授業内で使用し、大量調理のルールや動線を考えた厨房内のシミュレーション、ポップやお品書きの作成、提供まで、実践的なスキルを総合的に学ぶことができました。実習では実際に企業の社員食堂に赴き、栄養バランスを考えた献立を立て、社員の皆様に販売する経験も積んだという松尾さん。現場を体感することで、「食の仕事」の責任と楽しさを学んだと話します。

「大学では、専門的で面白い授業がたくさんあります。少人数の環境で、先生方も1人ひとりを丁寧に見てくださるので、安心して学ぶことができました。受験勉強は大変かもしれませんが、ぜひ未来の自分を楽しみに、乗り越えてください」

アスリートに寄り添う食事づくりの工夫を紹介する松尾さん
アスリートに寄り添う食事づくりの工夫を紹介する松尾さん

それぞれのフィールドで奮闘する先輩たちの等身大の姿に、高校生たちは真剣に耳を傾けていました。

オープンキャンパス情報

2025年8月2日(土)
家政学部・理学部・建築デザイン学部・食科学部対象 »詳しくはこちら 

 2025年8月3日(日)
文学部・人間社会学部・国際文化学部対象 »詳しくはこちら

(事前申し込み制)