トピックス

卒業生

仕事を続けて次の世代へ

公認会計士、プロデューサー
家政学部家政経済学科卒業
塩原史子さん

学園ニュース VOL.252

公認会計士にして、映画やドキュメンタリー番組のプロデューサーとしてもご活躍されている塩原史子さん。全く異なるお仕事をされているようにも見えますが、両分野の仕事に対する姿勢には、一貫して「自分らしく」あろうとする姿がうかがえました。仕事に家庭に子育てと、お忙しい毎日を過ごすなかで今回のインタビューに快く応じてくださり、本学の生徒に向けて熱いメッセージをいただきました。

個々を認めてくれたからこそ得られた「自信」

本学の附属豊明小学校から高校までの学校生活では、のびのびと自由に好きなことをさせていただきました。先生方が生徒一人ひとりの個性を認めてくださり、これが後に「自分らしく」でいいのだという「自信」につながりました。公認会計士の資格合格者には優秀な男性が多いですが、その中で女性であることに気後れせず、「自分もやれる」と思えたこの自信こそが、試験に合格できた一因であると思います。

  • 塩原さんプロデュ ースのドキュメン タリー映画。 被ばく3世の女性 の目を通して原子 力の現在、そして 女性の生涯への影 響を描く。
    塩原さんプロデュースのドキュメンタリー映画。被ばく3世の女性の目を通して原子力の現在、そして女性の生涯への影響を描く。
  • カンヌで開催された MIPDOC2016 で プレゼンテーションする塩原さん
    カンヌで開催された MIPDOC2016 で プレゼンテーションする塩原さん

これまでの経験が必ず次につながる

大学入学後は「何か一つのことに集中して取り組みたい」と思いました。そこで、公認会計士として楽しそうに仕事をしていた父に影響を受け、この資格の取得を目指しました。一方、さまざまな国の言葉が好きだったので言語学者や脚本家という仕事にも憧れていました。その気持ちを忘れずにいたこと、また公認会計士という能力を、クリエイティブな仕事のビジネス面に生かせるのではと思ったことから、後にプロデューサーという仕事に取り組むことになりました。
一つ一つ丁寧に取り組み、積み重ねてきたことは、たとえ違う分野に行ったとしてもゼロになることはありません。今まで培ってきた個性や実績は次に生かせるのだと思います。

後世へとバトンを渡していきたい

女性としていろいろな人生の選択肢がある中で、私は「一生仕事を続ける」ことが大切だと思います。
女子教育の道を切り開いてくれた成瀬仁蔵先生や、その後、多方面でご活躍されている先輩方がいたからこそ、私も仕事をあきらめず続けることができたのです。今度は私が次世代へとバトンをつなげていけたらと思います。

プロフィール

塩原 史子(しおばら ふみこ)さん
附属豊明小学校から本学に学び、1999(平成11)年3月家政学部家政経済学科を卒業。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻製作領域修了(映像学修士)。本学在学中に公認会計士二次試験合格後、新日本監査法人国際部(Ernst & Young International)に勤務。2002(平成14)年から塩原公認会計士事務所副所長。2005(平成17)年からは、映画を主軸とする各種コンテンツの企画・プロデュースにも携わる。現在ドキュメンタリー映画「アトムとピース」がシアター・イメージフォーラムにて公開中。http://atomtopeace.com/

インタビューを終えて

家庭と仕事の両立について、塩原さんは「自分が仕事を持っていれば、相手の経済的な条件に影響されずパートナーを選ぶこともできる」とお話されていました。両立のために意識的に工夫されている点や役割分担は特になく、お互いを本当に思いやる気持ちがあればこそ、それが可能なのだというお話でした。女性として、職業人として、とても素敵な塩原さんのお話をうかがえて、大変有意義な時間でした。

●取材・文・学生記者 
理学研究科物質生物機能科学専攻博士課程前期1年 加瀬央子