北海道平取町が未来に伝える「地域のアイヌ文化」
2025.05.01

本学は2021年8月に、北海道日高管内7町(日高町・平取町・新冠町・新ひだか町・浦河町・様似町・えりも町)、日高町村会及び北海道日高振興局と2021年に「相互協力に関する協定書」を締結しました。
その協定の一環として、2024年11月26日(火)に家政学部被服学科の森理恵(もりりえ)教授が担当する「染織文化史」にて、北海道平取(びらとり)町立二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館とのコラボ授業を実施しました。
オンライン見学
平取町立二風谷アイヌ文化博物館
本学百年館低層棟5階に学生が集まり、まずは二風谷アイヌ文化博物館の展示をオンライン見学しました。二風谷アイヌ文化博物館からライブ映像を届けてくださったのは、学芸員である廣岡絵美(ひろおかえみ)さんです。特別展「沙流に伝わるアイヌの着物の継承 —想いと技と—」から常設展まで、展示内容を撮影しながら解説してくださり、実際に博物館見学をしているような体験ができました。
二風谷アイヌ文化博物館は「現代にアイヌ文化をうけつぎ、新たな伝統の創造をめざす」ことを掲げた博物館です。重要有形民俗文化財「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」をはじめとしたアイヌの民具、重要文化的景観にも選定されたチセ群のほか、数多くの視聴覚資料、関係図書等が納められており、今回の授業ではそれらの展示品をとおしてアイヌの伝統を多面的・専門的に教えていただきました。
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提供:平取町立二風谷アイヌ文化博物館
講義で詳しく学ぶ
アイヌ文化とその衣類
展示を紹介いただいたのち、廣岡さんにオンライン講義も実施いただきました。アイヌは北海道及び周辺域(千島列島、樺太、東北北部など)に先住してきました。諸説ありますが、近世の記録にみられるようなアイヌの暮らしは12~13世紀頃(鎌倉時代)から徐々に形成され始め、独自の言語や文化、信仰が今日まで継承されてきています。そうしたアイヌ伝統文化が色濃く残るのが平取町であり、明治時代以降、国内外から多くの研究者が訪れています。
平取町とアイヌ文化の概要を学んだのち、アットゥシ(オヒョウニレ等の木の皮の織物)やチカラカラペ(直線経ちの布でつくる切伏模様の上に刺繍を施した木綿衣)などをはじめ、アイヌの独自の衣類について解説いただきました。おもに儀礼用の衣類に施されるアイヌ刺繍は、「虫食いの跡」、「魔除け」、「特に意味はない」など地域や個人によって解釈が異なるそうです。
「アイヌは、他民族と交流をしながら独自の文化を築いてきました。今回は「染織文化史」の授業として被服に着目しましたが、その他にも歴史やアイヌ語、伝統芸能など、さまざまな切り口から興味を広げることもできます。」(廣岡さん)
今後も日本女子大学では、地域や企業と連携し、学びを深めていく取り組みを進めてまいります。