文京区における幼児の運動意欲や体力向上を支援
2025.03.31

本学の社会連携教育センターと家政学部児童学科は、文京区教育センターが取り組む「幼児の体力向上推進事業」に連携協力しています。
この事業は、児童学科の杉山哲司(すぎやまてつじ)教授と澤田美砂子(さわだみさこ)准教授が担当となり、前期に青柳幼稚園や本駒込幼稚園など区内5つの幼稚園を訪れ、園庭や固定遊具、園児の実態について調査を行い、報告書を制作。後期は、幼児の体力の維持向上に係わる課題解決に向けた支援の方法について、報告書を元に各園によってアレンジした講義や研修会、教職員への実技講習を実施しました。来年度は後楽幼稚園や湯島幼稚園など新たに5つの幼稚園でも同様の取り組みを実施する予定です。

担当した先生方からのコメント
「文京区の公立幼稚園では運動環境が園により大きく異なりますが、すべての園において先生方が施設全体を最大限に有効活用して、子ども達がとても楽しく運動しています。園によって課題が異なるので事前に園長先生と打合せを行い、「子どもが楽しく運動するための指導について考える」という内容の講義を第一幼稚園および千駄木幼稚園で行い、第一幼稚園では講義に加えて実技講習を実施しました。楽しく運動するためには、その運動の機能的特性に触れること、言い換えると各運動(遊び)特有の楽しさに触れることが大切です。そのための方法を考えることが良い運動指導につながります。運動を「遊び」という視点からみると自発性が重要な要素であり、内発的動機づけと言えます。子どもが夢中になって遊ぶ心理状態は、能力と活動レベルがあっている時に生じます。このことはフローモデルから説明しています。どうしたらフロー体験ができるか、言い換えると楽しく運動できるかについて、実際の運動遊びを例に3つの具体的な方法を提案しています」
(児童学科 杉山教授)
「幼稚園入園までの運動経験が極端に少ない子どもが増えているように思う、幼児期の運動の大切さをご家庭にも理解していただけると良いと思う、などのお話を各園でうかがいました。青柳幼稚園では、乳児期から幼児期初期に獲得した基礎的な運動機能が入園後の運動の発達にどのようにつながるかをお伝えし、動きの連続性や同時性の発達を中心に、これらが運動遊びの中でどのように反映するかお話させていただきました。小日向台町幼稚園では、講義形式で幼児期の運動の発達を概観した後、多様な動きを生み出すサーキット遊びの環境構成について、実際の遊具を用いながら先生方とディスカッションを行いました。本駒込幼稚園では、「なぜ幼児期に運動遊びが必要なのか」と題し保護者向けにお話する中で、幼児期には自分の体を思うように動かす力を育む時期であり、遊びの中で様々な動きを経験してほしいということ、幼児期に思い切り遊ぶ経験は将来の生きる力を育むことにつながること等をお伝えし、冬休みにご家庭の室内でできる運動遊びについて紹介しました。子どもの生活全般において体を動かす時間が増え、体力向上につながることを期待します」
(児童学科 澤田准教授)

本学のボルダリングウォールで体力向上イベントも定期開催中
文京区教育センターと社会連携教育センターは、本学目白キャンパスの第一体育館で、体力向上イベント「クライミングにチャレンジしてみよう!」も定期的に開催しています。本イベントは区内の幼児および小学生の体力向上を目的とし、直近では2024年12月7日(土)に第5回が開催されました。「最初はできなかったけど、がんばるうちに登れるようになって楽しかった」と、参加した子ども達からも好評です。今後の開催予定は文京区の区報等でご確認ください。

今後も本学では、社会連携教育センターを中心として地域や企業と連携し、より地域に根差した取り組みを進めてまいります。