トピックス

卒業生

一瞬の放つ“輝き”を追って

プロカメラマン
家政学部児童学科 卒業
大下桃子さん

学園ニュース VOL.241

強い春風で桜の花びらも舞い始めた4月初め、目白キャンパス近くの大下さんのスタジオを訪ねました。選手の表情や雪の細かさをとらえる、長くて太いレンズが多くあり、これを背負って山に登るそうです。
「写真を撮れば、好きなスキーが続けられると思った」と語る笑顔には「スキーの楽しさを写真で表現していく」という思いが見えました。

好きなスキーの写真を撮っていく

学生時代は幼稚園や小学校の先生になりたいと思っていましたが、高校から続けているスキーに魅了されて写真を撮るようになりました。写真を始めたころに撮った作品が多くの人々の目に留まり、取り上げられたことが仕事にする大きなきっかけとなりました。

“一瞬”にかける

五輪をはじめ国内外の大会に赴き、スキー写真を撮っています。野外撮影が多いので天候に左右されること、15kgを超える機材を一人で背負って山に登るなど大変さもあります。しかし、いろいろな「瞬間」を狙って、輝きを放つような写真が撮れたときは、とてもやりがいを感じます。
撮る際はバランスを考え、その構成を引き立たせる一番よい色や明るさの調節を意識します。また人物主体だけでなく、時には人はシルエットで、雪をメインにした「全体を撮る」こともあります。被写体が転んだり、空気感が変わるようなシーンに遭遇したり。肉眼では見られない選手の表情を望遠レンズでとらえられること、臨場感を伝えることが撮影の良さであり面白さであると思います。

  • 「お、重い…」(スタジオにて三浦記者:右)
    「お、重い…」(スタジオにて三浦記者:右)
  • 臨場感・スピード感が伝わる作品
    臨場感・スピード感が伝わる作品

夢に向かって、辞めないで続けていく

上村愛子選手など、仲良しの選手が試合に臨むときにはこちらも緊張します。山での季節の変わり目を肌で感じたり、さまざまな人と出会ったり、この仕事ならではの楽しさがあるのがずっと続けられてきた理由だと思います。
女性が、世界各地を飛び回るカメラマンとして仕事をするのは大変なことですが「焦らず、できる範囲で続け、辞めないこと」。それが大切だと思います。
学生時代の充実した生活は社会に出ても生きてくるので、皆さんも“夢”を見つけて、それを目標に諦めず頑張ってほしいです。

プロフィール

大下 桃子(おおした ももこ)さん
東京生まれ。日本女子大学附属高等学校、日本女子大学家政学部児童学科1983(昭和58)年卒業。
1989(平成元)年のアルペンスキー世界選手権(Vail,アメリカ合衆国コロラド州)をきっかけに、本格的にスキー写真を撮り始める。以後、スキーワールドカップ・冬季オリンピック・世界選手権などの大会をはじめ、さまざまなスキーシーン、またその他のスポーツやダンスなどを撮影。豊明幼稚園の撮影も行っている。
*国際・日本スポーツプレス協会会員、国際スキージャーナリスト協会会員、若葉会(日本女子大学附属高等女学校・高等学校同窓会)理事

インタビューを終えて

大下さんが撮ったスキー写真はどれも素敵で、躍動感が伝わってきました。実際に持ってみた機材はとても重く、これを持ちながら動くものを撮ることの難しさを感じました。「続けられたのは“楽しい”から」という言葉がすぐ出てきたのが印象的だったので、私もその言葉を言えるように、社会人になったら努力していきたいと思いました。

●取材・文・学生記者
家政学部家政経済学科4年 三浦功子