トピックス

卒業生

出会いから広げるつながりと可能性

有限会社静雲堂 代表取締役
文学部教育学科卒業
中込知野さん

学園ニュース VOL.259

さわやかな秋風がそよぐ10月、六本木の有限会社静雲堂を訪ね、本学卒業生の中込知野さんにお話を伺いました。登場されたその時から颯爽とした姿が印象的で、予定の埋め尽くされた手帳を片手に、何事も手際よく迅速な様子はまさにキャリアウーマン。経験と知識から繰り広げられる言葉一つひとつが、ビジネスの玉手箱から飛び出してくる貴重な宝石のようでした。

社会人の一歩は、シビアな現場で“自発的な段取り”を習得

実家が書店であったこともあり、幼い頃から雑誌や本を読むことが好きでした。大学生時代は、4年間を“社会に見聞を広げることのできる貴重な期間”と定義し、興味関心のある社会活動にはとことん足を運んでいました。将来、自らビジネスを構築していくイメージこそまだなかったものの、ファッション雑誌に対する憧れ強く、ファーストキャリアは出版社でスタートしました。
雑誌の編集は次号、さらにその次の号の発刊に向け、企画や撮影が同時並行で進み、時間に制限のある厳しい世界です。その中で計画的にスケジュールを組み立て、段取りを考えながら仕事をこなすスキルを身に付けました。

  • 経営に関するフォーラムに招へいされ、スピーチを行う中込さん
    経営に関するフォーラムに招へいされ、スピーチを行う中込さん
  • ブックカフェで開催するʻSalon de Seiundoʼ。いろいろな業種の方々が和やかに集う
    ブックカフェで開催するʻSalon de Seiundoʼ。いろいろな業種の方々が和やかに集う

「自分の可能性を拡張していきたい」・・・独立・起業の道へ

雑誌の編集では企画力と、人々の好感度を導く商品を選別する目、プレゼンテーションの技術も鍛えられました。自分が手がけた誌面の経済的効果について配慮していると、次第にビジネスの世界に身を投じたいと思うようになり、独立。企業のサービスや事業内容・商品などを想定した顧客により良いかたちで提供し、最終的な取引に至るまでの調整役を担いました。学生時代に培った行動力によって得られた出会いの数々と、出版社での実績が業界を越えた縁へとつながり、起業が実現しました。

目指しているのは、社会の潤滑油

静雲堂は現在、独創的な手法によって企業の情報発信をサポートし、企業と顧客、企業と株主をつなぐ理想的な関係を創造しています。自分自身のキャリアが素敵な出会いに支えられ、結ばれた人間関係の派生が仕事の幅を広げているように、社会において静雲堂がコミュニケーションの好循環を生み出す潤滑油でありたいと思います。

プロフィール

中込 知野(なかごめ ちの)さん
附属高等学校から本学に学び、1987(昭和62)年3月文学部教育学科(現人間社会学部教育学科)卒業。株式会社婦人画報社(現株式会社ハースト婦人画報社)に入社、「MenʼsClub」「25ans(ヴァンサンカン)」のファッション編集を担当。1992(平成4)年に独立、マーケティング・プロモーションディレクター、ファッションプランナーとして活躍の後、2003(平成15)年有限会社静雲堂を設立。さまざまな企業と社会をつなぐコミュニケーションの総合コンサルタントとして、情報を発信し多様な提案を行っている。ビジネスにおける多彩な活躍を海外でも認められ、2010(平成22)年に米国 Stevie Award Winner大賞受賞。
ホームページ:https://www.seiundo.co/

インタビューを終えて

“数珠つなぎ”という言葉があるように、キャリアは途中での出会いや人間関係の広がりがつながり、作り上げられていくものと感じました。出版社でのご活躍と起業という華々しいキャリアも、全て中込さんご自身の新しい出会いを求め続ける能動的な行動力が切り開いたのではないでしょうか。また、本学在学時に教育学科で学ばれた心理学が、ビジネス上の対人関係において大変役立っているとのお話でした。私も日本女子大学での学びを将来の支えにしていきたいと思います。

●取材・文・学生記者
文学部英文学科4年 尾郷珠子