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自分自身の世界を広げなければ
理学部物質生物科学科卒業栗原陽子さん
学園ニュース VOL.248

8月下旬、千葉県野田市立川間中学校教諭の栗原陽子さんを訪ねました。栗原さんが体験した南極の昭和基地での生活と、現地で行った「南極授業(※)」で生徒たちに一番伝えたかったことを伺いました。(※)衛星回線によるTV会議システムを使用
南極での生活
昭和基地では気象、生物、海氷、地学などさまざまなチームが研究活動をしています。限られた人数の観測隊で生活・研究を進めるためには、全員が分担して業務を行います。教員の私も建築現場に入ります。このように南極での生活ではお互いの協力がとても大切なのです。
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栗原さんが見た南極の風景 -
南極での体験
夏の昭和基地はイメージと異なり、西部劇に出てくる岩場のようでした。岩石の色の影響で金色の水たまりができたり、雪が結晶のまま地面に積もっていたり、宝石のガーネットが岩にくっついていたり。またペンギンが基地に迷い込んできたら、接触をしてはいけないため通過するのを待たねばなりません。南極での日々は知らないことばかりで驚きの連続でした。
南極授業を通してキャリア教育を
私が行った南極授業は、このような南極の自然現象だけでなく、そこで活躍しているさまざまな職業の観測隊員を紹介しました。観測隊員は全員が研究者というわけではありません。先ほども述べたように昭和基地は少人数でありながらいろいろな職業の人がいて、小さな社会として成立しているのです。私自身、他業種の人たちとの生活を通して新しい価値観や仕事を知ることができました。南極授業によって例えば、このような環境で料理を作る人がいるのだなと料理に関心ある生徒につながったり、未知の仕事をおもしろいと思ったり、さまざまな職業を生徒たちに知ってもらいたいと思いました。新しいことを知りたい、が教育の原点。教員だからこそ、たくさんの方ともっと関わって社会を見たいと思っています。そしてそこから子どもたちの世界を広げていきたいと感じています。
プロフィール
栗原 陽子(くりはら ようこ)さん
2002(平成14)年3月、理学部物質生物科学科卒業。在学中は動物行動学を専攻。同年4月より中学校教諭となり、2014(平成26)年4月野田市立川間中学校着任。同年11月から2015(平成27)年3月まで、国立極地研究所の第56次南極地域観測隊に「教員派遣プログラム」のメンバーとして同行(公立中学校教諭として初めて)。川間中学校の生徒たちに「南極授業」を行うかたわら、観測隊員の研究活動や作業にも従事。帰国後も南極に関する理解向上のため、数々の情報発信を行っている。なお、南極地域観測隊に参加した本学卒業生は、栗原さんを含め3名。
インタビューを終えて

●取材・文・学生記者
文学部英文学科4年 茂幾彩音