\JWU PR アンバサダー/ 社会で活躍されている卒業生インタビュー2025 第4弾!

2026.02.20

株式会社日本経済新聞社 葛窪飛鳥さん(文学研究科史学専攻 2007年卒)

こんにちは。JWU PRアンバサダーです。

日本女子大学には、さまざまな分野で活躍されている卒業生がいらっしゃいます。そこで今年度も6回にわたり、「社会で活躍されている卒業生インタビュー」をお届けします。本企画では、私たちがインタビューをとおして日本女子大学で学ぶ意義や、卒業後の社会での活躍を深掘りしていきます。

第4弾は、本学史学科を2005年に卒業、その後大学院文学研究科史学専攻を2007年に修了され、現在株式会社日本経済新聞社にお勤めの葛窪飛鳥(くずくぼ あすか)さんです。いまのお仕事内容から大学時代でしかできない経験、学生のときに絶対しておいた方が良いことまで貴重なお話を、JWU PR アンバサダーの荒木奈々(あらき なな)、井上南奈(いのうえ なな)、小原司(おばら つかさ)の3名が伺いました。
(アメリカ・ニューヨークに出向されているため、オンラインでインタビューさせていただきました。)

—— 現在のお仕事について教えてください。
葛窪さん:現在は、日経アメリカ社(Nikkei America, Inc.)における日経電子版の法人購読の営業と、日経の媒体に掲載する広告営業の2部門にまたがる部門長をしています。部門長として、現地社員のマネジメントはもちろん、自身で手を動かすことも多く、日本経済新聞や日経電子版の広告をクライアントに提案して掲載していただいたり、一緒に企画から作成までをしたりしています。
 

—— 日本経済新聞社に入社する前から広告営業を志望していたのですか。
葛窪さん:はい。日本経済新聞社と聞くと記者職のイメージが強いかもしれませんが、3つの職種別に採用を行っています。記者職のほかに、製作技術、アプリ開発、アプリ開発エンジニア、コンテンツ開発などを取り扱うエンジニア職と、文化事業企画運営、マーケティング開発、広告営業などを行っているビジネス職に分かれており、私は新卒でビジネス職の広告営業に配属されました。その後は、担当する業界が変わったとしても基本的には広告営業の仕事をしています。

—— 日本経済新聞社への就職を選ばれた理由を教えてください。
葛窪さん:大学生の頃から、株式の投資をしていたこともあり、日本経済新聞を日常的に読んでいました。実は当時、新聞社自体は志望の業界ではなかったのですが、読んでいた紙面で日本経済新聞社の職種別説明会の広告を目にしたことがきっかけでした。ちょうど就職活動中だったこともあり、説明会に参加してみたところ、そこで初めて広告営業という仕事を知り、メディア広告は読者と企業をつなぐことのできる仕事だと感じました。誰かが情報を受け取ったときに、何かプラスのアクションにつながる仕事ができればと思い、日本経済新聞社に入社することに決めました。

—— 就職活動において大切にしていたことは何ですか。
葛窪さん:私は、世の中を1ミリでもいいので動かすきっかけが作れる仕事に就きたいと思っていました。入社できる会社は1社だけなので、自分のなかで譲れない部分は軸としてぶらさずに選んでいました。そのため、業種はバラバラでしたが新聞社のほかにも、企業調査や広報に関われる企業も受けました。企業調査であれば世の中の情報の循環を生み出すことができ、広報であれば発信を通じて誰かに情報を届けることができます。新聞社では自身が営業した広告によって発信された情報が、読者にどのように受け取られ、影響を与えたのかをフィードバックし、次の改善に生かすことができます。このように世の中にプラスになる仕事という思いを自分なりの軸にして受ける会社を選んでいました。

—— 広告営業で一番大変なことや、醍醐味・やりがいを感じる瞬間があれば教えてください。
葛窪さん:日本で勤務をしていた際に、不動産や建設業種の企業の広告を担当していました。当時、地方で森林を適切に手入れし、木材の利用を活性化させると同時に、都市部にも木造の建築物を増やし、日本の木造建築を活性化させることを目的とした新たな税制の動きがありました。木造建築物というと「木造住宅の2階建て」を思い浮かべがちですが、実際には保育園や老人ホーム、学校でも活用が進んでおり、利用者のQOL(生活の質)の向上につながるという側面もあります。また、企業側には戸建て住宅にとどまらない、大規模な木造建築を推し進めたいという考えもありました。私はそうした税政策の動きや、企業の新しい取り組み、木造建築の持つ可能性を広く伝え、都市部だけではなく、地方を盛り上げたいと考えました。そこで、クライアントも巻き込み、情報発信ができるイベント企画を立案。協賛企業を複数社募り、イベントとして開催しました。残念ながらイベント開催の1ヶ月前に金融分野に異動となり、本番を見届けることはできなくなってしまったものの、イベントの採録記事が新聞に掲載された日に、協賛してくださったクライアントの方から直接メールをいただきました。そのとき、自分が世の中に発信し、訴えてみたいと思ったテーマに対してお客様に賛同いただき、イベントが形になり、新聞という媒体を通じて多くの人に届いたことを実感しました。もしかすると、数年後には新しい木造建築が生まれるかもしれない……、そう思えたことで、自分の仕事が世の中に変化を起こし、誰かに届いていると感じることができました。このときが、広告営業をやっていてよかったと思った瞬間でした。

—— 日本経済新聞社は一般家庭よりも経営者や管理職の方をターゲットにしていると思いますが、海外ではどのような業界が日本経済新聞に広告を掲載しているのですか。
葛窪さん:広告営業の駐在員がいる拠点は、ニューヨーク・ロンドン・香港・シンガポールです。地域によってクライアントの特性が異なります。私が駐在している日経アメリカ社では、カナダからアメリカ、中南米までをカバーしています。例えば、カナダのある州が、日本企業に対して現地進出し、拠点設立を促したい場合は、州政府がクライアントであり広告主となります。また、最近では企業でDXやセキュリティ分野など、今後マーケットの成長が見込まれる領域において、アメリカのIT企業が日本向けに直接マーケティングを行う目的で広告を掲載するケースもあります。
 

—— アメリカでの日本経済新聞社の位置づけを教えてください。
葛窪さん:アメリカの市場マーケットにおいて、日本経済新聞の知名度は高くありません。現地の金融業界の人が日本経済新聞と聞くと、日経平均株価を出している企業だと思われ、メディアであるとは認識されないことが多いですね。日本に興味がない人にとっては価値を感じにくい媒体ではありますが、日本への関心が高まることで日本経済新聞の情報に価値が生まれてきます。例えば、現在の米中の関係を踏まえ、中国以外のアジアへ投資しようと考えたとき、経済規模の観点から日本が選択肢として浮上します。そうした局面では、日本への関心が高まることで、日本経済新聞の情報の価値も高まることになります。正直なところ、アメリカにおける日本経済新聞そのものの認知ということよりは、「アメリカの中で日本というマーケットがどれだけの価値を持つか」という点と連動していると思います。

—— 現地の購読者はどのくらいいますか。
葛窪さん:現在、日経電子版の契約は日米共に増加しています。アメリカは日本企業の進出が多いため、電子版で日本の情報を引き続き見たいという方もいます。ニューヨーク・タイムズなどの英語メディアでも日本の情報は得られますが、日本でいま、何が問題となっているのかなど、日本のメディアでしか伝えることができない情報もあります。日経電子版の購読者数は増加傾向にあり、英フィナンシャル・タイムズも含めた日経グループ全体のデジタル有料購読者数は、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズに次ぐ世界3位の規模となっています。

—— 現地社員のマネジメントにおいて難しいと感じることがあれば教えてください。
葛窪さん:現地では、アメリカ人1人と日本人複数名のチームで働いています。現地のメンバーはもちろん、日本人でも長年アメリカで働いていると、仕事の進め方やコミュニケーションも現地のスタイルに馴染んでいくため、日本にいたころと同じ感覚で依頼をしても意図がそのまま伝わらないことが出てきます。また、アメリカでは比較的転職が一般的であるため、メンバーのモチベーションを維持できるように、仕事を任せる業務範囲を少しずつ広げるなど、成長を実感してもらえるような環境づくりを意識しています。さらに、ワークライフバランスを重視する文化があるので、個人の力量に合わせて業務量を調整するようにしています。 

—— 大学時代のお話に移ります。葛窪さんは史学科から大学院までをご卒業されていると思いますが、日本女子大学を選んだ理由を教えてください。
葛窪さん:私は附属高校の出身で、史学科に進学しました。もともと歴史に関心があり、就職のことはあまり考えずに学科を考えていました。歴史的建築物にも興味があったので、建築系の学科と迷っていましたが、歴史的な観点で研究がしたいと思い、史学科に進学することを決めました。

—— 大学院に進学しようと思ったきっかけを教えてください。
葛窪さん:実は大学時代にも就職活動をしており、4年次に内定をもらっていました。しかし、卒業論文で研究していたテーマが、まだ研究したい内容の通過点にあり、もう少し続けたい気持ちがありました。当時指導してくださっていた先生に相談し、よく考えた結果、研究を続ける意思を固め、大学院に進むことを決めました。修士論文は「紀元4世紀におけるローマ帝国のキリスト教化」について研究を行いました。

—— 大学生のうちにやっておいた方がいいことはありますか。
葛窪さん:自分の知らないところに行って実際に体験してみる、ということをやってみてほしいです。例えば海外旅行です。いまは簡単に調べたり、バーチャルで体験したりすることができ、効率を考えると現地に行くことは割に合わないと思うかもしれません。しかし、現地で嗅いだ匂いなどは本能的な感覚であり、いまでも体が覚えていたりします。また、できたことやできなかったこと、美味しかった、不味かった、綺麗だったことも感覚として覚えており、リアルな体験はインパクトが残ります。アジアでもヨーロッパでも良いので日本から飛び出し、実際に肌で感じてみてください。
 

—— アメリカに出向する前にアメリカに行ったことはありましたか。
葛窪さん:西洋史ヨーロッパ専攻だったので、アメリカの歴史には縁がなく、アメリカ本土は今回の駐在で初めて足を踏み入れました。私が赴任したときはコロナウイルスも落ち着き、治安も良くはなっていたものの、一時は移民シェルターの脇で座り込んでいる人たちを見ながら通勤していました。大統領選挙の際には地域によって雰囲気が全く違うことを肌で実感しました。また、日本と違いアメリカは築100年の建物や第2次世界大戦前の建物も非常に多く残っています。ドラマのワンシーンで出てくるスモークも地面から本当に湧き出てきているんです。温水を作るためにボイラーを回しているからだそうです。このようなことは実際に現地に行かなければわからないことだと思いました。

—— 大学時代に留学はされましたか。
葛窪さん:両親の意向もあり、留学はしなかったので、旅行でヨーロッパをよく訪れていました。学生時代は英語が苦手だったので第2外国語としてフランス語を頑張っていました。西洋史専攻でローマ史を研究することになったのにも関わらず、大学院に入ってからドイツ語を始めたため、「なぜ大学のときからドイツ語を選択しなかったのか」と指導教授に叱られました。もっとも、その指導教授がドイツ語専攻だったので、叱られながらも論文を輪読できたのは今では良い思い出です。

—— 学生時代取り組んでいたことがあれば教えてください。
葛窪さん:サークルはフィールドアーチェリーに所属し、大学入学を機に新しいことに挑戦したいと考えて始めました。アルバイトは大学内の広報室で動画編集のアルバイトをしていました。大学院生のときは研究室のお手伝いや先生の紹介で博物館のデータ入力のアルバイトをしていました。

—— 本当にたくさんのことに挑戦されていたのですね。葛窪さんが日本女子大学を卒業して良かったと思うことがあれば教えてください。
葛窪さん:大学時代は「やりたい」と思ったことを比較的自由に挑戦させてもらえる環境があり、とてもありがたかったと感じています。先生と学生の距離が近く、先生方の面倒見が非常に良いです。論文を書く際にも柔軟に相談に乗ってくださり、安心して研究に取り組める環境だったと思います。興味があれば他学科の授業も柔軟に受けることができました。
また、女子大では性別による先入観で判断されることはありません。そのため、「理系が得意だから理学部に進む」「リーダーシップがあるから中心になる」「サポート役が得意だから参謀的に動く」といったように、性別ではなく、その人自身の特性や強みを生かせる場でした。自分自身のキャラクターが否定されることはなく、それぞれが自分に合った立場で自然と力を発揮できる空気があり、「自分には何ができるのか」を探しやすく、自分なりの軸を持つことができました。
当時私が日本経済新聞社に入社したときは、今よりも男性の方が多い職場でしたが、日本女子大学で周囲を過度に意識せずにのびのびと過ごした経験があったおかげで、女性が少ない環境でも気負わずに働くことができました。ある種いい意味での鈍感力が身についていたのだと思います。

—— 最後に後輩に向けてメッセージをお願いします。
葛窪さん:大学生の間は本当にいろいろなことに挑戦できます。やはり、失敗すると痛かったり、辛かったりするので避けたくなると思いますが、全ての経験が自分の力になります。やってみて合わなければやめてもいいと思います。ただし、チャレンジすることをやめるのであれば、自分が納得してやめるべきです。周りに流されず、自分でトライすれば、それが全て自分の血肉となります。4年間、あるいは6年間の大学時代の挑戦を楽しんだほうが、後の人生がもっとパワフルに生きていけると思って過ごしていただけたらと思います。
 

 【インタビューを行ってみて】
文学部日本文学科年 井上 南奈
就職活動を控える私にとって、今回のインタビューは将来のヒントとなる道標をいただけました。私には将来の明確なビジョンはなく、漠然と「読むこと」「書くこと」に携わる仕事に就きたい、と思っているだけでした。葛窪さんの職に対しての軸を決め、就職活動に取り組んだ一貫とした姿にはインスパイアを受けました。また、日本経済新聞社のお話も興味深く、記者職以外にもさまざまな職種があること、そして新聞以外にも展覧会やテレビ局など幅広いエンターテインメントを展開していることにも驚きました。
今後の学生生活は何事にも進取果敢に取り組み、失敗経験も含め、自らの糧としていけたらと思います。