\JWU PR アンバサダー/ 社会で活躍されている卒業生インタビュー2025 第2弾!
2026.02.16
※1 現:数物情報科学科
—— これまでどのようなお仕事をされてきたのか教えてください。
吉川さん:2017年にキヤノン株式会社に入社し、2025年の7月まではプロ用インクジェットプリンターと大判インクジェットプリンターの設計開発を担当していました。プロ用というのは、ハイアマチュアやプロの写真家が使うプリンターです。大判プリンターは卒論発表などで使う大きなポスターを印刷するためのもので、皆さんも目にする機会があるかもしれません。私は、開発の中でも画質関係を担当しており、より美しく印刷するための印字制御という分野の設計をしていました。2025年7月からは異動になり、現在はインクジェットプリンター全体の市場状況や競合他社の動向を分析して、次の製品の仕様を提案する仕事をしています。
—— 現在のお仕事を選んだ理由を教えてください。
吉川さん:小学校高学年から中学校にかけて、ずっと理科が好きでした。手を動かして実験するのが好きで、ものづくりに興味があったので、将来は研究開発に携わりたいとずっと思っていました。理系の技術職になりたいという気持ちが一貫してあり、メーカーの開発職に進みました。
——興味があることをずっと突き詰めて、お仕事に就かれたのですね。
吉川さん:そうですね、他の選択肢というよりは、ずっと理系の技術職になりたいと思っていました。
—— 就職活動において大切にしていたことは何ですか?
吉川さん:まず準備段階においては、自己分析が大事だったと思います。開発職といっても幅広いので、自分が何をやりたいのかを見つめ直すことが重要だと考えました。また、視野を狭めずにいろいろな選択肢を広げて足を運んだのもよかったと思います。キヤノン以外のメーカーも見に行きましたし、大学院への進学も視野に入れて同時並行で準備を進めていました。実際に会社を訪問すると社員の方と話せる機会があるのですが、「この人と一緒に働きたい」と思えたのがキヤノンでした。面接では、自分の考えや意見を自分の言葉でしっかり伝えることを意識していました。あとは健康第一で、体調管理をしながら進めることも大切だと思います。
—— 今の仕事の醍醐味ややりがいを教えてください。
吉川さん:異動前の開発職では、最新のプリンター技術に携われることがやりがいでした。自分が携わった製品が世に出るのが一番うれしいです。アマチュアカメラマンの友人が写真展を開いた際に、「展示にはこのプリンター使ってるんだよ、絵もきれいに出るね」と製品を褒めてもらえたときは、大変なことも多いけれどやってよかったなと感じました。今の部署ではまだ勉強中ですが、家庭用プリンターからオフィス向け複合機まで幅広い製品の分析に携わることで、視野がどんどん広がるところにやりがいを感じています。開発にいた頃よりもユーザー目線で客観的に考えられるようになりました。将来的にはユーザーのニーズから「こういうプリンターどうですか」と提案し、実際の製品に反映されるようになりたいと思っています。
——技術職だとあまり仕事内容が変わらないイメージがありましたが、3か月前と全然違うお仕事の内容をされているのですね。想像以上に大きく変化するのだということを初めて知りました。
吉川さん:そうですね、でも前の部署の知識が全く使えないわけではなくて、私の場合だと画質の専門知識があるので、「このプリンターはこういう画質だね」と評価したり、機械系の専門知識がある方と一緒にプリンターの構造を見たりと、それぞれ前にいた部署の知識を生かしています。
—— 大学時代のお話に移ります。学生時代の取り組みや、培われたと思う自分の強みについて教えてください。
吉川さん:まず、大学の勉強にしっかり取り組んだということ、とくに1年間の研究室配属はとても強みになっていると思います。私は、超電導を研究している石黒先生の研究室に所属していました。研究テーマの超伝導自体は仕事に直結していませんが、必修の卒業論文に取り組むプロセスで培われた計画性と問題解決能力が、今も大きな強みになっています。具体的には、まず目標(卒論の完成)を立て、計画し、実験し、うまくいかなければ原因を見つめ直して改善策を講じる、という一連の流れです。このサイクルは、企業で重視されるPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)と全く同じであり、目標達成に向けて粘り強く業務を回していく能力として、社会で非常に役立っています。
また、サークルやアルバイトでもさまざまな経験をしていました。サークルでは、180人規模の東大オーケストラ(東京大学フィロムジカ交響楽団)に在籍し、コンサートマスターを担当しました。団員を率いて1曲の音楽を作り上げる中で、団員に演奏の意図を正確に伝えるコミュニケーションスキルや、大所帯をまとめるリーダーシップ、全体を見る力が、強みとして培われました。
—— いま、卒業研究のお話がありましたが、卒業論文の内容を教えてください。
吉川さん:私は、「酸化亜鉛薄膜とニオブ薄膜による電気二重層トランジスタの作製と評価」という題目で卒業研究を行いました。
本研究では、酸化亜鉛という物質とニオブという金属を用いました。酸化亜鉛は本来、電気をほとんど通さない物質ですが、特殊な構造を用いることで、その表面だけに電気を通す金属的な性質を示すようになります。この特殊な構造を電気二重層トランジスタと呼びます。
酸化亜鉛の表面が金属的な性質を示した場合、さらに超伝導電流という特別な性質を持つ電流を通す可能性があります。
超伝導とは、電気抵抗がゼロの状態で電流が流れる現象です。
本研究では、酸化亜鉛薄膜とニオブ薄膜を用いて電気二重層トランジスタ構造を作製しました。そして、その構造の酸化亜鉛の表面に実際に超伝導電流が通るかどうかを、電気的特性の測定によって評価することを目的に研究を行いました。
——とても専門的な研究をされていたのですね。
専門的な内容ですが、最先端の現象を扱っていて、とても興味深い研究だと感じました。
—— 大学生のうちにやっておいた方がいいことはありますか?
吉川さん:学生のうちに気になることや経験をたくさんしてほしいです。社会人になると経済的な余裕はあっても、時間が圧倒的になくなります。
例えば、社会人になってからは難しい長期の海外旅行(1か月など)や、サークル、アルバイトなど、少しでも興味のあることにはぜひ積極的に挑戦してください。
また、学生時代に築いた人との出会いや繋がりは、社会人になっても必ず生きてきます。今のうちに、そうした繋がりを大切にしてほしいと思っています。
——吉川さんから見た日本女子大学のおすすめポイントを教えていただけますか。
吉川さん:やはり大学のおすすめポイントは、何よりも「先生と学生の距離感の近さ」と、それによる手厚いサポートです。先生方は非常に丁寧に指導してくださり、親身になって学生を支援してくれました。
とくに、私が学んだ研究室の石黒先生には、専門の勉強だけでなく就職活動のサポートもしていただきました。学科推薦※2を使ったため、メーカーの選考で「どのような勉強をしているか」を問われた際、研究が始まったばかりで知識が不足していた私たちに、学問的な知識を個別に補強し、面接対策を手伝ってくださいました。
また、ゼミ以前の3年次までの講義でも、疑問点があれば先生の研究室へ直接質問に行くと、いつでも心よく丁寧に教えてくださる環境が本当に良かったと感じています。
※2 学科推薦とは?
数物情報科学科は、80社以上の企業より学科推薦をいただいています。学科推薦の主な職種は、技術職やシステムエンジニアです。通信・情報・システム、自動車・輸送機器、鉄鋼・非鉄・鉱業・金属製品、機械・電気・電子・精密機器・医療用機器、印刷製造、エネルギー、 化学・素材と多岐に渡っており、公立中学・高等学校からは、数学と理科の採用候補者選考教員推薦もいただいています。
今回のインタビューを通して、幼い頃から興味を持ち続けてきたことを軸にして、研究や就活を経てキヤノン株式会社という舞台でその興味を形にしている吉川さんの姿に強く心を動かされました。自己分析を行い、働きたいと思える会社と出会えたというお話は、進路に迷う私たちにとって指針を与えてくださるものでした。また、研究活動で培われた粘り強さや、サークルでのリーダーを務めた経験を自信につなげ、キャリア形成に生かされている点も非常に印象的でした。吉川さんのお話を聞いて、自分の興味を深め続ける姿勢の大切さを改めて実感しました。私も自分の軸をしっかり持ちながら挑戦し続け、より多くの可能性の幅を広げていきたいです。
