子育てサイエンス・カフェ開催レポート
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第25回子育てサイエンス・カフェ開催レポート
大切にしたい家族の会話~ フィンランド発「対話実践」に学ぶ、コミュニケーションのヒント
開催:オンライン
講師:青木 みのり(人間社会学部 心理学科 教授)
今回ご紹介したのは、フィンランドのケロプダス病院で考案された、統合失調症の治療システム「オープンダイアローグ」における対話実践でした。
このシステムは大きな効果がみられたために世界各地で注目されるようになり、統合失調症以外にも適用が試みられてきました。
オープンダイアローグの概念自体は家族療法の流れを汲みつつ、バフチンの思想や社会構成主義とも関連する複雑で広大なものなのですが、今回は、日常の対話実践のヒントになりそうな考え方として、私が特にお伝えしたいと思った
「相互尊重」
「全員の声が平等に聞かれること」
「自分とは異なる存在として他者を認めること」
「異なる意見が共存できる場が保証され、同調しなくてよいこと」
「他者と語りあいながら自分自身とも向き合い会話すること」
に絞ってお話ししました。
そして言葉によってお互いが傷つくのを防ぐために「相手との間に空想上のお盆があって、その上に言葉を載せるイメージで話すこと」や、話し手の言葉にしっかり耳を傾けるために「『話す』と『聴く』を分けること」など、ユニークな工夫をご紹介しました。
また、「話したくないときは話さなくてよい」と保証することも、安心できる対話の場であるために大切なこととしてお伝えしました。後半部では実践の様子をイメージしやすいよう、動画を見ていただきました。
大切なことは「全員にとって安全で楽しい場を持てること」で、形式にはこだわらなくてよいのかもしれません。
それを踏まえていれば、個々のご家庭やコミュニティに合うような、様々な工夫の余地があると思いました。きっかけの一つになれば幸いです。
(人間社会学部 心理学科 青木 みのり)
人間社会学部 心理学科
心理学とは「こころ」をさまざまな角度から研究する学問です。
本学科では、複雑化する現代社会での「こころ」の問題を幅広く複合的に探究します。
「こころ」の働きに関する基礎的、応用的研究に取り組み、実践力を身につけた人材を養成し、
公認心理師および臨床心理士を目指すための基礎教育としても、十分な教育内容を提供しています。
