「ファッション×建築」の挑戦——東京都の新しい海外留学支援制度「東京グローバル・パスポート」本学第1号合格者が語る、夢への道

2026.09.16

【学生インタビュー】建築デザイン研究科 建築デザイン専攻 修士2年 比護遥さん

東京都が今年度から新たに創設した海外留学支援制度「東京グローバル・パスポート」。倍率5.4倍(中長期コース)の難関を突破し、日本女子大学の第1号合格者となった建築デザイン研究科修士2年の比護遥(ひご はるか)さん。協定大学のブリュッセル自由大学(ベルギー王国)への交換留学中です。東京グローバル・パスポートの応募準備では、不安や迷いも多くありましたが、大学の国際交流課の手厚いサポート体制をフル活用して夢を実現させました。

独自の研究テーマである「ファッション×建築」にかける想いや、合格を後押しした国際交流課のバックアップ、そして未来の受験生や後輩へ向けたメッセージを伺いました。

2週間のヨーロッパへの大学公認海外短期研修が広げた視野。憧れを確信へと導いた決断

学部3年次の終わりに大学公認海外短期研修で参加した、2週間の「ヨーロッパ住居・建築・都市デザイン研修※」が、留学を目指すようになった大きなきっかけです。イギリスとスイスを巡り、歴史ある街並みや本場の現代建築に直接触れる中で、「いつか海外の都市空間の中で本格的に建築を学んでみたい」という強い想いが芽生えました。その後、大学院に進学したタイミングで、ベルギーのブリュッセル自由大学との新しい協定が締結され、交換留学が可能となることを知り、「今こそ挑戦するチャンスだ」と留学を決意しました。

留学先のベルギーはまさに「ヨーロッパの中心」であり、住民の約3分の1が外国人と言われる多文化・多言語社会です。多様なバックグラウンドを持つ人々が共存する環境で都市空間がどう作られているかを学ぶことは、将来、国際化が進む東京の都市デザインを考えるうえで大きなヒントになると感じました。また、アール・ヌーヴォー建築の発祥地であり、アートと建築が融合している街の空気感にも強く惹かれました。

左)チューリッヒ旧市街地/中)ボートン=オン=ザ=ウォーター/右)ロンシャン礼拝堂 ※年度により、研修先や研修内容等が異なる場合があります。
左)チューリッヒ旧市街地/中)ボートン=オン=ザ=ウォーター/右)ロンシャン礼拝堂
※年度により、研修先や研修内容等が異なる場合があります。

異分野を掛け合わせる。「ファッション×建築」という独自のアプローチ

東京グローバル・パスポートに応募した際の留学計画のタイトルは、「【ファッション×建築】多文化ベルギーで探る身体に寄り添う都市のデザイン—居心地いい空間の再構築」です。もともと服が好きで、ダンスサークルでも衣装を担当するなど、ファッションには強い関心がありました。建築を学び深める中で「人間の身体感覚」に興味を持つようになり、「身体に最も近い空間=衣服(ファッション)」なのではないかと気づきました。

衣服の型紙から立体へ縫い合わせる構成手法や「着心地の良さ」を、建築の空間設計や「居心地の良さ」へ応用できないかという問いから、現在の探求テーマが生まれました。

東京グローバル・パスポートは、留学の目的・目標に沿った「探求活動」と呼ばれるインターンシップやボランティア活動等の実践活動を留学計画に含めることが必要です。私は、探求活動では身体とファッションの関係性を建築に変換する手法を現地で実践的に探求することを目標としました。選考の際、探求活動では「現地で実際に実現できるか」という確実性と熱意が厳しく見られます。そのため、応募前の段階からベルギー現地で活躍されている日本人ファッションデザイナーの方やファッションアトリエ等へ自らメールを送り、現地でのボランティアやお手伝いの打診を行い、探求活動実現に向けて準備をすすめました。

面接でも「すでに渡航前から能動的に探求活動実践に向けたアプローチを開始している」という具体的な動きを伝えられたことが、計画の本気度や説得力として高く評価いただいたと感じています。

比護さんがデザインしたTシャツと衣装
比護さんがデザインしたTシャツと衣装

前例がない新制度への挑戦。支えてくれた国際交流課の伴走

今回の留学に際し、私はトビタテ!留学JAPANと東京グローバル・パスポートの両方への応募に挑戦しました。最初は右も左も分からず不安でしたが、国際交流課の方々が親身になって一緒に駆け抜けてくださいました。

日本女子大学の国際交流課では、「トビタテ!留学JAPAN」応募学生向けのサポート企画として「先輩トビタテ生による留学計画書作成アドバイス会」や、専門講師による「留学計画書添削講座」、「個別面接練習」などを展開しています。こうした学内サポートを積極的に利用したことで、自らの留学計画を第三者に分かりやすく伝えるためのポイントを習得しました。中でも先輩トビタテ生の体験やアドバイスは、留学計画書を作成する上で役立ちました。

「先輩トビタテ生による留学計画書作成アドバイス会」ではトビタテに合格された先輩方が特にどのようなことを意識して書類を作成したかを発表形式で教えてくださいました。留学計画の一貫性や独自性を重視している先輩方が多く、そのアドバイスを受けて、自分の留学計画のアピールポイントがきちんと審査官に伝わるような文章を作成するよう心がけました。本学から何人もの合格者がいて、このように直接先輩方から合格体験談や応募準備の際に工夫した内容などを聞けるのはとても良い機会だと感じます。また「留学計画書添削講座」や「面接練習」でも、自分のテーマをいかに簡潔にアピールできるかのアドバイスをいただきました。そのおかげで、留学計画書の文章の構成や面接で話す順序を工夫するなど、着眼点を少しずつ変えながら修正を重ねることができました。このように、学内サポートを活用して留学計画の内容や構成をブラッシュアップしたことで、今回の合格につながったと思っています。

留学計画書の作成をする中で、特に大変だったのが専門用語の噛み砕きです。自分では当たり前に使っていた建築用語も、建築専門外の人には伝わりません。国際交流課の方々が「この表現だと伝わりづらいかも」と客観的に何度もフィードバックをくださり、誰が読んでも理解しやすい留学計画書に仕上げることができました。

残念ながらトビタテ!留学JAPANはご縁がありませんでしたが、東京グローバル・パスポートは無事に書類選考を通過することができました。私はすぐに気持ちを切り替えて、国際交流課に2度の面接練習を依頼しました。面接練習では、国際交流課から「東京都がなぜこの制度を始めたのか」「自分が留学や探求活動で学んだことをどう社会へ還元できるか」という視点のアドバイスをいただきました。そのアドバイスを受けて面接の想定問答を準備し、面接選考本番でも東京都の街づくり計画に触れながら、具体的な社会への還元について熱意を持って答えることができました。

国際交流課はいつ立ち寄っても顔を覚えていてくださり、担当の方だけでなく職員の皆さん全体で温かく迎えてくれるアットホームさがあります。新しい制度で分からないことがあっても「一緒に調べましょう」と伴走してくださり、いつでも安心して相談できる心強い存在でした。

夢に向かって進む未来。受験生や後輩へのメッセージ

留学中は、ブリュッセル自由大学での授業をとおして設計スタジオで多角的な視点から建築設計の実践力を養い、探求活動でファッションと新体制のデザインを探る予定です。将来はファッションから得た独自の視点を活かして建築の設計に携わり、実際に人が心地よく過ごす空間を作り出したいです。そして「東京グローバル・パスポート」の日本女子大学第1号合格者として、自分が挑戦した経験を発信し、後に続く後輩たちの背中を押すことができる存在になりたいと思っています。

私自身、最初は「海外留学なんて夢のまた夢」と諦めそうになった時期もありました。しかし、自分の「好き」や「興味」を深掘りし、勇気を出して一歩を踏み出したことで、可能性が大きく開けました。留学奨学金の応募書類作成や面接対策の過程そのものが、自分自身のことや留学計画を見つめ直す、貴重な自己分析の機会にもなります。

日本女子大学には、大学公認海外短期研修や留学制度をはじめ、学生一人ひとりの「挑戦したい」という想いを親身になって受け止め、最後まで伴走してくれる環境と、国際交流課のサポートがあります。自分の可能性を信じて、ぜひ一歩を踏み出してみてください!

東京グローバル・パスポートとは

東京と日本の新たな未来を創造するグローバル人材の育成を目的として、東京都が2025年度に創設・募集を開始し、2026年度から支援を開始した都独自の海外留学支援制度です。大学生等を対象に、返済不要の給付型奨学金を支給し、自ら考え行動する主体性を持って未知の領域に果敢に挑戦する意欲的な学生をバックアップします。
※詳細は「東京グローバル・パスポート」公式ページ(東京都生活文化局)をご確認ください。