現代社会における女子大学の使命の決意を新たに
2023.10.06
9月21日(木)、マウント・ホリヨーク・カレッジ(米国・マサチューセッツ州、以下 MHC)(※)の第20代学長就任式に、篠原聡子学長が出席しました。1837年創立のアメリカで最も歴史ある女子大学であるMHCと日本女子大学は、1998年から学術交流協定を締結しており、25年にわたり交換留学やインターンシップなどをはじめとした交流を続けてきました。
ダニエール・R・ホリー新学長は、マウント・ホリヨーク・カレッジの186年の歴史上、初のアフリカ系アメリカ人の学長(セブン・シスターズとしては4人目のアフリカ系アメリカ人女性)として、同大学の第20代学長に就任されました。
就任式に出席して 篠原聡子学長のメッセージ
MHCは、理学・工学やアート、歴史、文学などを含む幅広い文理融合の学びを提供する女子総合大学です。また、ホリー学長の言葉をお借りすれば「ジェンダーの多様性を受け容れる女子大学であり、世界中の女性、少女、ノン・バイナリーの人々、トランスジェンダーのコミュニティーが直面する最も厳しい課題に立ち向かっていくにあたり、文化的に確信をもったリーダーを輩出する大学」として、180年以上にわたりアメリカの女子教育の道を築いてきました。
今回就任式に出席し、私はジェンダーフリーとはどのようなことなのか?について改めて再認識しました。さまざまな人種や国籍を問わず、活気にあふれる女子学生たちがお祝いのプラカードを持つ姿、その熱気に圧倒されるとともに、ジェンダーバイアスのない学生生活を過ごすことが、いかに女性の自由で闊達な学びにつながるかという、女子大学の源泉に触れることができました。
ホリー学長は、前任のハワード大学ロースクールで、マイノリティーの人たちが法律家にならなければマイノリティーの人達に寄り添えないと、学部長として多額の寄付金を集めたそうです。就任演説でも、「誇りをもってジェンダーの多様性を受け容れる大学として、ジェンダーにまつわる偏見に立ち向かい続け、ジェンダー・アイデンティティーによって孤立している人々の完全な平等と主張を擁護します。他のいかなるアイデンティティーも、疎外感を感じる理由とはならず、むしろそれはエンパワーメント、希望、そして私たちが皆平等である未来という真のヴィジョンを感じる理由になるのです」と力強く宣言されていたのが印象的でした。
アメリカではそれぞれの女子大学が個性を出し、独自の魅力や特長を磨き上げ研鑽しあうことで、高いレベルを維持しています。日本においても、個性豊かな女子大学それぞれの学びの魅力や特長を磨き、世の中へ発信していく重要性を改めて実感する貴重な機会となりました。
就任式の詳細はこちらからご覧いただけます。
イエール大学卒業後B.A.(学士)。ハーバード大学ロースクールにてJ.D.(法務博士号)を取得。2014 年から2023 年までハワード大学ロースクール(ワシントンD.C.)の学部長を務める。2023 年9月にマウントホリヨーク大学第20 代学長就任、同大学の 186 年の歴史上、初のアフリカ系アメリカ人の学長(セブン・シスターズとしては4人目のアフリカ系アメリカ人女性)である。公民権の推進とイクイティの実現に幅広く貢献してきた専門家としてきわめて高く評価されている。
(※)マウント・ホリヨーク・カレッジ
アメリカ北東部のマサチューセッツ州に位置する、1837年創立のアメリカ最古の女子大学。セブン・シスターズと呼ばれる名門女子大学7校(現在は7校のうち5校が女子大学)の1つで、日本女子大学とは1998年に協定を締結した。