スタディ・アブロード・プログラムに向けて渡航先の文化を学ぶ
2023.06.14
国際文化学科一期生、留学準備演習に参加
2023年度から開設された国際文化学部国際文化学科。1年次にスタディ・アブロード・プログラム(SAP)と呼ばれる海外短期研修が必修科目であることが、本学科の特徴のひとつです。夏の出発に向けて、7コース(※)それぞれがSAPに向けた準備演習に入りました。
なぜ女子大学を選んだのかを考える
5月18日(木)に行われたボストン(米国)コースの授業では、アメリカ屈指の伝統ある女子大学で、本学の協定大学 ウェルズリー・カレッジのT・ジェイムズ・コデラ教授と、現役ウェルズリー生のルーシーさんがスピーカーとして参加し、100%英語での授業が展開されました。
コデラ教授は、全員で円を作り、同じ目線で平等にディスカッションしましょうと堤案し、教員も学生も全員が輪になったところで授業が始まりました。ウェルズリー・カレッジのリベラルアーツ教育や、そもそものアメリカにおける学部生教育の場としての「college」と「university」の違いなどを教えていただくと、話は「女子大学について」に発展。
授業担当である田中有美准教授は、「国際系の学部は他の共学大学にもあるのに、どうして女子大学を選んだのか?」の問いを学生に投げかけました。「異性の目がない」「リーダーシップを発揮できる機会が多そう」「キャッチコピーの“越境力”に惹かれた」などポジティブな意見がある一方で、「共学に行く友達に女子大学に行くと言ったら、怖そうと言われた」など世間が持つイメージを思わせる体験談もあがりました。
ウェルズリー・カレッジのジェンダーに対する考え方を知る
続いて、ルーシーさんがウェルズリー・カレッジにおけるジェンダーの棲み分けについて紹介しました。現時点では、性自認と生まれ持った性別が一致している女性(シスジェンダーの女性)と、性自認と生まれ持った性が異なる女性(トランスジェンダーの女性)のみがウェルズリーに出願する資格があります。ただし、ウェルズリー在学中に性自認が変化し、トランスジェンダーの男性や、男女いずれにも性自認をしないノンバイナリーになった学生も、引き続きウェルズリーの学生として学ぶことができます。つまり、性自認が「女性」であるということが受験資格としてあるのですが、大学内には、トランスジェンダーの男性やノンバイナリーの学生もいます。このような現状を踏まえて、ウェルズリーは「女子大学」ではなく、「伝統的女子大学」(historically women’s college: 歴史的、伝統的に女性に教育の機会を提供し、その質の向上のために大きな実績をもつ大学であるが、性自認が女性ではない学生も受け容れている大学のこと。女子大学から共学になった大学のことを意味する場合もある)とするべきではないか、という議論がさかんになされています。
英語での発言に躊躇する様子も、個別質問は活発に
参加した学生からは、「シスジェンダーという言葉を初めて知った。大学のことだけでなく教養にもつながる授業でためになった」という感想が寄せられました。また、英語授業ということで、自ら発言することに躊躇した様子も見受けられ、授業後に、「もっと質問すればよかった」「簡単な英語でも使えばよかった」という悔しそうなコメントも聞かれました。
授業が終わると学生は思い思いに、コデラ教授やルーシーさんに話しかけに行き、積極的にコミュニケーションを取る姿がありました。
今回の演習では、ウェルズリー・カレッジの特色や歴史はもとより、アメリカ全般の大学のシステムなどを学びました。本学は2024年4月入学より、自らの性自認に基づき、本学で学びたいと希望するトランスジェンダー女性の方に、出願資格を拡大することを決定しています。
それも踏まえ、このタイミングでジェンダーについて考えてみることは、自分自身とも向き合える貴重な機会となりました。
ルーシーさんの感想
I was honored to visit JWU with Professor Kodera. Tanaka-sensei gave me the freedom to decide what about Wellesley I wanted to highlight, and I chose to give a short presentation on the diversity of gender identities at “Historically Women’s Colleges.” This is one issue among many that connects Wellesley, JWU, and all women’s colleges across the world. Our conversation has convinced me anew of the continued relevance of (historically) women’s college in the next several decades.
コデラ先生と一緒にJWUを訪問できて光栄でした。田中(有美)先生は、ウェルズリー大学について何を強調したいかを決める自由をくださったので、私は「伝統的女子大学」における性自認の多様性について短いプレゼンテーションを行うことにしました。これは、ウェルズリー大学、JWU、そして世界中のすべての女子大学を結びつける多くの問題のうちの 1 つです。私たちの会話を通じて、(伝統的に)女子大が今後数十年にわたって継続的に重要であることを改めて確信しました。
I hope JWU students will use their time at Wellesley to observe what is different and what is similar between the two schools. I find that in many cases, when talking about women’s colleges, we rely heavily on stereotypes, whether about women or liberal arts classes or both. Considering the diversity of approaches — those of faculty, staff, and students alike — to education at a historically women’s college may also reveal something about the diversity of the students as well as the influences of (national) culture on schooling.
私はJWUの学生たちがウェルズリーで過ごす時間を通じて、両校の違いと共通点について観察してほしいと思っています。女子大について話す際、私たちは女性とリベラルアーツに関して、しばしばステレオタイプに頼っているように感じます。伝統的女子大学での教育に対する教員、スタッフ、学生などの様々なアプローチを考慮することは、学生たち自身の多様性や(国家的な)文化が学校教育に与える影響についても何かを明らかにするかもしれません。
I have sincerely enjoyed meeting many JWU students in the last couple of weeks. It seems, at least initially, like we share many of the same values and have much the same reasons for choosing to attend similar schools. Going forward, I hope simply to be friends with JWU students. I am convinced that we have something to share with each other, whether those lessons are cultural, linguistic, or of some other kind.
ここ数週間、多くの JWU の学生たちと会うことができて本当に楽しかったです。少なくとも最初は、私たちは多くの同じ価値観を共有しており、似たような学校に通うことを選ぶ理由もほぼ同じであるように思えます。これからも、JWUの学生たちと友達になっていきたいと思っています。それらの学びが文化的なものであれ、言語的なものであれ、その他の種類のものであれ、私たちは互いに共有できる何かがあると私は確信しています。
(※)7コースの実習先
オックスフォード(英国)、ボストン(米国)、シドニー(オーストラリア)、南仏・パリ(フランス)、台湾、韓国、フエ・ハノイ(ベトナム)