JWUで学んだ建築家たち〜住居学科卒業生の活躍〜 Vol.1

2023.06.30

平倉 直子、東 利恵、貝島 桃代

日本女子大学は家政学部住居学科を独立させた新学部「建築デザイン学部」を2024年4月に開設します。母体となる家政学部住居学科は1948年に生活芸術科として設立され、その後1962年に住居学科として独立、現在までに5,667名の卒業生を送り出しました。また1956年に建築士の資格取得が可能なカリキュラムを導入して以降、数多くの女性建築家を輩出しています。日本女子大学大学院「建築デザイン研究科(仮称)」も、建築デザイン学部と同じ2024年度に開設予定(構想中)であり、学部での学びをさらに深化させていきます。

そこで今回は「JWUで学んだ建築家たち〜住居学科卒業生の活躍〜」と題し、これまで輩出してきた女性建築家を数回に分けてご紹介していきます。本学での思い出や建築デザイン学部開設に向けてのメッセージもいただいております。
ぜひご覧ください。

平倉 直子(1950年生)
1973年 家政学部住居学科 卒業
平倉直子建築設計事務所 主宰

■代表作
・ 常盤台の住まい(1997年)
・ 上信越高原国立公園 鹿沢園地自然学習歩道施設 森の小径と鹿沢インフォメーションセンター(2003年〜2006年)
・ 羽沢の住まい(1993年)
・ 富ヶ谷の住まい ~ウチとソトのうち(1999年)
・ 警視庁目黒警察署三田交番(あかりの交番Part1)(1994年)
など

■受賞歴
・ 新日本建築家協会新人賞(1998年)(常盤台の住まい)
・ 日本建築学会賞・業績部門(2008年)(上信越高原国立公園 鹿沢園地自然学習歩道施設 森の小径と鹿沢インフォメーションセンター)
・ 日本土木学会景観デザイン賞(2010年)(同上)
・ 東京建築賞・住宅部門最優秀賞(1996年)(羽沢の住まい)
・ 千葉市優秀建築賞(2001年)(都賀の住まい)
・ 目黒区景観賞(1995年)(警視庁目黒警察署三田交番(あかりの交番Part1))
など

■JWUとのつながり
1989年〜2011年 日本女子大学住居学科非常勤講師。2年〜4年生さまざまな学生への設計製図課題を担当。

■JWU在学中の思い出
「よく遊べ、よく学べ」をモットーに学生生活はエンジョイしました。総合大学としての一般教養の授業、休みを利用した旅行等々も含め、住居学科の中でも興味のある分野に傾倒し、卒業論文では都市景観の成り立ちをひもとくことに広く浅くでしたが挑戦しました。
そうしたことは、奇しくも国立公園の企画・ランドスケープ・建築・案内展示を総合的にまとめたプロジェクトの根底となり、日本建築学会賞につながりました。住宅の設計を基盤としていましたが、思い返すと学生時代は様々 な芽を培う貴重なときであったと思います。

■建築デザイン学部新設へのメッセージ
建築をデザインしまとめていく上で、必要な専門分野は細分化され、より多くの協力体制を築くことになっていくと思います。
様々 な分野が互いに尊重し合い、引き立て合うことによって広がる可能性に期待します。それには個々の興味や得意なことを探求し、伸ばしていくことです。大学内では年次や学科間を越える仕組み、他大学間との交流も視野にいれ、希望によっては添えるとよいでしょう。
専門以外の学生さん達にも興味と理解を広げることができれば、新学部の可能性は社会全体に広がることになると思います。

写真左)常盤台の住まい
写真右)鹿沢インフォメーションセンタと森の小径

東 利恵(1959年生)
1982年 家政学部住居学科 卒業
東 環境・建築研究所 代表取締役

■代表作
・ 星のや軽井沢(2005年)
・ 星のや富士(2015年)
・ 星のや東京(2016年)
・ ハルニレテラス(2009年)
・ シーパルピア女川(2016年)
など

■受賞歴
・ 都市景観大賞 大賞(2018年)
・ 土木学会デザイン賞 最優秀賞(2013・2019年)
など

■JWUとのつながり
1996年〜 日本女子大学家政学部住居学科 非常勤講師、2024年度開設 建築デザイン学部 特別招聘教員に就任。

■JWU在学中の思い出
ゼミ旅行で大内宿や盛岡に行ったことなど楽しかった思い出もたくさんありますが、大変だったこともよく思い出します。3年生後期に初めてのグループ設計で、メンバーの一人の家で作業して間に合わずに山手線の中で作業したことは、締め切りギリギリでやっていると慌ててしまっていい結果にならないと後の教訓になっています。卒論を友人の家に泊まり込んで仕上げたことなど、大変だったことも今では楽しい思い出です。

■建築デザイン学部新設へのメッセージ
日本では建築設計の分野は今まで工学部、美術学部、家政学部にありましたが、アメリカに留学した時に建築学部建築学科であること、工学としてのエンジニア学部とは別の独立した分野であることを経験しました。建築デザイン学部が建築のデザインのためにできた学部であることはグローバルに進むために重要なことと考えます。どのような日本の建築デザインを発信していく人材を育てていくのか楽しみにしております。

写真左)星のや軽井沢
写真右)星のや富士

貝島 桃代(1969年生)
1991年 家政学部住居学科 卒業
アトリエ・ワン 取締役
ETHZ Professor of Architectural Behaviorology
NPO法人チア・アート 副理事長

■代表作
・ハウス&アトリエ・ワン(2005年)*
・花みどり文化センター(2005年)*
・BMWグッゲンハイムラボ(2011年)*
・尾道駅(2019年)*
・もものうらビレッジ(2017年)*
など
*アトリエ・ワンとして

■受賞歴
・東京住宅建築賞 金賞(1999年)
・吉岡賞(2000年)
・RIBA International Fellowship(2012年)
・グッドデザイン賞金賞(2013年)
・ウルフ賞芸術部門 受賞(2022年)
など

■JWU在学中の思い出
私がどんな突拍子も無いことを言っても、多くの先生方が反対もせず、おもしろい、どんどんやりなさいと後押ししてくださったこと。その懐に広さに心から感謝しています。

■建築デザイン学部新設へのメッセージ
住居学科で住宅、暮らしから建築を学べたことは今でも私の活動の原点となっています。住居から生まれた建築デザイン学部がどんな学びの場になるのか楽しみです。

 アトリエ・ワン(外部サイト)

ETHZ Chair of Architectural Behaviorology(外部サイト)

チア・アート(外部サイト)
写真左)アトリエ・ワン:グッゲンハイムBMW ラボ、ニューヨーク、アメリカ合衆国、2011
写真右)アトリエ・ワン:もものうらビレッジ、石巻市、宮城県、日本、2017

このシリーズは連載にて公開してまいります。
引き続きご期待ください。