JWUで学んだ建築家たち〜住居学科卒業生の活躍〜 Vol.2

2023.07.18

篠原 聡子、赤松 佳珠子、佐屋 香織

日本女子大学は家政学部住居学科を独立させた新学部「建築デザイン学部」を2024年4月に開設します。母体となる家政学部住居学科は1948年に生活芸術科として設立され、その後1962年に住居学科として独立、現在までに5,667名の卒業生を送り出しました。また1956年に建築士の資格取得が可能なカリキュラムを導入して以降、数多くの女性建築家を輩出しています。日本女子大学大学院「建築デザイン研究科(仮称)」も、建築デザイン学部と同じ2024年度に開設予定(構想中)であり、学部での学びをさらに深化させていきます。

今回は「JWUで学んだ建築家たち〜住居学科卒業生の活躍〜」の第2弾として、これまで輩出してきた女性建築家を第1弾に続きご紹介していきます。本学での思い出や建築デザイン学部開設に向けてのメッセージもいただいております。
ぜひご覧ください。

篠原 聡子(1958年生)
1981年 家政学部住居学科 卒業
1983年 家政学研究科住居学専攻 修了
空間研究所 主宰
日本女子大学 学長

■代表作
・大阪府営泉大津なぎさ住宅(1999年)
・日本女子大学附属豊明幼稚園(2011年)
・SHAREyaraicho(2012年)
・鋸南町都市交流施設・道の駅 保田小学校(2015年)
・SHAREtenjincho(2021年)
など

■受賞歴
・日本建築学会賞作品賞(2014年)
・東京建築士会住宅建築賞(2000年)
・グッドデザイン賞(2022年)
・「大阪府営泉大津なぎさ住宅(仮称)設計競技」で優秀作1席(1996年)
・2018年度日本建築家協会優秀建築選100選(2019年)
など

■JWUとのつながり
1997年〜日本女子大学住居学科専任講師。2001年〜日本女子大学住居学科助教授。2010年〜日本女子大学住居学科教授。2020年〜日本女子大学学長。

■JWU在学中の思い出
設計スタジオで何回か担当していただき、卒論の指導もしてくれた富永譲先生に「人のやらないことにはわけがあります」といわれたのをよく思い出します。なにか変わったものをデザインしようとするときになぜそれが選択されてこなかったかということを考え、過去の事例、建築を丁寧に見返す、ということかなと思います。学生時代に出会った言葉や景色は、今でも鮮やかに思い出されるものが多いです。

■建築デザイン学部新設へのメッセージ
建築デザインはとても豊かな表現をもった言葉だと思います。その言葉のもつ繊細さや大胆さを等身大のスケールから、都市的なスケールまで、等価に学べる学部に育ってほしいし、この建築デザインというグローバルに通じる言葉をもって、世界と存分に会話をしてほしいです。

空間研究所(外部サイト)
写真左)SHAREyaraicho
写真右)SHAREtenjincho

赤松 佳珠子(1968年生)
1990年 家政学部住居学科 卒業
シーラカンスアンドアソシエイツ 代表取締役/CAtパートナー
法政大学デザイン工学部建築学科 教授

■代表作
・宇土市立宇土小学校(2011年) 
 設計:小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt
・流山市立おおたかの森小中学校・おおたかの森センター・こども図書館(2015年) 
 設計:小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt
・渋谷ストリーム(2018年) 
 設計(デザインアーキテクト):小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt
・山元町役場(2019年) 設計:小嶋一浩+赤松佳珠子+大村真也/CAt
・共愛学園前橋国際大学5号館 KYOAI GLOCAL GATEWAY(2021年) 
 設計:赤松佳珠子+大村真也/CAt
など

■受賞歴
・日本建築学会賞<作品>(2016年)
・日本建築家協会賞(2008年, 2014年)
・第26回村野藤吾賞(2013年)
・AACA賞(2011年)
・BCS賞(1999年, 2002年, 2016年, 2018年, 2021年)
など

■JWUとのつながり
2009年〜2011年、2012年~2013年 日本女子大学住居学科 非常勤講師(建築設計Ⅲ)。

■JWU在学中の思い出
私が在学していた1987年〜90年はバブルの真っ只中。ヴィトンのバッグやエルメスのスカーフなど華やかな雰囲気に満ちていました。住居学科の学生も最初の頃はそれなりにバブルな女子大生を謳歌していましたが、学年が進むにつれてジーンズにTシャツ、髪を束ねた姿で足早に製図室へと向かう姿となり、キャンパスから浮いているかも?と気になりつつも住居学科の仲間たちと過ごした充実感あふれる日々は今でも鮮明に覚えています。

■建築デザイン学部新設へのメッセージ
建築に関わる仕事をし、大学教育にも携わるなど少しばかりの経験を重ねてきたいま、改めて日本女子大が建築界で担ってきたことの凄さと素晴らしさを実感しています。
今は10年先ですらわからないほど加速度的に社会が変革しているとき、男女関係なく人としてどうあるべきかが問われる時代です。これからの世界を創り上げていくみなさんにふさわしく生まれ変わった、新学部の素晴らしいキャンパスで存分に学び、活躍してください。

写真左)流山市立おおたかの森小中学校・おおたかの森センター・子ども図書館
写真右)山元町役場

佐屋 香織(1983年生)
2006年 家政学部住居学科 卒業(篠原研究室)
2008年 家政学研究科住居学専攻 修了(小谷部研究室)
PEAK STUDIO 共同代表

■代表作
・南三陸町役場庁舎/歌津総合支所・公民館(2017年)※久米設計東北支社とPEAK STUDIO共同
・武蔵新城のエリアリノベーション(2020年)*
・武蔵新城のコワーキングスペース(2021年)*
・東北大学 青葉山ガレージ(2022年)*
・まちのはなれ(2023年)*
など
*PEAK STUDIOとして

■受賞歴
・JIA東北建築大賞2020 大賞(2021年)
・グッドデザイン賞(2021年)
・日本建築学会作品選集新人賞(2020年)
・キッズデザイン賞(2019年)
・2018年度日本建築家協会優秀建築選100選(2019年)
など

■JWUとのつながり
2022年〜 日本女子大学住居学科非常勤講師。

■JWU在学中の思い出
私は自分の考えを伝えるのが苦手な学生だったので、設計課題そのものより、エスキスや議論でのやりとりに難しさを感じていました。学年が上がるにつれて、少しずつ少人数制となり、先生や同級生と対話する機会が増えました。特に、所属した研究室では、主体的な思考を求められ、主観的な思考を正されたことを記憶しています。お互いを否定することなく、多様な価値観を認め、高め合えた学びの場があったからこそ、建築を続けてこられたと感じています。

■建築デザイン学部新設へのメッセージ
建築デザイン学部新設、おめでとうございます。
住居学科で学んだことは様々ですが、暮らしや生活という身近な視点から都市を語った経験が、今の私につながっていると思います。家政、理工、芸術が合わさった建築の総合的な学びの場がどのようになるか、非常勤講師としても関われることを楽しみにしています。

PEAK STUDIO(外部サイト)
写真左)南三陸町役場庁舎/歌津総合支所・公民館
写真右)東北大学 青葉山ガレージ

このシリーズは連載にて公開してまいります。
引き続きご期待ください。