留学生とつながる「Small World Tour」

2025.12.09

附属豊明小学校5年生が世界の文化に触れる特別授業

2025年11月14日、日本女子大学附属豊明小学校の5年生を対象とした国際理解教室「Small World Tour」が開催されました。
毎年実施されている本授業ですが、今年は初めて日本女子大学に在籍する留学生が発表者として参加し、例年以上に“文化を知る、人を知る”ことに焦点を当てた学びの機会が作られました。

9つの国・地域から11名の留学生が参加

韓国、フィリピン、スウェーデン、ウクライナ、中国、トルコ、オランダ、ベトナム、台湾の9つの国・地域から11名の留学生が参加。まずは5年生全体に向けた自己紹介をしました。ベトナムの学生は民族衣装であるアオザイを着て参加し、華を添えました。出身地と名前を伝える留学生の自己紹介に対して、聞き馴染みのない名前を覚えるために、1人ひとりの名前を口々に復唱する児童たち。この後の交流に期待を膨らませていました。

全員揃っての自己紹介タイム
全員揃っての自己紹介タイム

その後3クラスに分かれて各教室へ向かい、それぞれの国・地域の文化や暮らしについて約10分間のプレゼンテーションを日本語と英語で行いました。
留学生それぞれのプレゼンテーションでは、世界地図における各国の位置、季節や風景、観光地、有名な食べ物など、「これ知ってますか?」と児童に質問しながら、自国を紹介していました。より出身地の雰囲気を感じ取ってもらおうと、動画を盛り込む工夫もされてあり、現地のライブ映像などを見た児童からは歓声が上がっていました。

左から中国の留学生、オランダの留学生の発表
左から中国の留学生、オランダの留学生の発表
左からフィリピンの留学生、ベトナムの留学生の発表
左からフィリピンの留学生、ベトナムの留学生の発表
左から台湾の留学生、スウェーデンの留学生の発表
左から台湾の留学生、スウェーデンの留学生の発表

プレゼン後にはQ&Aの時間も設けられ、児童からの質問に日本語や英語で丁寧に回答。言語だけではなく、背景にある文化の違いや生活の様子が伝わる交流となりました。
留学生へ感謝の気持ちを表すために折り鶴つきのメッセージカードを渡す姿や、けん玉やピアノで交流する姿がありました。

左:児童がけん玉を披露して盛り上がった 右:ピアノを披露する留学生の周りに自然と児童が集まる
左:児童がけん玉を披露して盛り上がった 右:ピアノを披露する留学生の周りに自然と児童が集まる

給食を囲んで広がる自然な交流

授業後には児童と留学生が一緒に給食を楽しみました。初めて給食の配膳の列に並ぶ留学生に対して児童たちは「食べられないものはありますか?」と聞きながら給食を手渡していました。
机を合わせてグループを作り、グループに留学生が1名加わってみんなで会話しながら給食を楽しんでいて、自然なかたちで国際交流の時間が広がりました。

昼休みには児童と留学生が体育館に移動し、鬼ごっこやドッヂボールなど体を動かしながら交流を楽しんでいました。

左:初めての給食配膳の列に並ぶ留学生たち 右:留学生と話しながら給食を楽しむ
左:初めての給食配膳の列に並ぶ留学生たち 右:留学生と話しながら給食を楽しむ
左:ドッヂボールに参加する留学生 右:児童に遊びに誘われる留学生たち
左:ドッヂボールに参加する留学生 右:児童に遊びに誘われる留学生たち

身近な世界とつながる、相互の文化体験

交流後には、「ベトナムのハロン湾は、好きな番組の舞台になっていたから知っていたよ」
「どこの国や地域が一番おもしろそうか?全部だけど、行くなら日本から近い台湾かベトナムがいいな」「オランダは、私が行ったことがあるハウステンボスに似ていていた。自分が知っていることが出てきて楽しかった」など、さまざまな地域に興味を持った様子の児童たち。
自分の知識や身近な体験と世界がつながる瞬間が、児童一人ひとりの学びになったことがうかがえました。

今回のSmall World Tourは、児童にとって“海外は遠い世界ではなく、自分の身近な生活ともつながっている”ことに気づく機会となりました。留学生の話を通じて、テレビで見た風景や訪れた場所と実際の国や地域が結びついただけでなく、留学生一人ひとりの個性や人柄に触れたことが、児童たちにとって大きな発見となりました。
文化だけではなく、「どんな人がその土地で暮らしているのか」という具体的なイメージが生まれ、世界への理解がより立体的になり、国際理解への第一歩を踏み出す時間となりました。

同時に、留学生にとっても、出身地の文化を紹介することでその魅力を再発見し、日本の小学生たちと交流する貴重な体験となりました。異文化の中で自分の文化を言語化し、伝わりやすいように表現方法を考える、そして共有する過程そのものが、大きな学びとなりました。

児童と留学生が互いに“世界は思っている以上に近い”と感じられた今回の交流は、双方が異文化を尊重し合う姿勢を育む、豊かな国際交流の場となりました。