アジアジュニアオリエンテーリング選手権大会で2冠を達成!

2025.03.11

【学生インタビュー】家政学部住居学科2年 鈴木万結さん

家政学部住居学科2年の鈴木万結(すずきまゆ)さんが、2024年12月21日(月)から25日(水)にかけてタイのチェンマイで開催された「第5回アジアジュニア・ユース オリエンテーリング選手権大会」にて、「ミドルディスタンス W20クラス」および「リレー W20クラス」において優勝を飾りました。
中学生の頃から取り組むオリエンテーリング競技の魅力やアジア選手権大会の様子、競技から芽生えた「まちづくり」への興味など、鈴木さんに伺いました。

中学時代に全国でも珍しい
オリエンテーリング部に入部

中学受験の際に、学校のパンフレットに載っていたオリエンテーリング部に興味を持ち、入学後の部活動見学に参加し、入部を決めました。もともとは個人スポーツをゆるく楽しみたいという理由で入部したのですが、中学3年生の頃に、日本オリエンテーリング協会の方から「国際大会に出てみない?」と声をかけていただいたことで、国際大会を目指して練習に取り組むようになりました。中高は一貫校で、部活も高校生と一緒に活動していたのですが、中学1年生のときにいた先輩は高校2年生だけでした。なので、中学2年生からは部活ではずっと最上級生。後輩と一緒に毎年部活勧誘もがんばりました。今ではオリエンテーリング部の部員も増え、活動も盛んなようで、嬉しいです。競技として本格的に取り組み始めたものの、高校時代は新型コロナウイルス感染症の影響で、思ったような活動ができず、憧れていた国際大会への出場も叶いませんでした。このままでは終われない、と日本女子大学でもオリエンテーリングクラブに入り、活動をしています。

国内大会にて地図を見ながら次のチェックポイントを目指す鈴木さん
国内大会にて地図を見ながら次のチェックポイントを目指す鈴木さん

頭脳と体力を駆使する
ハードな競技

オリエンテーリングと聞くと、散歩やハイキングの延長のような楽しいスポーツをイメージする方が多いかもしれません。もちろんそういった楽しみ方もできますし、大学クラブ内でもそうやって楽しんでいる人も多いのですが、インカレや国際大会など、競技色が強くなるとかなりハードです。私は、オリエンテーリングを知らない方には「地図とコンパスのみを持って、地図に書かれたコースをいかに早く走破できるかを競う競技」と紹介しています。
公式戦は、ロングディスタンス(60~120分の競技)、ミドルディスタンス(20~40分の競技)、スプリント(10~20分の競技)と競技時間に応じて3つの種目に分かれており、ほかに複数人がリレー形式で行うリレー種目もあります。
大会は、不整地やアップダウンのある場所(公園や丘陵、山間部など)で開催されます。参加者は、1~2分おきに1人ずつ順次スタートするのですが、スタート時にコース地図(ゴールまでのチェックポイントが記される)を手渡されるため、そこで初めてコースを知ることになります。地図読みのスピードや正確性が問われますし、距離の短い種目だと、常に走りながら地図を読んで、走行ルートを決定しなければなりません。大会によってチェックポイント数は異なりますが、多いと20~30個のチェックポイントがあり、1つでも間違えるとその時点で失格になります。また、チェックポイントを最短距離で回れば良いというわけではなく、地図に記された地形の特徴を読み取り、自分の得意な地形を選びながら進むことも求められます。私は、地図から地形や植生をイメージして、コースを進むなかでイメージ通りの光景が目の前に広がる瞬間に、このスポーツの魅力が詰まっているかなと思っています。

優勝したアジア選手権ミドルディスタンスの地図。チェックポイントのほかにコブや沢、溝などが記されている
優勝したアジア選手権ミドルディスタンスの地図。チェックポイントのほかにコブや沢、溝などが記されている

憧れ続けた国際大会で
最高の結果

今回、中学生の頃から目指していた国際大会にはじめて出場することができました。本大会の国内選考期間では思ったような成績を残せなかったのですが、強化指定選手だったこともあり、協会の推薦という形で出場させていただきました。はじめての国際大会、タイでのオリエンテーリングはすべてが新鮮でした。地図上の白い部分は「走りやすい」という意味なのですが、背の高い草木が生い茂り、見通しが悪いので、日本の大会での同じ白い表記より圧倒的に走りづらいですし、地面の感触も日本とは大きく異なりました。
12月22日(日)に出場したスプリントでは、序盤に地図読みで大きなミスをしてしまって、そのミスを挽回できないまま終わってしまいました。ただ、スプリントはあまり得意ではないため、実力通りの結果だったかなとも思っています。翌23日(月)のミドルディスタンスでは気持ちを切り替えて臨みました。国際大会での経験が豊富な出場者も多いなかで、私は初出場だったため、不安もありましたが、恐いもの知らずの気持ちで走れ、中学生の頃から目指していた優勝を手にすることができました。
レース結果では、ミス率や巡行速度が分かるのですが、他の選手のミス率が20%超だったところを、私は13%ほどに抑えられたのが勝因でした。翌日のリレー種目では、3人1チームの2走を任され、ミスもありましたが、1走からの1位の順位をキープし、3走につなぐことができ、ミドルに続き、3人で表彰台の真ん中に立つことができました。
今回は必ず金メダルを持って帰りたいと準備を重ねてきましたが、実際に優勝できても、少し現実味がありませんでした。レース後、日本で結果を気にしてくれていたクラブの仲間たちから、祝福の連絡が来て、嬉しかったですし、ようやく本当に優勝したのだと実感することができました。
今回のアジア選手権がジュニアカテゴリで大会に出場できる最後の機会で、今年からは一般カテゴリに出場することになり、競技レベルがぐんと上がります。これまでのような活躍はなかなか難しいかもしれませんが、さまざまな大会で成績を残したいと思っています。

ミドルディスタンス W20クラスの表彰式
ミドルディスタンス W20クラスの表彰式
リレー W20クラスで、2走として走り出す鈴木さん
リレー W20クラスで、2走として走り出す鈴木さん
獲得したメダルにはかわいらしいメダルケースがついていたそう
獲得したメダルにはかわいらしいメダルケースがついていたそう

各地への大会遠征で
まちづくりに興味が

オリエンテーリングの大会でさまざまな場所に行くうちに、まちづくりや都市工学などに興味を持つようになり、日本女子大学の住居学科への進学を決めました。設計だけを学びたいというわけではなかったので、工学系の建築学科ではなく、建築の周辺のことも幅広く学べ、かつ建築士の資格も取得できるという点が住居学科を選んだ決め手でした。
入学当初は自分には設計は向いていないなと思っていましたが、一生懸命に設計課題に取り組み、出来上がった模型を見ていると、この模型が現実になったらおもしろそうだなとか、誰かのために設計をするってどんな気持ちだろうと、興味が沸いてきています。もちろん、まちづくりや都市工学への興味もあり、今後どのような道に進むかはまだ決めていないのですが、自分がやりたいことを学生時代の人に見極め、社会に出たら人を支える職業に就ければと思っています。


※日本女子大学では、2024年4月に家政学部住居学科を母体とし、建築デザイン学部建築デザイン学科を開設しました。