日本女子大学 論文コンテストを初開催

2025.01.22

学生たちが「女子大学」の存在意義を考える

本学の全学部生を対象とした論文コンテストが初開催され、12月4日(水)に表彰式・発表会が目白キャンパスの青蘭館で行われました。本コンテストは篠原聡子(しのはらさとこ)学長が発案し「私にとっての女子大学、社会にとっての女子大学」をテーマとした論文を募集。28名からの応募があり、本学教員からなる選考委員会での選考を経て、最優秀論文賞1名、優秀論文賞2名を選出しました。なお、本コンテストに要する費用は、学部在学生保護者の会である日本女子大学泉会の「学生援助事業費」により支援をいただきました。

14学科から集まった
28通りの女子大学像

表彰式・発表会では冒頭に、選考委員長を務めた篠原学長から挨拶がありました。日ごろさまざまなメディアからの取材を受けるなかで「女子大学は今後どうなっていくのか」や「女子大学の存在価値は」といった質問を必ずされるという篠原学長。では、それらの質問に対して学生達はどのような考えを持つのかを聞いてみたい、というのが本コンテストのきっかけだったと話します。4,000字程度という応募条件を設定したため、集まらない心配もあったが、14の学科から計28名の応募があり嬉しく思ったそうです。「1つひとつの論文を読ませていただき、今回は賞に選ばれなかった論文にも納得させられるところが多かったです。本学の存在価値を再確認できるコンテストになりました」と挨拶を締めくくりました。

篠原学長の挨拶。表彰式・発表会には応募した学生たちや各学科の先生方が集まった
篠原学長の挨拶。表彰式・発表会には応募した学生たちや各学科の先生方が集まった
 今回は以下の3名の論文が各賞に選出されました。なお、それぞれのタイトルから論文の全文をご覧いただけます。



<最優秀論文賞>
家政学部住居学科4年 風間美麗(かざまみれい)さん
論文タイトル「女子大学はいかにして多様性と向き合うべきか」(PDF/685KB)

<優秀論文賞>
文学部史学科4年 長谷川玲(はせがわれい)さん
論文タイトル「現代社会における女子校の存在意義に関する考察 - 10年の女子校生活を振り返って —」(PDF/932KB)

人間社会学部文化学科4年 伊藤遥風(いとうはるか)さん
論文タイトル「二極分化された現代社会から自分を解放する空間としての女子大学」(PDF/759KB)



賞状と副賞の授与後には、受賞者たちからのスピーチがありました。

最優秀論文賞を受賞された風間さんは論文のなかで、社会が「主張の多様性」を女子大学に問いかけているように、女子大学は「理解の多様性」の在り方を社会に問い続けていると論じ、「私は建築の分野を学んでいますが、日本女子大学という女性だけの環境で学ぶことにはどんな意味を持つのか、改めて考える機会となりました。現代社会が抱える課題は1つの正解があるものばかりではないと思います。正解を出すのではなく、つねに自分事として考え続けることを大切にしていきたい」と述べました。

優秀論文賞の長谷川さんは、中学からの10年間の女子校生活の経験から女子大学の価値を見つめ直し論文にまとめ、「今回の論文執筆を通して、女子大学が豊かな学びを深めるための女性たちの居場所であって欲しいと改めて思いました。そのためにも、私たちの世代が社会で多様に活躍し、これからの女性のロールモデルになっていきたいです」と今後の抱負も語りました。

同じく優秀論文賞を受賞した伊藤さんは、交換留学生として韓国の誠信女子大学に留学中のため、オンラインでの参加となりました。日本女子大学での「学生の在り方」や「学生生活の充実」という部分で以前から違和感を覚えていたという伊藤さんは、日本女子大学と誠信女子大学での学生生活を比較し、考えをまとめました。「女子大学に進学することで、自分らしさや生きやすい視点を養い、強くて豊かな人間を輩出していくということが、女子大学のこれからの姿であり、女子大学が日本を変えていける一歩に繋がるのではないでしょうか」と結論を話し、昨今韓国で女子大学が置かれた状況についても紹介していただきました。

最優秀論文賞の授与
最優秀論文賞の授与

表彰式の最後に本コンテストに支援をいただいた泉会の田中晴雄(たなかはるお)会長からも参加した学生たちにメッセージをいただきました。
「少子化や女子大学の存在意義を問われているなかで、みなさんがその問題に真正面から取り組み、自分の考えを論文として表したことに非常に大きな意義があるのではないでしょうか。
女子大学で培われたそれぞれの特性を生かして、5年、10年先にみなさんが社会で活躍している姿をさまざま場面でお見かけすることこそが、女子大の存在意義に直結すると思います。みなさんのご研究やこれからの活躍に期待しています」

泉会田中会長の挨拶
泉会田中会長の挨拶

受賞した3名の他にも「女子大学は社会にひらかれている」「次世代へ続く女子教育の在り方」「女子大学の特異性と価値とこれから」など、応募者から集まった28本の論文タイトルは多様で、1つとして同じものはありません。選考委員の先生方も「今後の女子大学を考えるうえで参考になる論文が集まり、多くのことを教えられた」と話していました。

本学は、今後も学生との対話等も交えながら、現代における女子大学の存在意義を考え、新しい価値を創造してまいります。

表彰式・発表会では懇親の時間も設けられました
表彰式・発表会では懇親の時間も設けられました

日本女子大学論文コンテスト概要

テーマ:「私にとっての女子大学、社会にとっての女子大学」
字数:4000字程度
募集期間:2024年7月1日(月)~10月18日(金)
応募資格:日本女子大学の学部学生(通学課程)
表彰:最優秀論文賞1名(副賞10万円)、優秀論文賞2名(副賞5万円)
参加賞:amazonギフトカード5,000円分
選考委員会:学長、副学長2名、学部長6名、委員長(学長)が推薦する教員3名