「Be progressive!」国際協力NGOで働くOGの講演会を開催–ピースウィンズ・ジャパン内海旬子さん–

2022.11.08

「Be progressive!」国際協力NGOで働くOGの講演会を開催–ピースウィンズ・ジャパン内海旬子さん–

「Be progressive!」国際協力NGOで働くOGの講演会を開催

2022年9月27日(火)、キャリア支援課と国際交流課の共催による全学年向けイベント「国際的な機関で働くOGに聞く」(第2回)が開催されました。
今回は、日本女子大学人間社会学部社会福祉学科、日本女子大学人間社会研究科社会福祉学専攻(博士課程前期)の卒業生で、現在は国際NGOのピースウィンズ・ジャパン海外事業部中東マネージャーとして活躍されている内海旬子さんをお招きし、講演をしていただきました。

内海さんは、自らの好奇心を大切にして行動した結果、人との出会いに恵まれて刺激を受け、時には失敗しながらも、今もなお20代のときに憧れたNGOの世界で「やりたい」という気持ちを持ち続けて働き続けていられることの喜びを、ご自身の経験をもとに飾らない言葉でお話ししてくださいました。

新卒で入った保険会社を辞め、26歳のときにNGOの門を叩いた内海さんのターニングポイントは、カンボジアの支援の現場でした。「2年ぐらい海外もいいかな」という好奇心から渡ったカンボジアでは、世界中から集まってきた支援機関やNGOのプロフェッショナルたちが、どのように世界を良くしていくかを真剣に考え、切磋琢磨していたそうです。そこで「頭をガツンと殴られた気がした」と語る内海さん。「今やりたいことがなくても、大丈夫です。Be progressive(積極的であれ)!」と、自身の経験を踏まえ、学生にメッセージをくださいました。

内海さんは、カンボジアで、地雷禁止国際キャンペーン (International Campaign to Ban Landmines, ICBL)というNGOに出会い、その後、対人地雷やクラスター爆弾を禁止する条約を作り、世界中の国々が加盟するよう働きかけるアドボカシー(政策提言)活動に参加します。当初数名の賛同者により始まったICBLに、今では日本を含む100か国以上の国々が参加しています。「いろいろな人がいろいろな特技を持って集まってきて、小さな動きが大きな力になっていくことを体感した」というICBLでの体験と感動は、内海さんのその後の生き方に大きな影響を与えたそうです。現在は、日本の国際NGOピースウィンズ・ジャパンにて、ウクライナ支援を担当されています。その他にも、アフガニスタン、パレスチナやシリアの人びとの生活をサポートする活動に従事されてきました。

地雷禁止国際キャンペーンでの活動の様子

終了時間を超えるほど盛り上がった質問タイムの一部をご紹介します。

Q. NGOの活動や国際協力に関心があるのですが、自分のなかで活動に対する理想が膨らんでしまっていて、実際にその仕事に就けた時に何を感じるだろうか、という不安もあります。現実と理想のギャップを感じた場面があったら教えてください。

A. 日々感じています。取り組む問題が大きすぎて、自分がやっていることで何かが変わるのだろうか、と思うことはあります。一瞬一瞬はできないことの方が多いかもしれないけど、やらなかったら何も変らないよね、くらいの気持ちでいいのではないでしょうか。私が20代で憧れたNGOで今も働き続けることができているのは、「やりたい」という気持ちを持ち続けられたからに他なりません。

Q. アメリカ旅行に行ったときに英語が話せなくて、もっと話せたらいいな、と思いました。語学を身に付けるにはどうしたらいいですか?

A. 英語はできた方がいいです。まずはとにかく「話したい」と思ったその気持ちを忘れないこと。あとは地道な勉強。私は中1、中2ぐらいのレベルのNHK基礎英語からやりました。テキストもカセットテープも買わないで、決まった時間にラジオを聴く。耳から聞いて書き取ることを1年ぐらいやったことはよかったです。あとはチャンスがあったら英語で話す。日本人は基本的な知識はあるので、たいていのことは話せるはず。多少間違えても伝わりますよ。

Q. 内海さんご自身、大学時代にキャリアをどう考えていましたか?

A. 考えていないですね(笑)
キャリア教育というものがなかったし、行き当たりばったりでここまで来ました。キャリア教育は、「これをやりたい」と明確にある人にとってはとても良いと思います。効率的にステップを踏んでいけるからです。でも、みんながみんな最初からゴールが見えているわけではないし、そのなかで無理やりキャリアを決める必要はないと思います。興味があったら何でもやってみればいいと思います。やってみたら違ったなと思うこともあるけれど、そこで軌道修正すればいい。私もそうでした。絶対大丈夫です。

内海さんに質問をする学生

内海さんからあふれる自由で奔放な雰囲気と率直な話ぶりに全員が引き込まれてしまいました。そして学生への力強いメッセージもいただき、和やかながら学びのある時間となりました。

今後もキャリア支援課と国際交流課では、国際的に活躍されている様々なOGと出会うイベントを共催してまいります。

プロフィール

内海旬子氏
ピースウィンズ・ジャパン海外事業部中東マネージャー
地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)理事。日本体育大学非常勤講師(ソーシャルワーク)。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て、94年より96年まで「難民を助ける会」のカンボジア事務所にて身体障害者のリハビリテーションセンター運営に携わって以降、複数のNGOにて国際協力事業に従事。2018年より現職。