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国際シンポジウム「フィリピンにおける日本古典研究とパフォーマンス」

~日本古典芸能が紡いだ絆~

2022年3月16日(水)、日本の古典芸能を媒体とするフィリピンと日本の国際文化交流を目的としたシンポジウム「フィリピンにおける日本古典研究とパフォーマンス」がオンラインで開催されました。本シンポジウムは、国文学研究資料館と協同し、フィリピン大学(UP)ディリマン校と日本女子大学が連携し企画したもので、2011年、2015年に続き3回目の実施となります。

■シンポジウムの内容

UPでは、同大学国際研究センターのアンパロ・アディーナ・ウマリⅢ教授によって、日本の古典芸能を「鑑賞」から実際に経験する「実技」へと転換させ、学生自らが舞台に立ち、歌舞伎や能、文楽を演じる授業を行っています。

本シンポジウムでは、ウマリ教授と、ウマリ教授の授業に協力している本学の福田安典教授の2名による基調報告、UPの学生が演じる歌舞伎・能・文楽の鑑賞、ならびにUPの能・文楽のアンサンブルメンバーと本学の学生による交流を行いました。

■基調報告

日本女子大学 文学部日本文学科 福田安典教授
「UPと日本女子大学の交流の軌跡」

2010年10月~2011年1月までウマリ教授がJASSO(独立行政法人日本学生支援機構)のフォローシップ制度を活用して、日本女子大学で研究活動をされました。そのときの指導教員が私でした。そこから2011年、2015年とシンポジウムを開催し、10年以上交流を続けています。コロナによって世界が分断されているなかで、もう一度絆を深めようという趣旨で、今回オンラインで開催できたことを嬉しく思います。

フィリピン大学(UP)ディリマン校 国際研究センター
アンパロ・アディーナ・ウマリⅢ教授
「フィリピンの日本古典文学研究とパフォーマンス」

フィリピンでは自国の古典芸能への関心が低い傾向があります。そこで「型」によって支えられている日本の古典芸能をフィリピン人に習わせてみたところ、良いリアクションがあったことから、自国の古典芸能にとってもプラスになるのではないかと考え、この活動をしてきました。
UPの学生たちは、本来長い修行期間が必要な日本の古典芸能を短期間のトレーニングで習得しました。囃子方や道具方も含めて配役を割り振り、全てフィリピン語で演じています。

動きの早い歌舞伎と違い、動きの遅い能はごまかすことができません。その能の習得には1年かかっただけでなく、メインとなる役が2つあったことで学生の中で競争も激しくなりました。また、フィリピン日本友好50周年の記念公演でもあったため準備が大変でした。

幸運なことに、歌舞伎については3名の指導者をお招きすることができました。日本では歌舞伎のお囃子を学ぶには10年かかると言われましたが、学生達が毎日練習し、半年で90%の完成度で「勧進帳」を上演することができました。指導者の方には、フィリピンでの半年の練習は日本での3年に値した、と言っていただくことができました。学生にとっても大変貴重な経験になったと思います。

■動画で披露されたUPの学生による上演

(写真左から)歌舞伎「勧進帳」/能「翁」

(写真左から)新作文楽「シーサの旅路」/UPの学生の練習風景(提供:ウマリ教授)

基調報告後は、UPの能のアンサンブルメンバーによる学びの報告や謡の実演、本学の学生による日本古典に関する研究のプレゼンテーションも行われ、両大学の学生同士の交流の場が設けられました。

(写真)UPの能と文楽のアンサンブルメンバーによる発表

最後は、今後のより一層の連携と、両国を行き来できるようになった際の再会を誓い合い、シンポジウムは無事終了しました。
本学は、今後も継続的な国際文化交流を展開してまいります。

本シンポジウムの模様は、YouTubeに公開しています。UPの学生がフィリピン語で演じた歌舞伎・能・文楽を鑑賞いただけますので、ぜひご覧ください。

国際シンポジウムの模様