椿山荘の晴れやかな会場で門出を祝う
2025.03.31

2025年3月20日(木・祝)、ホテル椿山荘東京の「グランドホール椿」にて、日本女子大学卒業式・日本女子大学大学院修了式を挙行しました。ホテル椿山荘東京での開催は、昨年度に続き2回目。2021年4月に入学した学部生たちは、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く残る中で大学生活をスタートさせた世代です。困難を乗り越え、コロナ禍を克服しながら活気ある大学生活を築き上げてきました。当日は午前・午後の2部制で、卒業生1471名、修了生109名が多くの祝福の中で新たな門出を迎えました。
式では学位記授与の後に、成瀬仁蔵先生記念賞授与が行われ、篠原聡子学長からの告辞、卒業生来賓として株式会社風間書房代表取締役風間敬子様による祝辞、泉会*1 田中晴雄会長と桜楓会*2 高野晴代理事長による祝辞と続きました。

篠原学長は、「本日卒業・修了される皆さんは、大学生活において、新型コロナウイルス感染症による影響を受けつつも、徐々に日常を取り戻す過程を過ごされました。日常生活の有難さを確認し、日常が、その言葉に反していかに常ならざるものであるかを実感されたのではないでしょうか。残念ながら、地球上の多くの場所で起きている日常ならざる状況を鑑みれば、昨年に引き続きこの晴れやかな会場で卒業式、修了式を行い、皆さんをお送りできることはなんと有難いことかと思わずにはおられません。同時に、皆さんには日常ならざる日々を生きている人々が多くいることをどうか忘れないでください。」と卒業・修了される方々の学生生活を振り返り、日常の尊さを強調しました。
また、「一見して幸運とは言えない予想外や予定外の出来事をどのように受け止めるかが、その後を大きく左右すると私は考えます」と述べた上で、フランスの造園家であり小説家でもあるジル・クレマンの「できるだけあわせて、なるべく逆らわない」という言葉を紹介しました。そこには「あわせられないもの」「逆らわなければならないもの」の存在が示されていると語り、この考え方は、創立者成瀬仁蔵の「聴くことを多くし、語ることを少なくし、行うことに力を注ぐべし」という言葉にも通じるものだと述べました。そして、困難や対立を柔軟に受け止め、それらを取り込む姿勢の大切さを伝えました。
最後に、「現在の世界の状況を見れば、皆さんを取り巻く環境は決して楽観を許すものでありませんが、ここで手にした学問、育んだ人間関係は、様々な予想外、予定外との遭遇に対しても、生涯あなたたちを支えるものとなるでしょう。そしていつでも、日本女子大学はあなたたちのホームであること忘れないでください。」と述べ、日本女子大学が誇る卒業生、修了生としての輝かしい未来を祈念し、その門出を祝いました。
卒業生の答辞は、午前の部では家政学部住居学科横田梨紗子(よこたりさこ)さん、午後の部では人間社会学部現代社会学科麻原千愛(あさはらちえ)さんが行いました。
【家政学部住居学科横田梨紗子さん】
「住居学科での学びは自分の人生において教訓となるものでもありました。これまで取り組んできた作品は、試行錯誤を重ね、模索しながら創り上げてきたからこそ、ひとつひとつに深い愛情を抱いており、まさに自分自身を体現するものとなっています。だからこそ、先生方から厳しい意見や講評をいただいたときも、自分が作品の一番の理解者として、愛情と信念を持って積極的な議論を行うことができました。正解がないからこそ、自分なりに出した答えを信じぬくことができました。
これは人生に関しても同じことがいえると思います。人生もまた「正解のない問い」の連続であります。これまで私は自分に自信が持てず、「この道を選んだことは本当に正しかったのか」「あの時こうした方がよかったのではないか」などと迷い、不安に思うことが多くありました。しかし、住居学科で過ごした四年間を経て、悩み、葛藤しながら自ら出した答えを、自分自身が信じることが大切なのだと学ぶことができました。世間の“当たり前”や“普通”にとらわれず、自分の選んだ道を自分自身が一番信じ、愛情を持つことで、人生を豊かなものにできると学ぶことができました。そして、その姿を理解し、支えてくれる家族や友人の存在が前に進んでいく大きな原動力となるのです。」
【人間社会学部現代社会学科麻原千愛さん】
「学期末のレポートや4年間の集大成である卒業論文の制作を通じて、社会の在り方に対して自ら問いを立て、現状を分析し、自分なりの解決策を導く力を身に付けました。知識を吸収することに加えて、自分の考えを持ち、それを声や文字で伝える経験から、「自分の意見を持ち、発信する力」が得られたと考えます。
そして、課外活動では、地域と本学を含めた他大学の連携によって行われているボランティア活動や、私たちが入学した年に発足した広報プロジェクト、「JWU PR アンバサダー」の活動など様々なことに挑戦しました。挑戦した経験の中では多くの困難を伴い、時には諦めかけたこともあります。しかし、目標達成のため、仲間と協力しながら、試行錯誤を繰り返した経験は、この先、壁を乗り越えるための原動力、「挑戦するための自信」になると確信しています。」
卒業生の皆さん、おめでとうございます。今後の活躍を祈念いたします。





*1 泉会:学部生の保護者等による支援団体(日本女子大学泉会)
*2 桜楓会:日本女子大学の同窓会(一般社団法人日本女子大学教育文化振興桜楓会)