歴代学長

歴代学長

初代校長 成瀬仁蔵 (なるせ じんぞう)[1901.4~1919.3]

初代校長 成瀬仁蔵 (なるせ じんぞう)[1901.4~1919.3]

吾目的は吾天職を終るにあり。吾天職は婦人を高め徳に進ませ、力と智識練達を与へ、アイデアルホームを造らせ人情を敦し、国を富し、家を富し、人を幸にし、病より貧より救ひ、永遠の生命を得させ、罪を亡ぼし、理想的社会を造るにあり。

(「在米日記」より 1891.8.10)

第2代校長 麻生 正蔵(あそう しょうぞう)[1919.4~1931.4]

第2代校長 麻生 正蔵(あそう しょうぞう)[1919.4~1931.4]

私は同心協力、多年事を共にして来た兄の偉業を継承し、而もその留守役を務めて居るのでありますから、従来既に主張し来った教育上の主義方針等の根本義即ち女子を人間として、婦人として国民として教育すると云う三大方針と、精神生活の原理として信念徹底に務め、社会生活の原理として共同奉仕の実を養い、研究生活の原理として自発創生の力を養うと云う三大教育主義とに関しては、何等変更を加うる必要がないのみならず、多々益々その本義を発揮せねばならないのであります。
又女子総合大学としての完成事業も実は設立当時から三十年を期したならば、本当の意味の女子大学として完全せしむる事が出来よう又そうせねばならぬと、お互が予期し、計画もして来た事柄でありますから、之が完成に向って微力を捧ぐるのは自然の数であります。

(「就任の辞」より)

第3代校長 渋沢 栄一(しぶさわ えいいち)[1931.4~1931.11]

第3代校長 渋沢 栄一(しぶさわ えいいち)[1931.4~1931.11]

私は女子を大学迄進める事は一方には経営の困難を思い、一には教育を与えた婦人が世に立ってどうかを懸念いたしました。高等女学校ですら問題になっている時にまして女子の高等教育機関が何のよるべき所もなくて果してよく組立てらるるのかどうかを大なる疑問としました。併し成瀬校長はかかる事には少しも顧慮せざるものの如く、一意専心其理想を行って行かれました。果して関係者は其熱誠に深き感動を与えられ次第に助力する人を増して参りました。私もその一人なのであります。

(成瀬校長一周年記念会講和「老躯を提げて故成瀬氏の遺志完成に」より 1920.4.20)

第4代校長 井上 秀(いのうえ ひで)[1931.11~1946.11]

第4代校長 井上 秀(いのうえ ひで)[1931.11~1946.11]

先ず第一に如何に本校の精神的研究的生命を無限に発展せしめ得るかこの事は既に従来迄成瀬先生及び麻生先生が随分御力を加えられた事であります。併し乍らそれが果して我々の中に、こんこんとして尽きぬ生命の泉として進展しているか否かに就ては十分に反省を促される事実であります。又これと共に何人が学問の蘊奥を極め、独特の天才を発揮し得たでありましょうか?この途上にもまだまだ多くの問題が残されていると思います。

(「校内披露会挨拶より」 1931.11.18)

第5代校長・学長 大橋 廣(おおはし ひろ)[1947.4~1956.3]

第5代校長・学長 大橋 廣(おおはし ひろ)[1947.4~1956.3]

本校は由来、人として、婦人として、国民(市民)としての教育をし来たっております。先ず人としては勿論男女の差を設けず、人として平等の立場から教育を行なうのであり、これは創立以来叫び来たったのでありますが、新学制の大学に於いて、更に広義の教養教育の出来ます事を非常に喜んでおります。大学としては、是非ともこの点を強調すべきであります。第二に婦人としての教養も特に主張し来たったのでありまして、家政学部の存在もこの証拠であります。(略)また、国民としての教養を積まなければならないという意味は、今日のいわゆる社会人として、あるいは一市民としての教養に務むべきであるということであり、これが共同奉仕を主張せられたわけであります。

(「大学昇格記念式式辞」より 1948.5.20)

第6代学長 上代 タノ(じょうだい たの)[1956.4~1965.3]

第6代学長 上代 タノ(じょうだい たの)[1956.4~1965.3]

今から56年前あの桜の木の下で開校された時、先生の胸に燃え、一生を通していよいよ固められた全人教育、人間性確立の思想を、新しい人類の未来に対する、その進歩に対する責任を、私たちは負わされているのである。その責任の一部分を担い、実現する力を、私たち一人一人の中にみ出し、それを育成しなければならぬ。

(創立56周年記念式の式辞「全人教育の実現めざして」より 1957.4.20)

第7代学長 有賀 喜左衞門(あるが きざえもん)[1965.4~1973.3]

第7代学長 有賀 喜左衞門(あるが きざえもん)[1965.4~1973.3]

成瀬先生が書き遺された三教訓は、先生がその当時おかれた日本の国際的条件の中で日本の女子教育を確立されようとした根本的精神として理解しなければならない。しかも成瀬先生は単に国家の要請に答えるような女子教育を考えただけでなく、もっと大きく人類社会の福祉を築くために役立つような女子の任務をもお考えになっておられた。(中略)先生がその時代にいかに鋭い創造的精神を持っていたかという基本的態度を知って、日本女子大学が創設以来その精神の上に、絶えず新しさを積み重ねて来た側面が、本学の伝統—校風としてあるのだということを知ってほしいのであります。

(「就任挨拶」より)

第8代学長 道 喜美代(みち きみよ)[1973.4~1981.3]

第8代学長 道 喜美代(みち きみよ)[1973.4~1981.3]

今日の大学教育において求められているものは、まさに、高い徳性の涵養による人間形成と、創造的能力の涵養による学問研究であり、社会に貢献できる人材の養成であります。本学は創立者の教育精神に基き、人間形成と、学問研究、専門家養成に力を尽し、今日の大学教育の責任の一端を担う使命をもっております。
(中略)学問の真の目的は、人類のために役立つ方途を学ぶことであるといわれます。今日、人類の食糧をはじめとする生活資源の問題、衣食住を含めて生活環境の問題は、世界共通の研究課題となっております。
一方、現代ほど人間性の回復が求められている時はないと思います。科学者も哲学者も文学者も、宗教家も教育者も、人間の問題の重要さに迫られているのであります。

(「大学入学式式辞」より 1977.4)

第9代学長 青木 生子(あおき たかこ)[1981.4~1993.3]

第9代学長 青木 生子(あおき たかこ)[1981.4~1993.3]

今年は、とくに本学園が創立80周年を迎える年にあたりますので、私はとくに深く思いを至すものがございます。20世紀の初頭、世に先がけ、人間形成に基づく女子教育を目指して創設された日本女子大学の、その建学精神は、今日においていよいよますます要請されるべき教育理念であることを痛感いたします。建学の精神を高く掲げ、その理想に向って進むことなくして、私学の真の発展もまたのぞめないのではないかと思います。
 かかる意味で、学園全体の教職員が固い相互信頼のもと、一つの運命共同体として日本女子大学をますます充実発展させてゆきたいものと、切に願っております。“日本女子大学の原点に立ち帰って、明日に飛躍を”と願い、私はたえず眼を遠くに馳せながら、日々を弛まず着実に学園の教育・研究体制の整備、充実をはかってゆきたいと存じます。

(「就任の挨拶」より)

第10代学長 宮本 美沙子(みやもと みさこ)[1993.4~2001.3]

第10代学長 宮本 美沙子(みやもと みさこ)[1993.4~2001.3]

今世紀のはじめ1901年に創立の本学は、8年先の21世紀初頭には、創立百周年を迎えようとしております。「女子を人間として教育する」という、人間形成に基づく女子教育をめざされた創立者の建学の理念は、時代を越えた高い見識であり、今日ますますその意義を認識する必要があると痛感いたしております。さらに創立者は、一貫教育として附属校園を設置し、幼少時からの教育の重要性を認識しておられました。(中略)一人一人の子供の特色、個性を教師たちが発見し、一貫して育てていくことは、一貫教育のなかでこそ効果的にできるものと思います。

(「就任の挨拶」より)

第11代学長 後藤 祥子(ごとう しょうこ)[2001.4~2009.3]

第11代学長 後藤 祥子(ごとう しょうこ)[2001.4~2009.3]

幸いにして本学はこれまでに、家政・文学の伝統ある両学部に加え、人間社会学部・理学部と四学部が揃い、それぞれの学部学科の上に大学院博士課程が出そろい、名実ともに女子の総合大学としての形を整えました。一方で、幼稚園から大学院までの一貫教育の歴史と、これまた五十周年記念を越えた通信教育、ならびに桜楓会によって、部厚な生涯教育の実績を誇りますが、本年五月、目白キャンパスに完成する百年館には、新たに「生涯学習総合センター」が、最新の情報機器を駆使した生涯学習の拠点として、始動を待っています。
 今年創立百年を迎えた本学は、まさに新世紀と節目を同じくして新たな百年の歴史を刻もうとしています。この時に当たり、私どもは謙虚に原点に立ち戻り、創設者の描いた夢のさらなる達成に思いを致したいと存じます。

(「就任の挨拶」より)

第12代学長 蟻川 芳子(ありかわ よしこ)[2009.4~2013.3]

第12代学長 蟻川 芳子(ありかわ よしこ)[2009.4~2013.3]

本学は女子大学であり、男女共同参画社会に、女性の特性・感性を十分発揮することができる人材を送り出す重要な責任を負っています。得られる結論は同じでも、そこに至るアプローチの仕方に男女差がある事例を、教育や研究の場で度々見てきました。どちらも対等に尊重できるものであり、「女子大学の存在意義」を確信いたしております。グローバル化、情報化、地球環境や国際経済問題にフレキシブルに反応し、行動できる人材の育成を目指して、更なる学園の改革に取り組みたいと思っております。

(就任挨拶より)

第13代学長 佐藤 和人(さとう かずと)[2013.4~2017.3]

第13代学長 佐藤 和人(さとう かずと)[2013.4~2017.3]

本学園は幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院と一貫教育を行い、さらに生涯にわたる女性の教育に取り組んでいます。日本で最初の総合的な女子高等教育機関である本学園は、女子教育を通して世界に貢献する使命を帯びています。特色ある教育研究領域をさらに発展させ、その成果を世界に発信していく努力も怠ってはならないと思います。幾多の問題を抱える混沌とした現代社会において、いろいろな課題に果敢に取り組む意欲をもつ「地力」を備えた多様な人材を輩出してこそ、真の社会貢献が可能になるといえます。日本女子大学が「活気と魅力のある学園」としてさらに飛躍できるように、教職員全体で力を合わせていきたいと思います。

(就任挨拶より)

学長代行  大場 昌子(おおば まさこ)[2017.4~2019.1]
第14代学長 大場 昌子(おおば まさこ)[2019.1~2020.5]

学長代行  大場 昌子(おおば まさこ)[2017.4~2019.1] 第14代学長 大場 昌子(おおば まさこ)[2019.1~2020.5]

本学のタグライン“Bloom as a leader.”—自己の可能性を開花させて、それぞれのステージでリーダーになる—は、本学の教育が目指す姿勢を示しています。この社会的使命を果たすために、本学は女性が生涯にわたって自分らしく生きるための多彩な学びをより一層充実させてまいります。
創立120周年、そしてその先の未来に向けて日本女子大学はこれからも改革の手綱を緩めず、変化の激しい社会をリードしていくための本物の実力と自信を養う教育を強力に推進いたします。
(就任挨拶より)