日本最大のファッション展「FaW TOKYO」の特別講演に被服学科学生が登壇!

2024.05.23

2024年4月17日(水)、東京ビッグサイトにて開催された、第11回FaW TOKYO(ファッション ワールド 東京)[春](以下、FaW TOKYO)の特別講演に、本学家政学部被服学科4年の福田光(ふくだひかり)さんと池田桃子(いけだももこ)さんが登壇しました。FaW TOKYOはRX Japan株式会社が主催をする日本最大のファッション展であり、世界25か国から800社が出展。開催期間中に延べ22,910人(出展者・報道関係者を除く)が来場しました。
本講演は本学被服学科の松梨久仁子(まつなしくにこ)教授が委員長を務める、一般社団法人日本繊維製品消費科学会・サステナブルファッション研究委員会の企画であり、「私たちのファッションの未来図 ~未来を描くマーチャンダイジングと店舗戦略~」をテーマに学生と企業担当者が対談しました。講演会場には250名を超える方々が集まりました。

■本講演への登壇者一覧
【企業】
・株式会社アダストリア
R&D本部 本部長 兼 チーフクリエイティブディレクター
野田源太郎氏

・三井不動産株式会社
商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部 商業施設運営一部 イノベーション推進グループ エンジニアリングマネージャー
越智将平氏

【モデレーター】
・一般社団法人日本繊維製品消費科学会・サステナブルファッション研究委員会委員
大妻女子大学 家政学部被服学科
吉井健教授

【学生】
・日本女子大学家政学部被服学科4年福田光さん、池田桃子さん
・大妻女子大学 学生2名

写真左から 登壇者での記念撮影。左から吉井教授、野田氏、越智氏、本学の福田さん、池田さん、右のお2人は大妻女子大学学生/PCや手帳へ熱心にメモをとる受講者の姿が目立った
写真左から 登壇者での記念撮影。左から吉井教授、野田氏、越智氏、本学の福田さん、池田さん、右のお2人は大妻女子大学学生/PCや手帳へ熱心にメモをとる受講者の姿が目立った

【講演内容紹介】「サステナビリティ」からファッションの未来を考える

本講演はモデレーターによる企画説明と、学生による活動紹介から始まりました。福田さんと池田さんは「山梨テキスタイルプロジェクト」という活動を紹介。この活動は機織産地の特長をまとめ可視化することを目的に、山梨県富士吉田市(ハタオリマチ)の織元さんたちのご協力のもと、現地調査を経て生地の計測・分析を行うプロジェクトであり、本学教員4名と有志学生13名(卒業生2名を含む)で活動しています。
その後は、2部制で講演が進行しました。第1部「学生の購買行動の報告(調査結果と考察)」では学生4名がマイクを持ち、東京都内を中心とした女子大生602名を対象としたアンケート調査結果を発表。女子大生の購買行動は、サステナビリティだけでなく、より即時的な付加価値を必要としていると考察しました。購入時にそれぞれが個人的に重視しているメリットについて、池田さんは「サステナでも安価!」であること、福田さんは「環境配慮と使い心地」だと述べました。

第2部「企業からの講演」では企業担当者からアパレル業界の最先端が示され、それを踏まえて学生と企業担当者のスペシャル対談を実施。対談の中で株式会社アダストリアの野田氏より「非計画的に購入する状況とは?」と質問があり、池田さんは「たまたま入った店舗で洋服に一目惚れしたときや、ネットのおすすめ欄に出てきた洋服がキラキラしているように感じたとき」と回答しました。福田さんは「私は計画的に購入するタイプですが、雑誌に紹介されているトレンドや、SNSでインフルエンサーがおすすめする商品を購入する方は少なくないのではないでしょうか」と話しました。
最後に会場から「非計画的に購入する際にサステナビリティを考慮しますか?」と質問があり、池田さんが「個人的にはサステナビリティに注目しています。たまたま手に取った服に、残糸(余った糸)が使われていて、周りの学生から高評価だったこともあります!しかし、今回の調査結果を見ると、女子大生はサステナビリティよりもコストやデザインを重要視する傾向があるようです」と説明しています。

写真左から 登壇した福田さん、池田さん。受講者から「朝から連続でさまざまなセミナーを受講しているけれど、この講演が一番学びになった」という声もあった。
写真左から 登壇した福田さん、池田さん。受講者から「朝から連続でさまざまなセミナーを受講しているけれど、この講演が一番学びになった」という声もあった。

【登壇学生インタビュー】FaW TOKYOを終えて

FaW TOKYO登壇の翌日、家政学部被服学科4年の福田さんと池田さんに、FaW TOKYOで感じたことや、被服学科での学びについて伺いました。

—FaW TOKYOへ、どのような気持ちで臨みましたか?
池田:緊張しました!ですが、今回の講演のテーマ「サステナビリティ」に対して、関心が高かったので楽しみな気持ちもありました。関心を持ったきっかけは、学生活動で紹介した「山梨テキスタイルプロジェクト」で、環境への配慮はもちろん、後継者へ技術を繋いでいくというサステナビリティへの取り組みについて、山梨のハタオリマチの方々から学んだことでした。
福田:私は昨年度もFaW TOKYOに参加したので、2回目の登壇でした。前回は自分たちの調査結果を発表することに精一杯だったので、今回は対談する企業の方や受講される方にとって少しでも有益な講演をしたいと思って臨みました。
 
—登壇で学んだことについて教えてください。
池田:今回学んだことは大学と企業とでサステナビリティへの向き合い方が違うということです。大学ではアパレル業界全体が理想の姿になるよう活動していますが、企業では自社でやるべきことを現実的に分析し、それぞれ熱意をもって行動されていると感じました。私は来年度社会人になるので、そうした姿勢も身につけたいです。
福田:環境配慮は重要だけれど、ビジネスでは消費者のメリットと両立させていくことが重要だと改めて学びました。また、私たちの話を真剣に聞いてくださった企業の方々の姿勢を見て、私も社会に出てから多くの声に耳を傾ける姿勢を大切にしたいと感じました。
 
—家政学部被服学科で、ご自身が研究しているテーマは何ですか?
池田:被服構成学研究室(武本歩未講師)で「中高年男性のパンツにおける、機能性と審美性の関係」をテーマに研究しています。被服に関するデータが少なく、体型が変化し始める中高年男性に着目しました。アンケート調査に加え、中高年男性に実際にパンツを着用いただいて、それを見る人の視線がどのように動くか視線追尾計測器で計測して分析する予定です。あまり注目されてこなかったマイナーな視点を今後も大切にしていきたいです。
福田:衣材料学研究室(松梨久仁子教授)で、特定の飼育方法によって育成した食用羊メルティーシープの毛を共同研究している企業より提供してもらい、その羊毛を使った褥瘡(じょくそう)予防パット(身体が動かせない方の床ずれを防止するためのパット)の研究をしています。先輩から引き継いだ研究であり、羊毛の吸・放湿性や弾力性を生かした製品化を目指しています。通常は廃棄される国産食用羊の毛に着目している点が、今回の講演テーマ「サステナビリティ」に通じています。
 
—今後、被服とどのように関わっていきたいと考えていますか?
池田:私はアパレル業界全体でサステナビリティに取り組みたいという思いがあります。パターンやデザインは企業ごとにオリジナリティがあればあるほど、消費者の選択肢が増えるので素敵だと思いますが、サステナビリティは大きな規模で取り組まないと地球全体へ貢献できないと考えているからです。現在、就職活動をしているので何らかの形で、アパレル業界全体のサステナビリティに貢献できるような働き方ができたら嬉しいです。
福田:私は家庭科教員を目指す教職課程を履修していて、6月に高校での教育実習を控えています。環境配慮を軸に衣生活について生徒と考える授業がしたいと思っています。また、環境配慮の中でも廃棄物削減が重要で、そのためには商品の品質向上が欠かせないと考えているので、将来的には「長く愛用される服」「リサイクル・アップサイクルされる服」を世に送り出す品質管理にも携わってみたいと考えています。
 
—これから被服学科への進学を考えている高校生へ、メッセージをお願いします。
池田:本学の被服学科は1つの興味を深めることも、広げることもできる学科だと思います。服を作るだけでなく、材料・造形・衣環境・整理染色・美学・消費など、被服全体を多角的に学べるので、「服」に興味がある人だったら楽しんで学べるのではないかと思います!
福田:自分が少しでも興味あるところに飛び込んでほしいなと思います!被服学科は裁縫が苦手な人、理系分野の勉強に自信ない人でも大丈夫。授業ではサポートの先生がいてくださるし、先生方がとても優しいので安心して授業が受けられます。高校時代、私は文系でしたが、今は理系分野のゼミで楽しく研究ができています。
写真左から 対談では他大学の学生と意見交換をしながら学びを深めていた/講演後、被服学科松梨教授と
写真左から 対談では他大学の学生と意見交換をしながら学びを深めていた/講演後、被服学科松梨教授と