附属豊明幼稚園・附属豊明小学校・(株)ゼンリンとの連携講座を開催

2023.06.07

プログラミング教材を体験して「世界」を考える最新地理講座

附属豊明幼稚園・附属豊明小学校・(株)ゼンリンとの連携講座を開催

プログラミング教材を体験して「世界」を考える最新地理講座

5月22日(月)成瀬記念講堂で、附属豊明幼稚園・附属豊明小学校・(株)ゼンリンとの連携講座「保護者・学生と学ぶ最新地理講座『イマジン』から考える現代の世界像」が開かれました。本講座は日本女子大学生涯学習センターが提供する公開講座のひとつで、一般の方、附属幼小の保護者、学生、卒業生が受講しました。本学が重要と考えるSTEAM教育(※)の要素も取り入れた講座です。

「地理総合」では何を学ぶ?

2022 年度から高等学校において必履修科目となる「地理総合」が新設されました。「地理」は、日本・世界の分析・理解を踏まえた「未来志向」の科目へと変わり、持続可能な社会を築く人間の育成、防災やSDGs といった現代社会の課題解決につながる科目として注目されています。
そこで、これまでも附属豊明小学校でSDGsに関わる出前授業をしていた、人間社会学部教育学科の田部俊充教授が講師となり、小学校でも導入されている(株)ゼンリンと共同で研究している地図を活用したプログラミング教材「まなっぷ」を用いて、最新地理と地理から見えてくる世界について講義をしました。受講者は各自パソコンやタブレット、スマートフォンを使用しながら体験する授業となりました。

最新地理について講義をする田部先生

大人も体験!プログラミング教材「まなっぷ」

「あなたは豊坂を下り、豊川稲荷神社の横を通り、神田川にかかる豊橋にいます。川が氾濫したらどこに逃げますか?」
この問いに対して、国土地理院の地理院地図の使い方を習い、本学周辺の標高を確かめながら各々が逃げる道のりを確認する演習をしました。
続いて、プログラミング教材「まなっぷ」を体験。地図上にキャラクターを置き、プログラミングでキャラクターを動かしたり、「雨が降ってきたぞ」「標高が高いところに逃げよう」「豊明幼稚園まで逃げてきたぞ」と喋らせたりなど、思い思いに触ってみました。
田部先生は、防災については避難も大切だが、日頃から場所についてよく知っておくこと、歩いて知ることが、防災にも役立つことになると話しました。

左:学生も一緒に受講者をサポート 右:実際にプログラミングを体験

ジョン・レノン「イマジン」から考える現代の世界像

後半は視野を広げて「世界」に目を向けました。
田部先生が引率したスウェーデン短期研修(教育・保育・環境・ESD)の報告に続き、田部先生と附属豊明小学校の先生方が取り組んできた「世界」の出前授業を体験しました。今年度は「スウェーデン・北極から地球温暖化について知り、○○○○から世界の平和について考えよう」が学習テーマとなっており、北極海の氷の変化を見て、なぜ小さくなってしまったのかを考えたり、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんについてどんなことを思ったのかなどを考えたりました。また、田部先生は訪問してきた米国ESRI社(GIS(地理情報システム)関連企業)で見てきたものなどを紹介しました。

最後は、ジョン・レノンの楽曲「イマジン(1971年発売)」から考える現代の世界像と題した講義でした。田部先生はイマジンの歌詞を紐解きながら、移民国家アメリカの歴史をたどり、地名や建造物を紹介しました。「地理総合」の3つの柱の1つである「国際理解と国際協力」の「生活文化の多様性と国際理解」では、「世界の多様性のある生活・文化について理解させる」ことが求められています。今後は、地理学的要素に加え、「多様性」「移民」「同化」といった多文化共生に関わる概念をどのように取り入れていくかを検討する必要があるそうです。
「地理には苦手意識を持つ方も多いが、日常で地図アプリを使う方は多いでしょう。地形も変わってくるものですし、世界で起こっていることを地理で見ていくととても面白い」と述べました。

講座の締めくくりとして、田部先生が「イマジン」の弾き語りをしました。全員で歌詞を読みながら聴き入り、今世界で起きているさまざまなことについて一人ひとりが考える時間を持ちました。
受講者からは、「地理とは、世界で何が起こっていて、自分がどう向き合うかを考える学問だと気づいた」「地理はただ覚えるだけの教科ではなく、生きている教科だと思った」「自分が小学校時代にきちんと地理を勉強して来なくて後悔した。親になってみて、防災や世界平和を教える上で大事だということに気づいた」といった感想が寄せられ、地理に対する新たな気づきを得た時間となりました。

田部先生が弾く「イマジン」を聴きながら、それぞれが「世界」について考えた

日本女子大学生涯学習センターでは、在学生のためのキャリア支援講座の拡充なども図りながら、「公開講座」「リカレント教育課程」などを通じて、卒業生をはじめ、一般の方々に、生涯にわたった学習機会の提供を推進しています。

(※)STEAM教育
科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語。5領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念。