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2023/05/21

  • 未来のワタシ

Vol.11「好きなことを仕事に」

  • 中学生のワタシ
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  • 現在のワタシ
    現在のワタシ

 中学校での3年間は、今振り返っても本当にたくさんの出来事が色鮮やかに蘇ります。朝から夜まで学校で起こることが全てだったと言っても過言ではないでしょう。
 今思えば、私はみんなでひとつのものを作り上げるということが大好きでした。3年生の時には十月祭の副実行委員長となり、その年のテーマ『JAPANESQUE』を発表する会のためにイメージビデオを作りました。友人のご実家の旅館から同じ浴衣を借りて大ホールの舞台で映画のワンシーンのように激しく踊る映像を撮ったのです。ずいぶんと大掛かりな企画でしたが、先生方も私たちのやりたい!という熱意に応えて企画をやり遂げる手助けをしてくださいました。何度も何度も踊って撮り直して、みんなで倒れこむようにやり終えた時の達成感は何にも代えがたい瞬間でした。文句ばかり言うのにやりたいことは貫き通す、あの時はさぞ生意気な生徒たちだったと思います。今謝っても遅いでしょうか・・・。しかし、そんなときも子供としてではなく、ひとりの人間としてまっすぐ向き合ってくださる先生方の目を今でも思い出します。生徒の自主性を尊重して見守ってくださるその安心感の中で、私たちは自由に羽ばたけていたのだなと先生方や学校の環境には心から感謝しています。

 みんなでひとつのものをつくりあげる、これは今の私の仕事にもつながっています。中学校でコーラス部に所属していた私は、音楽大学と大学院に進み、イタリアでの留学を経て、現在音楽の世界で声楽家・オペラ歌手という仕事をしています。オペラはひとつの舞台をたくさんの人で作り上げます。良い作品をお客様に届けたいというひとつの目標に向かって全員が出せる力の全てを出し尽くします。特にオペラはマイクなしの生の声を届けるという性質上、ミュージカルのように何十回も昼夜公演を重ねることができません。1か月から2か月をかけて稽古を積み重ね、数少ない本番の数回で集大成を披露するのです。この時の緊張感と充実感を共有できる仲間がいること、そしてそれをお客様とも共有できること、ここに舞台の魅力があるのではないかと思っています。
 日本女子大学附属で出会った友達は卒業し、違う大学へ進んでも、今でも変わらずかけがえのない存在です。10年以上という月日が経っても尊敬できる、励まし合える家族のような友達に出会えたことは私の一番の財産です。彼女たちがそれぞれの場所で輝いていると、私ももっともっと頑張ろうと刺激をもらいます。日本女子大学附属での日々を思い出し、これからも一歩一歩成長し続けることで、毎日を輝かせていきたいです。

59回生 相原 里美
声楽家・オペラ歌手