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2023/07/24

  • 未来のワタシ

Vol.12「自ら課題を見つけ、考え、伝える力」

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 私は今、大学教員をしています。日本女子大学附属高等学校時代、自治会総務で「清掃キャンペーン」を失敗したことをきっかけに「ごみ」に興味を持ち、以来ずっとごみの魅力にとりつかれ、現在はごみの研究・教育を行っています。大学教員の仕事は、関心のあるテーマを見つけ、調査・分析を行い、じっくり考えて結論を出し、論文・学会発表・授業等を通して発信することです。「自ら課題を見つけ、考え、伝える力」を必要とします。私はこの力の基礎的部分を、日本女子大学附属中学校で身につけることができたと感じています。

 最も印象的な出来事は「年間研究」という課題でした。3年生が一年間かけて、自分の興味のあるテーマについて研究を行うものです。私は当時興味を持っていた「カブトエビ」という生き物の研究をしました。田んぼに生息する、生きた化石と呼ばれる生き物です。生態や食性を観察したり、博物館で資料を集めたりしました。本に書かれていることは本当なのか色々な実験を行い、失敗したり成功したりしながら結果をまとめました。1つのことをとことん追究する面白さを感じたことを覚えています。最後に発表の機会がありました。すっかりカブトエビに愛着を持った私は、同級生にもカブトエビの魅力を知って欲しいと思うようになりました。どうすれば興味を引く発表ができるか悩んだ末、発表の冒頭を「なぞなぞ形式」で開始することにしました。「私はカブトエビの研究をしました。カブトエビは目が3つあって、足が82本くらいあって、甲羅を持っています。どんな生き物だと思いますか?」そう言って少し待った後、カブトエビのビデオを流しました。その時同級生が「わぁー!」と目を輝かせて反応してくれた様子を、今でもよく覚えています。人に伝えることの楽しさに気づいた瞬間でした。

 日々多くの情報に溢れ、AI技術が飛躍的な進歩をとげた現代社会において、「自ら課題を見つけ、考え、伝える力」はますます問われていると感じます。しかしながら、こうした力は突然身につくものではありません。日本女子大学附属中学校はこの力を育む環境で溢れています。毎日の授業、宿題、クラブ活動、自治会活動、遠足まで、ありとあらゆるところに、その機会がちりばめられています。そしてそれを全力でサポートくださる先生方・職員の皆様がいらっしゃいました。心より感謝しております。先生方のご指導によって、私は自分の好きなことを仕事にすることができ、本当に楽しい毎日を過ごしています。これからも多くの方が日本女子大学附属中学校で学び、すてきな人生を歩んでいかれることを心より願っております。

53回生 梅川(旧姓 石井) 由紀
神戸学院大学 現代社会学部