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2022/07/08

  • 未来のワタシ

Vol.05「こたえはすぐに出なくてもいい。考え続けよう」

  • 中学生のワタシ 生徒会総務での集合写真
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  • 現在のワタシ
    現在のワタシ

 私が附属中学校・高校での6年間を通してたどり着いた、人生のモットーです。

 中学校・高校時代というのは誰しも少なからず、自分がどんな人間であるか、将来どんな人間になりたいのかという問いを抱え、大きな不安の中で過ごす時間だと思います。私自身、大学時代も含めてその問いの答えをひたすら探していたことを思い返します。

 附属中学校・高校での6年間は、自分の中にあるそんな混沌とした悩みに徹底して向き合うことに多くの時間を費やすことが許された、本当に贅沢な時間でした。そして、自分の考えがたとえきちんとまとまっていなくても、文章にして授業でスピーチしたり、日々の生活の中で友人たちと話し合うことを通じて、「誰かに伝える」ということが必ずセットだったように思います。
 考えて考えて、それを言葉にして誰かに伝えることで、はっきりとしたこたえは出なくても、その時の自分の現在地がわかる。そうすれば、ずっと先の未来までは見えなくても、自分が次の一歩をどこに踏み出せばいいかがわかる。すぐに大きなこたえは出なくても、それを繰り返して少しずつ進んでいけば良いんだ…自分自身や将来に対する大きな不安を抱えた中学・高校時代に、附属での6年間はそのことを教えてくれました。それは、確実にいまの私自身のすべての根底にあり、迷った時の道標になっていると感じます。

 そして、そんな自分と同じように毎日暗くなるまで悩み、お互いの考えをぶつけ合い、話し合った附属時代の友達のことが、私は今も大好きです。自分自身に向き合うだけでなく、学校内では誰もが自治活動や行事・部活などのコミュニティのなかで何かしらの役割を持ち、自分がやるべきことに向き合っていました。何が好きで、何に打ち込むかは人それぞれだけれど、自分がやると決めたことは徹底的に頑張る、ということは皆に共通した暗黙の約束だった気がします。みんな頑張っているのは同じ。そう信じられる友人たちがいてくれることは、私にとってきっとこの先もずっと、心の大きな拠りどころです。

 社会人10年目となった今も、抱える悩みや不安は突き詰めれば本質的には変わりません。日々自分とは違う価値観の人との出会いの繰り返しですし、世の中や働く業界の状況、自分の役割も目まぐるしく変化する中で、自分はどうありたいのか、何ができるのか、何を正しいと思うのか?と悩み続ける毎日です。でも、考え続ければ少しずつ前に進めるし、人と話せば信頼できる大好きな仲間が増えます。中高時代は今考えればごく些細なことに日々本気で悩んでいたなぁと思い返しもしますが、当時の自分にとっては大きな問題だった一つ一つに、大好きな友人たちと共に真正面から向き合う環境で中高時代を過ごせたことこそが、そんな今の私をつくってくれていたのだと、歳を重ねるにつれ強く感じています。

59回生 林田 英里
テレビ東京