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2022/06/08

  • 未来のワタシ

Vol.04「キャリア教室の帰り道に思うこと」

  • 中学3年次 十月祭行事委員
    中学3年次 十月祭行事委員
  • 2018年度 キャリア教室にて
    2018年度 キャリア教室にて

 ここ5年ほどキャリア教室にて卒業間近の中学3年生にお話させて頂く機会を頂いているのですが、その度に驚かされることがあります。「将来のために、今やっておくべきことは何ですか」と毎年必ず質問されることです。自分と向き合う機会を多く与えられているのだろうなと感じます。「将来やりたいことがわからないです」と涙ながらに相談してくれる中学生の姿をみると、等身大の素直な悩みなのだろうということが伝わってきます。

 振り返れば私も、彼女たちと同じような気持ちで中高時代を過ごしていたように思います。コミュニティでの人間関係、委員として与えられた条件の中でいかに十月祭を盛り上げていくか、そして将来への漠然とした不安。今思えば些細に感じられることでも、友人たちと納得いくまでひたすらに考え、話し合う日々でした。自分のことだけを悩み、考えることが許された環境がいかに貴重で贅沢なものだったのか。今になってそのありがたみを実感します。
 そんな自由で裁量権の多かった校風から得た「他人ではなく自分が納得する答えを、自ら考えて行動する力」「想いを共有して切磋琢磨できる友人」には、社会人になった今でも支えられています。物事を鵜呑みにせず、自らの理解や想いを、そして人を大切にしながら仕事に臨める姿勢は中高時代に培われたものです。また友人に感じるのは、得意不得意はそれぞれだけれど根っこは似ているような安心感。それぞれが自分の道を力強く進んでいる姿に勇気をもらいますし、今でも話すととても良い刺激をもらえます。キャリアに迷うのは在学中だけでなく、卒業後の自分も変わりありません。そんなとき、この学校で得た財産に助けられる機会は、在学中より多いと感じています。

 キャリア教室では「私は社会に出てとてもたのしいよ。そこでふと役に立つ経験をこの学校で今たくさん積めているよ」ということが少しでも伝わればいいな。そんな気持ちでお話させて頂いていますが、それは何年も前に同じ学校に通っていた卒業生の経験談に過ぎません。情報量や選択肢が増え、かつご時世的な悩みも尽きない今の中学生は当時より遥かに大変なのだろうと想像するので、そういう考え方もあるな、くらいの気持ちで聞いてもらえていたら嬉しいです。
 帰りの坂道、忘れかけていた初心を思い出すと共に勇気と自信をもらっているのは私の方だなと感じています。この学校で得た信念や友人があれば、この先も迷いながらも楽しく乗り越えていける気がしてきます。

59回生 水留 悠
(株式会社 電通)