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2022/03/01

  • 未来のワタシ

Vol.01「時が経っても色褪せない"原点"での日々」

  • 中学生時代の「ワタシ」
    中学生時代の「ワタシ」
  • 大学生時代の「ワタシ」
    大学生時代の「ワタシ」

 日本女子大学附属中高で過ごした日々を思い出すたび、そこでの経験が私の原点であり軸であることを強く感じます。膨大な量の文章を書きながら自分の内面と向き合った国語の授業をはじめ、表現することの楽しさに改めて気づかせてくれたのが中学校での学びでした。常に「わたしがわたしであること」の源泉を探り、自分自身と向き合う機会を得たこと。そして個性豊かな仲間に囲まれながら「あなたがあなたであること」を認め合う空間に身を置けたこと。こうした「自分らしさ」の探求と相互の認め合いを通じて軸を形作ろうと努力した道のりこそが、6年間で得た糧であると思います。
 自治の精神のもと、学校生活にまつわることすべてを生徒主体で動かす過程では、多くの困難にぶつかりました。クラスや委員会で出た意見を実際の生活にどう反映させるか、自治活動を活性化させるにはどうしたらいいか、規約をどのような観点から見直すか……悩みは尽きず、自由に伴う責任の重さを痛感する日々でした。しかしそのなかで、当たり前の日常をよりよくする力として「自治」を捉え、議論を尽くす過程こそが日々の原動力になるという気づきも得ました。こうして異なる意見からコンセンサスを導く難しさと面白さを感じたことが、大学で政治学を専攻した理由の一つです。現在、私は西洋政治思想を専門とし、教育論の古典をフェミニズムやジェンダー論の視点から読み解くべく研究をしています。ジェンダー間の不平等や教育格差について興味を持ったのも、性別などのアイデンティティを重要視しすぎることなく一人の「人間」として生徒に接し、自由な個性と未来に拓けているすべての可能性をおおらかに肯定してくれた環境のありがたさに改めて気づいたことがきっかけでした。新たな挑戦やリーダーの役割を担うことに対して前向きになれたのも大きな財産です。私が選択してきた道を辿るとそこに必ず中高での経験があることを実感し、心から感謝しています。
 中高で過ごした日々は私にとって宝物であり、それを深く共有した仲間たちの存在と活躍が何よりも大きな刺激であり自慢です。いくら時が経とうとも、中学校での経験は自分自身の「力」となって色褪せずに残り続けるはずです。どうかこれからも、緑豊かな学校が生徒の皆さんにとって心の拠り所であり続け、たくさんの「わたし」と「あなた」の縁が結ばれる空間であることを願ってやみません。

68回生 源川 まり子
(慶應義塾大学 法学部政治学科 4年 在籍)