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2022/03/14

  • 未来のワタシ

Vol.02「私の血肉となっている本校での学びについて」

  • 3年の夏 テニスの全国大会に出場
    3年の夏 テニスの全国大会に出場
  • 大学生のワタシ
    大学生のワタシ

 附属中学校68回生の柳澤良美と申します。附属中学校・高等学校を卒業し、現在は東京大学教養学部4年生です。今回は、「私の血肉となっている本校での学びについて」というテーマでお話しさせて頂きます。勉学と課外活動の二つの面における学びを述べた後、それがどのように現在の自分に繋がっているかお伝えしたいと思います。

<考えることは楽しい>
 中学校における勉学面での一番の学びは、考えることの楽しさを知ったことです。きっかけは国語の授業でした。国語の授業では、『銀河鉄道の夜』から始まり『アンネの日記』『車輪の下』など、数多の文学作品を深く読み解きました。授業や試験では、型にはまった正解は存在せず、基礎的な知識や思考方法が提示されたうえで「あなたはどう考えるか」がとことん問われます。私は、作品と向き合い自分なりの答えを紡ぎ出す過程に純粋な知的楽しさを見出しました。思考への没入に魅了された、というところでしょうか。この体験を端緒として、教科を問わず、問題にじっくり向き合うことや新しい知識を得ること(つまり、勉強)が好きになりました。

<「私が私であること」「あなたがあなたであること」>
 課外活動での最大の学びは、各人の個性を尊重する価値観、すなわち「私が私であること」「あなたがあなたであること」を尊重する価値観を培ったことです。私は中学生の時、硬式テニス部に所属しつつテニススクールにも通い、毎日テニスに打ち込んでいました。中学校は、豊かな学習環境を基礎としつつ、各生徒の個性を尊重し育てる風土があり、その中で生徒同士もお互いの努力を認め合い応援する関係性が育まれていました。私はこの環境があったからこそ、全力でテニスに打ち込み、個人戦で神奈川県大会優勝、団体戦で全国大会3位という結果を残すこともできました。こうした経験を通じて、互いの個性や努力を尊重する価値観の尊さを実感し、私自身もこの価値観を内面化していきました。

 以上2点の学びは、その後の私の人生に大きな影響を与えています。私は中学を卒業する頃にテニスを辞めて勉強に打ち込み始めましたが、それは中学時代に勉強の楽しさを知ったからに他なりません。そして私は、最高水準の学問に接したいと考えて東京大学を目指しました。これは、それまで専らテニスに打ち込んできた私にとっては無謀にも思われる目標だったと思います。しかし、附属中高の先生方と友人達は、誰一人笑うことなく、私の意志を尊重し、応援して下さりました。その恵まれた環境があったからこそ、伸び伸びと勉学に打ち込み、東京大学に入学することができました。大学での学問の探究においても、思考することの楽しさが根本的なエネルギーになっています。また、他者を尊重する価値観は、現在の私の周囲の豊かな人間関係のエッセンスとなっていると感じます。

 附属中学校・高校は、それぞれの生徒の可能性を最大限引き出し、羽ばたかせてくれる場所です。もちろん、羽ばたき方は十人十色。後輩の皆さんが、附属中学校で豊かな時間を過ごし、自分だけの羽を手に入れて人生の糧とされることを、心より応援しております。

68回生 柳澤 良美
(東京大学 教養学部教養学科 4年 在籍)