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2025/09/30

  • 校長より

「空に吸はれし 十五の心」(2025/09/30)

 先日、中学2年生と一緒に東北校外授業に行ってきました。
 昨年度から少しずつ学んできたことを、自分の目と耳と心で直に触れて感じ取る旅になったと思います。国語科では松尾芭蕉や高村光太郎、太宰治、宮沢賢治などにゆかりのある場所や記念館などを訪れました。少しだけ残念だったのは、長年コースに入っていた石川啄木関連の見学地を、時間等の関係で入れられなかったことです。彼の生涯や短歌については学んだので、岩手山や姫神山、北上川などを実際に自分の目で見て、啄木の心を想像しながら短歌を味わえたなら、現地に赴く意味はあったことでしょう。
 啄木は15歳の時の自分を懐かしむ歌をいくつか詠んでいますが、この時期のみずみずしい記憶はいつまでも心に刻まれるものなのかもしれません。9月はたくさんの卒業生たちが本校を訪れ、中学生たちにお話しくださる機会がありました。そこで語られる中高時代の思い出は、今でも色鮮やかに蘇る大切なものであることが伝わってきました。

 生徒会主催の講演会では、医師で日本初のオストメイトモデルとして活躍していらっしゃるエマ・大辻・ピックルスさん(47回生)にお話し頂きました。「中高時代は目の前にある課題や挑戦にベストパフォーマンスを出す」ことが大切であり、「未知の一歩を踏み出すためには自分の強みを分析し、それを生かせる場について時間をかけて考え続け、見つけていく」過程が重要であること、等々。「自分の力では変えられないこと」は受容しつつも、その中で何ができるかを模索することでポジティブな自分自身を作り上げてきた大辻さんらしい輝く言葉が紡がれ、とても勇気づけられました。常に「自分はどう在るべきか」を問われ続ける本校の卒業生らしい、力強くも温かみのあるメッセージでした。

 1年生に向けて行われた「ようこそ先輩」。大学生となった卒業生たち12名が、中高時代を振り返りながら「学校生活で大切にすべきこと」について語り、中学1年生ならではの学習や友人関係などについての悩みにたくさんのアドバイスを下さいました。また、国立西洋美術館 研究員の久保田有寿さん(55回生)からは、見学に先立つ西洋美術館の概略と作品についての講義とともに、今の仕事に繋がるような中高時代の思い出もお話いただきました。

 中学3年生の選択校外授業「東南アジア 異文化交流の旅」コースでは、シンガポール在住の卒業生(59回生)から「海外で働くということ」「海外での子育てについて」などの具体的なお話を伺い、ディスカッションの機会も得ました。

 卒業生だからこそ伝えられる言葉があるのだと思います。長い歴史を持つ本校には「語るべき自己」を持ち、道を示してくれる卒業生が溢れるほど存在しているのだと、感謝の気持ちで一杯になりました。本当にありがとうございました。今週末の十月祭でお会いできることを、心より楽しみにしています。

 校長 野中 友規子
  • 生徒会総務主催 講演会 大辻エマさん
    生徒会総務主催 講演会 大辻エマさん
  • 1年 ようこそ先輩
    1年 ようこそ先輩
  • 1年 西洋美術館見学 事前講義
    1年 西洋美術館見学 事前講義