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2025/06/10

  • 校長より

「緑色の太陽」(2025/06/10)

  中学2年生はこの1学期「東北講座」と銘打って、9月に実施する東北校外授業の事前学習を行っています。東北地方には本学とゆかりの深い場所や人物が様々に存在し、その地を巡りながら国語(文學)・社会(歴史)・理科(地層や地形)・美術(彫像)・家庭科(郷土料理)などを教科横断的に学ぶのです。
 事前学習は、基本的な内容を押さえつつ、学年によって様々なアプローチの方法を取りながら進めるので、その学年らしい独自性のある展開になります。現2年生の80回生は、東北校外授業委員の生徒たちが中心となって準備を進め、クイズ形式を取り入れたスライド資料を作成して理解を深める工夫を凝らしていました。
 6月の初めに行ったのは「髙村光太郎について」の事前学習です。詩人で彫刻家の髙村光太郎は本学創立者の胸像を制作し、その妻智恵子は日本女子大学の出身であることから本学に深いゆかりのある人物です。委員の生徒たちは光太郎の芸術論集『緑色の太陽』(岩波文庫)から以下のような文章を引用していました。
 

人が「緑色の太陽」を描いても僕はこれを非なりと言わないつもりである。僕にもそう見える事があるかも知れないからである。「緑色の太陽」があるばかりでその絵画の全価値を見ないで過す事はできない。絵画としての優劣は太陽の緑色と紅蓮との差別に関係ないのである

 
 光太郎の文章は少し難しかったかもしれませんが、「自分の考え、価値観を徹底的に追求する」校風の中で過ごしている生徒たちにとって、心に響くものがあったのではないでしょうか。光太郎はまた、次のようにも述べています。
 

僕は芸術界の絶対の自由を求めている。

……あらゆる意味において、芸術家を唯一箇の人間として考えたいのである。

……僕が青いと思っているものを人が赤だと見れば、その人が赤だと思うことを基本として、その人がそれを赤として如何に取扱っているかをSCHAETZEN(評価)したいのである。

 
「光太郎が求めたものは現在の私達にとっても大切なこと」と生徒たちが受け止めたところに、成長を感じた時間でした。
 校長 野中 友規子
  • 大ホールで行う「東北講座」
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  • 生徒作成スライド ~「手」について~
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  • 生徒作成スライド ~高村山荘~
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