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2024/12/09
- 校長より
「繋ぐ想い」(2024/12/09)
先日、中学2年生の総合の授業で国際理解教室の講演会を行いました。本校では数年来、アフガニスタンという国に着目しています。この国について学ぶことで、国際社会に貢献することや世界の平和について考えていきます。
講師は、以前本校の校長であった田中若代先生。 田中先生は、2002年8月にアフガニスタンの首都カブールを訪れました。これは、日本政府によるアフガニスタン復興支援の一環として締結された、5女子大学コンソーシアム(お茶の水女子大学、津田塾大学、東京女子大学、奈良女子大学、日本女子大学)のもと行われる「アフガニスタン女子教育のための女性教員研修プログラム」実施に向けて、事前調査団として派遣されたものでした。田中先生はまた、翌年の2003年8月にもJICAの教員教育専門家としてカブールを訪れています。
そのご縁で本校では、アフガニスタンの女性教員の来日に際して交流会を開き、数年にわたって女子留学生の招聘にも携わりました。今は連絡が途絶えてしまっていて、当時本校を訪れた彼女たちがどのように暮らしているのか知る由もなく、遠くから無事を祈るばかりです。
田中先生は、カブールでの視察や物理教育のワークショップを通して見えてきた、アフガニスタンの少女たちが置かれている状況、真の国際支援や世界平和とは何かというお話をして下さいました。女性は軽んじられており、子どもたちの多くは学校にも行けず、単純な労働力としてしか見られていない現状を知ると同時に、自分たちの価値観で物事を考えたり一方的な押し付けでは真の支援は行えないことなどを教えて下さいました。
改革には長い時間が必要であり、取り残された国や忘れ去られた国を作ってはいけないこと、相手国の伝統や文化を尊重しながら共存していくことこそが真の国際平和に繋がり、そのような「共生」という生き方は日本人の得意分野だとも仰っていました。
物理を専門とする教員であったから、世界共通語としての理科があったからチャンスが与えられ、新たな世界が開かれたというご自身の経験から「しっかりと勉強して、専門性を身に付けることが必要。プロフェッショナルとして活躍できる力を持って、国際社会に貢献してほしい」という力強いメッセージも頂きました。
今回の講演は、中学時代にアフガニスタン訪問から戻られた直後の田中先生からお話を伺い、感銘を受けたという卒業生の教員が企画をしました。今、自分が担当している生徒たちにも、ぜひ問題意識を持って色々と考えてほしいという願いから、実現したものです。
こうして、人や想いが脈々と繋がっていることこそ、本校らしさなのだと改めて感じた1日でした。