コンテンツ
2024/07/26
- 校長より
「風立ちぬ…」(2024/07/26)
1年生と共に、軽井沢三泉寮にやってきました。風が木々を揺らす度に木漏れ日も煌めき、一面に深緑の世界が広がっています。1年生はここで創立者の想いに触れ、学ぶ意味や友人との関わり方、学校という社会の中での自らの役割についてゆっくりと考えて過ごします。
三泉寮は、1906年から行われている夏季寮生活の場所です。目白の地に日本女子大学を設立する際にも尽力した三井家の支援により、寮舎も建てられました。軽井沢聖パウロカトリック教会の裏手、旧軽銀座から少し入った便利な場所にあるのですがとても静かで、鳥の声と木々を渡る風の音が心に清々しい素敵な所です。寮舎こそ建て替えられていますが、明治のころから幾多の女学生たちがここに集い、将来を夢見て語り合いながら過ごしたことを考えると不思議な感覚に捉われます。大樅の木の下で、大正時代から歌い継がれている「山響」を皆で歌うとなおのこと、過去と現在と未来は確実に繋がっているのだと実感します。大学15回生の作詞によるこの歌は、この地で歌うことに意味があるのです。
中学生たちは、吹き渡る爽やかな風の心地よさに浸りながら部屋で友達とおしゃべりをしたり、庭でバドミントンに興じたりして楽しそうです。入浴の合間に行われる組紐や絵手紙のワークショップに参加する生徒、持参した夏休みの宿題や校外授業のしおり(行程や日々の活動の記録をするもの)のまとめに精を出す生徒などもいて、思い思いに過ごしています。他にもチームビルディングやインタビューを通して互いを知るプログラムなどもあり、こういう時間の中で少しずつお互いの距離も縮まっていくことでしょう。
2日目の午後、軽井沢銀座でお買い物をする中学生の見回りのために三泉寮の正面玄関を出た時のこと、懐かしそうに門の中を見つめる女性とその家族の方にお会いしました。伺えば、70年ほど前に高校生としてこの三泉寮で過ごしたとのこと。建物は建て替えられてしまったけれど、と感慨深くお話になりました。せっかくのご縁ですので、寮の敷地をご案内して少しだけ見て頂きました。軽井沢の風が運んでくれた不思議な繋がりを感じる一日となりました。
- 「山響」(15回生作詞・一宮道子編曲)
ほがらかに明くる 高原の朝
鳥も来なきて この日を讃ふ
天が下なる 森羅万象は
憂になげく 蔭もなげなる
偉なるかな 樅の喬木
汝れいつの世にか ここに生まれし
幾春秋を ここに耐え来し
今ぞ我等が 祈りの木蔭
雲よせ来る 曇寄せ来る
雷光きらめく あの山蔭に
忽ちとどろく 雷鳴の悽音
ああ勇ましや 高原の驟雨
我があわれなる 骸は死して
新たなる生命 ここに生る
理想の郷に 進む吾らを
讃美くるとや 天地の合唱
-
胸像挨拶 -
寮の居室で話し合い