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2024/06/17
- 校長より
「世界は1冊の本」(2024/06/17)
読書週間が始まりました。各学年の図書委員が主となって、読書会の企画が進められています。
読書会はもう何十年と続いている恒例の「行事」の一つです。今回、1年生はあさのあつこ作『一年四組の窓から』、2年生は柚木麻子作『終点のあの子』、3年生は川村元気作『世界から猫が消えたなら』を取り上げ、グループやクラス毎に作品について様々に意見交換します。本の選定も図書委員が行うのですが、委員会で何度も話し合って、感じたことや考えたことをお互いにたくさん言い合える本を選びます。もちろん読んで楽しく、心に残る作品であることも大事です。良い話し合いを行うためには作品をきちんと読み通すことが必要なのですが、中学生の毎日はなかなかに忙しく、クラブや委員会活動、授業の課題などの合間にしっかりと読んでもらうためにはどうすればいいか、図書委員たちは知恵を絞っていろいろな工夫をしています。先日、2年生の1時間目の授業に行ったら、ホワイトボード(黒板)に「10分間 朝読書の時間です」と書かれていて、みんな静かに着席をして読書会用の本を読んでいました。一番前の席に座っている生徒に「たいぶ読み進んだ?」と聞くと「一通り読んで、今は2回目です」と話してくれました。図書委員の頑張りに一生懸命に応えようとしているその姿が、とても素敵だなと思いました。
読書会では自由に、思ったまま、何を話しても構いません。どんな小さなことでも、自分では意味がないと思ったことでも、他の人からすればハッとするような新しい視点に繋がることもあります。まずは自分の考えを言葉にして、相手に伝える努力をしましょう。本を読んだり感想を述べたりすることが苦手な人は、チャンスです。友達がどうしてそう考えたのか、たくさん質問をしてみましょう。考えをまとめていくヒントやコツを見つけることができるはずです。読書会の本をきっかけに、本の世界を広げていけるのも、読書会のもう一つの醍醐味と言えるでしょう。
本は、いつも新しい扉を開いてくれます。人を救い、勇気を与え、希望を灯します。私たちは本を通じて人を知り、世界を知り、目に見えるものや見えないもの、あらゆるものとのつながりを感じて心を揺るがすことができる。慌ただしい毎日の中で心をすり減らしながら過ごしていると、つい忘れてしまいがちなことに気づかせてくれるのです。ゆっくりと時間をかけて、本の世界に向きあえるといいですね。
200億光年のなかの小さな星。
どんなことでもない。生きるとは、
考えることができるということだ。
本を読もう。
もっと本を読もう。
もっともっと本を読もう。
長田弘「世界は一冊の本」(晶文社)より