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2023/12/18

  • 校長より

「くれてゆく…」(2023/12/18)

 本日は、終業式でした。十月祭や音楽会などの大きな行事もあった、長い長い2学期が終わりました。学習内容も深まり、今学期の生徒たちは気力と体力を振り絞って過ごしていたと思います。

 終業式では、3年生のスピーチを紹介しました。学ぶことの意義や本質について考えたスピーチで、3年生らしい実感のこもった内容でした。「テストの為に学習し、結果に一喜一憂しながら、自己嫌悪や焦る気持ちと闘っていた」過去の自分。今は「学びは過去と今とを繋げてくれるものであり、また一つの教科だけで完結するのではなく、別の教科とも深く関係する」ことに気づいたそうです。「日々新しいことに触れる毎日だからこそ学びは尽きず、学びとは、一生の付き合いである」こと、「学校を卒業して教育を受ける立場で無くなったとしても、生きている限り学び続ける大人でありたい」ことが述べられていました。
 何のために勉強するのか、意義を見出せずに日々の雑事に翻弄されて、時に空虚な気持ちに押しつぶされそうになる下級生にとっても、3年生のこの言葉は勇気をもらえるものであったことでしょう。大人からの「こうあるべき」という教え諭す言葉よりも、深く心に響いたのではないかと思います。自分はどう在りたいのか、何をすべきなのか。答えは自分の中にしかありません。将来の道が見えていなくても、3年後いえ1年後、半年後でもいいのです。その時の自分がどう過ごしていたいか、考えるだけでも違ってきます。年の瀬でもあり、ふと樋口一葉の短歌が浮かんできました。

 くれてゆく 年の道さへ みゆるかと おもふてばかりに てる月夜かな
 (暮れてゆく年の道のりが見えるかのように、煌々と明るく輝く月夜であることよ)

 先の見えない日々が続く中、明るいお月さまに照らされるように自分の気持ちがほんの少しでも明確になることで、世界が開けるように思い、意欲的に過ごすきっかけがつかめます。来し方を考え、新しい年に向けて気持ちも新たにする年末年始であってほしいと思います。
 皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

校長 野中 友規子
  • 夢十夜に寄せた創作(3年)
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  • 色づく生田の山
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