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2023/06/01

  • 校長より

「点と線」(2023/06/01)

 中学校では、昨日まで中間試験でした。生徒の皆さんは、全力を注いだあとの清々しさにしばし浸り、あとは結果を待つだけ、というところでしょうか。

 試験はそれまで学んだことがきちんと自身の力となり、積み重ねられているかを確認するためのものです。これだけが全てではないとはいえ、本来は単純なものではないはずの「学力」が数字として表れてしまうのは何だか腑に落ちない、という方もいらっしゃるかもしれません。
 知識として身についていなければならないこと。学んだ内容を基に応用して考えること。その他にも、日程を考えながら計画を立て、十分に準備をして臨めたか、などなど。試験は自分の学習方法や向き合う姿勢を問うものでもあります。

 私は国語の教員ですが、本校の国語のテストはほとんどが記述式で自分の意見をまとめ上げるものなので、受ける生徒も大変ですが、採点する私たちも必死で取り組みます。それまでの授業で考えたり意見交換をしたりして、ある程度理解した内容をさらに自分で練り直し、時間との闘いの中で自分の考えとして書き上げなければなりません。それまで部分的に捉えていた主人公の心情などを、作品の全体像を見通しながら再構成するこの時間こそが、実は大きな成長の機会なのです。限られた時間で頭をフル回転させるからこそ、点を一本の線につなげて作品の真髄に迫ることができるのだと言えます。授業と試験をセットにして初めて学びは完結し、これを繰り返すことで力は身につきます。そして一つ一つの教科でこれらを行えば、やがて国語、社会などという「点」が「自分の道」を形作る上で不可欠な「線」となってゆくのです。

 せっかく学んだものを「点」のまま朽ちさせてしまうのはもったいない! 自分の意志と努力で「線」へと紡いでいきましょう。

校長 野中 友規子
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