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2023/05/02

  • 校長より

「言葉のひらく気配」(2023/5/02)

 生田の森は爽やかな風が吹き渡り、木漏れ日が輝いて初夏の気配が漂います。
 五月晴れの今日、本校では学年ごとに親睦や学びを深める行事がありました。
 入学して緊張しながら一か月を過ごした1年生は、この広大な校地を使ってオリエンテーリングを楽しみました。クラス替えのあった2年生は、オリエンテーリングとバーベキューをしに相模湖プレジャーフォレストへ出かけ、3年生はこれから本格的に始まる年間研究の計画を立て、9月に行く選択校外授業の事前学習等に勤しみました。
 オリエンテーリングはグループで協力し、智恵を働かせて問題を解いていかねばなりません。あまり話したことのないクラスメイトとも打ち解けるチャンスです。担任の先生方は、クラス全体が親睦を深めて友達とも仲良くなれるように、グループ分けに工夫を凝らしていました。グループの中では、率先してリーダーとして動いていく人、物静かだけど注意深くて小さなことに気づく人、物知りでひらめきが鋭い人、などいろいろなタイプの人がいます。自分の得意なことを出し合って、お互いに弱点をカバーしながら動けばより良い結果を出すことができます。意見がぶつかれば、歩み寄ることも必要です。その時大事なのは、自分の思いをきちんと出すこと、相手にわかるように伝えること。その過程で、自分では気づかなかったような面が露になることもあります。しかし黙っていては先に進めません。言い過ぎたなと気づけば謝ればいいのです。わかってもらえなかったときは、言い方を工夫すればいいのです。
 1年生は国語の授業で、新川和江氏の「わたしの中にも」(「新しい国語 1」東京書籍)という詩を学んだと聞きました。詩の中で「つくし」が「天に向かって まっすぐ背伸びして」伸びる様子、「蝶」が「ういういしい羽をひろげてはじめての空に」舞い立つ様子を描いた後、こう締めくくられています。

わたしの中にも そのように
ことばのひらく気配がある
たくさんの人に
春のよろこびを伝えることば
ひとりのひとに
思いを告げるただひとつのことば

 言葉は心を近づけるための第一歩。相手を想い、「自分の言葉」で伝える努力をしていきましょう。

校長 野中 友規子
  • 5月の風がそよぐ中庭—みどりの風の像—
    5月の風がそよぐ中庭—みどりの風の像—
  • 陽光きらめく天体観測ドーム
    陽光きらめく天体観測ドーム