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2023/03/19

  • 校長より

「桜咲く春。私は待っている、私の旅立ちを!」(2023/03/19)

 桜がほころび始めた途端の雨。昨日は、春の雨降る卒業式となりました。門出を迎えた76回生の万感こもる涙の雨であったのかもしれません。もちろん私は希望溢れる彼女たちの未来に「幸あれ!」と、笑顔で送り出しました。

 本校の3月は、1年間の学びのまとめを発信する沢山の行事に溢れています。高等学校も3月初めの音楽会で3学年がクラス合唱を披露し、3年生も高校生活を最後まで存分に味わい尽くして卒業していきました。そんな学園です。

 中学1年生の学習発表会は、一年をまとめる話し合いと英語のスピーチに国語ディベート「日本の中学生は幸せか」、そして英語劇「不思議の国のアリス」の発表が続きました。既に2月にあった3年生の見事な年間研究発表会と英語スピーチ発表に感動した1年生は、意欲十分で自分達の会を進行しました。2年生は、全校委員と来年度生徒会総務の企画で学年討論会「集まれ!みんなのColor」を実施。「やりたい!」と自分達から発案した討論会は、話し合う内容の深まりが明らかで、「相手の意見に真剣に向き合うこと、聴くことが自治に繋がる」「一つに留まることなく自分の軸を大切にしながらアップデートして共有していこう」等、確実に最上級生に向けた全体の意識改革となりました。

 そして生徒総会とクラブ発表会の一日。沢山の登壇者、沢山の発表が繰り広げられます。生徒会総務や十月祭等の入念な準備で仕上げた発表はもちろんのこと、学年発表に深く納得して頷くうち、赤裸々な自己凝視と内面の吐露に不覚の涙が出てしまいました。本校生徒は、本当にすごい語り手たちです。恐れずに自分を暴き、他者に語り、そこから前に進んでいきます。そして今回、長い教員生活で初めて最初から最後まで客席で味わえたクラブ発表会は、コーラス・弦楽合奏・演劇・ミュージカルそれぞれの3年生の見事な牽引力を感じた幸せな時間でした。

 もちろん圧巻の卒業式。卒業生代表はこう語りました。「情熱は人と人を繋ぐのだ」「自分らしさを磨くこと、自治によって自己は確立される、自治を通して様々な考えに触れ世界を広げる。それが自分を創っていく」「人と人との繋がりは人生を豊かにする。一個人の持つ個性に触れることが世界を広げ、自分自身を深めていく。」「自分と語り合うことは、まるで謎解きのよう、自分を知る喜びは何にも代えられない。この3年間は自分を磨く時間だった。磨いてきた自分を自分らしく発信していく方法を探っていく、卒業という始まりです!」と。彼女が語るその生の声をお届けできないのが悔しいほどで、会場中が一人の語る成長と決意表明に自分を重ねました。全校生徒と保護者の皆様ご一緒に祝えた最良の卒業式でした。

 私は今日終業式で、太宰治の短編『待つ』を朗読しました。人が行き来する駅のベンチで何かを毎日ひたすらに待っている二十歳の娘。彼女は待ちながら、自分を内省しながら、「私は待っている。私は待っているのです。胸を躍らせて待っているのだ。お教えせずとも、あなたは、いつか私を見かける」と語ります。「待つ」という行為に秘められた自分自身への期待、成長への願いを生徒たちはどう受け止めたでしょうか。心が熟成していく少女時代、何かを待ちながら、私達は自身を育て、時を得て、旅立ちます。お教えせずとも、私は私の好機を掴まえ旅立ちます! 
 満開の桜咲く世界への旅立ちに幸あれ!

 校長 椎野秀子
  • 4年ぶりの生徒による「卒業の歌」は格別でした
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  • 卒業式後の1枚
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  • 卒業生から頂いた素敵なプレゼント
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