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2022/12/15

  • 校長より

「学期末をまとめつつ、挑み、進化する毎日です」(2022/12/15)

 前回国語の哲学対話授業と2年自治の話し合いについてご紹介してから、早1か月半が経ちました。もしやと思い昨年の「校長より」を振り返ってみると、やはり昨年も1か月書かなかった11月の言い訳から「12月の幸せ」を書き始めていました。進歩しない校長です・・・
 それに比べて生徒たちの成長ぶりったら! 2年生自治の話し合いは順調に進み、各クラス自治選挙候補者も出揃いました。候補者を選ぶためでなく、自分たちの納得のいく学校生活を皆で話し合うことが、結果的に候補者選出に繋がっていく。これが本校の責任ある選出スタイルなのです。学年学活の意見交換では、尖った問題提起も出たとか・・・、それも含めて順調な話し合いだったと言えるでしょう。
 期末試験後半の2日間3年生は学年閉鎖となり、テストは延期実施。更に直前まで自宅オンライン授業に切り替えたクラスがあり開催も危ぶまれた音楽会。こうしたコロナ禍の困難を乗り越え、3年ぶりに3学年18クラス全学年が揃った音楽会の開催は感動的でした。ヴァイオリンも合唱も感染対策の2クラスずつの発表です。マスクをつけた生徒たちが大きな舞台いっぱいに広がって歌う名曲の数々は、今でも私の心に響いています。ヴァイオリン演奏の学年毎の上達ぶりも目を見張るものがありました。千住真理子さんが演奏に来て下さった時に生徒の鑑賞姿勢に大きな信頼を置いてくださったことも頷けます。3年ぶりのハレルヤを共に歌い、伝統のメサイア復活ももうあと少しと確信しました。コロナ禍の困難を一つずつ乗り越え、たくましく成長する生徒たちです。

 期末試験が終わり音楽会も無事に終えた今、生徒たちは2学期も終わった気分かしらと校舎を歩いていて、気づかされたことがあります。テスト後に張り替えられた掲示物の数々が教えてくれたのです。本校生徒の学びは、テスト終了と共に終わることはないと。学びは継続し、進化していると。
 1年生の階には、中間テスト終了後にまとめた『銀河鉄道の夜』についての「わたしの作品論」と、新しく創作俳句の掲示。秋の風景に親しみ自分で撮った写真と合わせて創作した俳句が作品になっています。私の見つけたお気に入りの俳句3作を紹介します。「宿題を終えてまぶしいうろこ雲」「夕焼けの朱色に染まる秋の富士」「もみじ散る私は独り雨の中」中学生の嬉しさも感動も孤独感も、様々に揺れ動く感情がこうして昇華され作品となっていきます。
 2年生の階に下りると、まず地理の関東地方のまとめが目に入ります。授業で学んだ知識を、iPadでロイロノートシンキングツールを使って考え、自由にカードにまとめた作品。「通勤ラッシュ問題」「ごみ処理問題」「ニュータウンが抱える問題」「ドーナッツ化現象」等にスポットが当たっていて読み入ってしまいます。もう一つ期末テスト後に提出した『平家物語』の鑑賞作品(*サムネイル写真)。授業で学んだ「那須与一」「木曾最期」「敦盛最期」から心に残った本文を選んで筆ペンで書き下段に鑑賞文。本文を音読で味わったからこそ、テストの大きな枠に鑑賞文をまとめたからこその作品。千代紙やイラストで鮮やかに彩られた上段の装飾は立体化しているものもあり、作品作りを楽しんでいることが伝わってきます。
 3年生生徒会総務が企画した今週月曜日の講演会も大変刺激的な時間でした。自転車で世界一周をした坂本達さんをお招きできたのは、総務生徒の送ったお手紙のお蔭。坂本さんは生徒が一から企画し講演者を選び、依頼の手紙を送ったことに大きな意義を感じて下さり、快諾してくださいました。今年度生徒会基本方針「EnTry」にふさわしい生徒たちの意欲的な精神「挑戦する勇気」に共感して下さり、大阪からやって来て下さいました。「世界に出会いたいと思って未知の地へ出かけたが、実は自分に出会っているのだと気づかされる」「ものの見方一つで見えるものが変わってくる」「誰もやっていないから出来るとも言える」等々、生徒たちに届けられる宝のメッセージ。本校の講演会スタイルである、お話を伺った後その内容についてまとめながら自分の意見を伝える「終わりの言葉」にも感心してくださった坂本さんです。

 学び続ける生徒たち、沢山の出会いをして考え続ける生徒たち、そしてそれを楽しみながら自分のものにしていく生徒たち。本校の学校生活は、学期末をまとめつつ、挑み、進化する毎日です。進化する生徒たちに、明後日の終業式では、及ばずながら、もう一つ世界を広げる話が出来ればと思っている校長です。

 校長 椎野 秀子
  • 1年 国語 創作俳句
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  • 2年 社会 関東地方まとめ
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  • 坂本達さんと生徒会総務
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