コンテンツ

2022/07/16

  • 校長より

「本日は終業式—変化を受け入れ活動を軌道に乗せた1学期を次へ…」(2022/07/16)

 雨降る土曜日、校地のあちこちで山百合の花が白く大きく沢山の花をつけています。

 今日は中学校の1学期終業式。このところのコロナ感染者数爆増・第7波は、本校でも複数の陽性者報告に繋がり、残念ながら本日は大ホールに集まらずに、教室でzoomによる終業式となりました。6月の3年東北校外授業をはじめ、沢山のことに挑戦できた1学期でしたので、締めくくりの式がオンラインになったのは残念ですが、来週から1・2年生が4期に分かれて軽井沢三泉寮に出かけますので、その無事を祈って臨機応変の措置をとった次第です。

 私はお話の最後、生徒たちに夏休みの宿題を出しました。それは「私はこの世界の中で、何を大切にして、どのような役割を果たしながら、生きていきたいのか」を考える宿題です。6月に「日本女子大学ダイバーシティ宣言」が出され、多様な存在をお互いに認め、お互いの能力を引き出せる世界を共に創る意志が示されました。生徒たちに「世界が今大きな混沌と混乱を抱えているからこそ、中学生のあなたはこれからどんな人になってどんな社会を作るために活躍したいかを考えてほしい」と話しました。楽しい夏休み、心をゆっくりさせる夏休みに、時々でいいので「広い世界と自分について」思いを巡らせる本校生徒であってほしいと願います。同じくZoomで生徒会総務議長は、生徒会基本方針「ENTRY」を紐解きながら、「各学年新しい変化を受け入れ、活動を軌道に乗せた1学期」とまとめて「話し合うことの重要性」を「話し合いは聞き合うことです」と実感を語りました。本当に頼もしいスピーチでした。

 式後に、待望の謹呈本が届きました。本校の国語教育を取材した石井光太氏のルポルタージュ本。100周年を迎えた文芸春秋社から出版された『ルポ 誰が国語力を殺すのか』という刺激的なタイトル。子どもたちの自己肯定感と国語力の密接な繋がりを痛感してきた作家・石井光太氏が、生きる力の根幹ともいえる国語力をめぐる問題について教育現場を取材し、考察した教育ノンフィクション作品です。縁あって本校にも取材にいらしたことや本の出版に先駆け雑誌「オール讀物7月号」の一部先行掲載のことは、既に「生活レポート」でお知らせしました。
 今日開いた本の序章に、インタビューに応えた私の言葉が載っていました。「国語力は、学問だけでなく、人間が生きていく上であらゆることの基盤となる力だと思っています。見知らぬ世界を我がこととして想像し、他者の心のひだまでを感じ取り、自分の考えを整理し、相手につたわるように適切な言葉で発信していく。それは人間が広い社会の中で独り立ちして生きていくために必要な全人的な能力なのです。この力をつけることは健全な社会を築くことであり、逆にそれが弱まってしまえば社会全体が不健全なものにもなりかねないのではないでしょうか」・・・長い引用になりましたが、私がここで語った「国語力」は、本校の場合、国語の授業・教科だけが担っているのではなく、学校中のあらゆる場面で教員挙って、機をとらえ育てている力であると、校長として自負しています。
 生徒一人ひとりの夏休みの安全と健康、充実した生活を心から願っています。

 校長 椎野 秀子
  • 教室からオンライン終業式
    教室からオンライン終業式
  • 石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』、オール讀物
    石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』、オール讀物