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2022/05/24

  • 校長より

「実感して学ぶ!鎌倉校外授業」(2022/05/24)

 中間テストが終わった5月21日土曜日、2年生有志40余名と共に、社会科鎌倉校外授業に参加しました。国語科の私の定期テスト後は、長年生徒達の文字が黒々と書き込まれた答案の採点に格闘する日々だったので、参加する機会がほとんどなくほぼ初めての鎌倉校外授業、出かける前からウキウキしていました。
 小田急線に乗っている間は車窓が白くなる程降っていた雨も上がり、北鎌倉駅に着いてからは鎌倉駅解散まで、持参の長傘が邪魔になる幸運でした。雨だったせいか人出も思ったより少なく、何より雨上がりの新緑の輝きと澄んだ空気、古都鎌倉の静寂を清々しく味わう半日となりました。
 北鎌倉駅前から3グループに分かれ、円覚寺へ。境内をJRの線路が通り踏切が門の正面にあること、北条家の家紋三つ鱗について、悟りを開いた完全無欠の存在である如来様を頂点とする仏様の格付け、そして開山・開祖の意味等々、15人弱で社会科の先生の説明を聞きながら、奥へと上っていきます。途中の説明看板を必死で写そうとする生徒には、それはネットで調べればすぐ出てくるから、それより実物を見ようよとも先生から声がかかります。奥の舎利殿を小さな門から覗き見た後で、中腹の建物の中に上がり、大方丈の間の回廊の暗がりから明るい庭の池を眺めた時の美しさは格別でした。禅寺円覚寺の静寂を、池の水面を眺めながらしみじみ味わう時間。心を見つめる時間を日頃「黙思」という形で実践している生徒達、一緒にこの庭を眺めながら、静けさを共にし、心を落ち着かせる円覚寺での尊い一時でした。
 そして鎌倉校外授業と言えば、切通し。鎌倉の「外」から、この亀ケ谷坂切通しを抜けていざ鎌倉の「内」へ入っていきます。鎌倉の地形、三方を山に一方を海に囲まれ、敵から攻撃を防ぎやすい天然の要塞、その出入り口である切通しを実際に歩いて越える。途中iPadに入れた地形図で激しい高低差を確かめたり、切通しの斜面に断層を発見して、これは正断層か逆断層かの質問が飛んだりと、本校らしいマニアックな面白旅にのめり込む生徒達。なぜそれが逆断層と言えるのか分からなかった私に、生徒がしっかり理科の知識で説明してくれました。
 ところで、私は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を毎週観ています。佐藤浩市演ずる上総介広常が非業の死を遂げた晩は上総介の無念に胸が締め付けられ眠れなかった程で、ドラマを観てこんな気持ちになるのは本当に久しぶり。そして切通しを歩いた翌晩の「鎌倉殿の13人」では、菅田将暉演ずる源九郎判官義経が、奥州平泉で最期を遂げるその前に、小栗旬演じる北条義時に、自分が練りに練った鎌倉攻めの秘策を語ります。海から鎌倉に入って各切通しを塞ぎ、火を放つ!そうなれば天然の要塞に阻まれた鎌倉は火の海、あえなく滅びた…はず。昨日歩いた雨上がりの切通しの暗がりの実感が迫ってきて、九郎義経の圧巻の言葉を生々しく受け止めました。実際に訪れ実感したからこそのドラマ鑑賞となりました。
 一気に観光客の増えた鶴岡八幡宮をたっぷり学んで、参道「段葛」の工夫を実感しながら鎌倉駅にて解散。鎌倉校外授業の面白さを味わった今、早くも東北校外授業で訪れる平泉奥州藤原氏を偲ぶ旅が楽しみになった2年生でしょう。実感してこその学びをこれからも大切にする本校です。

 校長 椎野 秀子
  • 地形を確認しながら切通しを歩きます
    地形を確認しながら切通しを歩きます
  • 鶴岡八幡宮で記念撮影
    鶴岡八幡宮で記念撮影