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2021/09/04

  • 校長より

オンライン始業式「2学期を始めねばなりません、決意を持って!」(9月4日)

今日は2学期の始業式でした。登校は叶わずオンライン始業式となってしまいましたが、お家でセーラー服を着て式に臨んでいる生徒達のマスクをしない顔顔顔に出会え、久しぶりに一人一人に語っている気分で話せました。まず、夏休み中の嬉しい報告を2つ。①TOEFLjuniorのテストで見事ゴールドランクを2名の生徒が獲得したことと②全国中学校水泳競技大会で水泳部の4人が400mフリーリレーで7位入賞を果たしたことです。いずれも意欲を持って努力を重ねたからこその素晴らしい成果、本当に誇らしいです。
 
そして話のテーマは、①2学期は新型コロナ感染拡大で大変厳しい現状の中、学校生活に取り組んでいく覚悟を改めて確認することと、②アフガニスタンの厳しい情勢下、今まで本学園がアフガニスタンの女子教育援助に関わってきた内容と中学生として国際理解について考えることでした。世界中が新型コロナウイルス、COVID-19感染症との厳しい戦いに挑んでいる最中、私たちも正にその最中ですが、この人類の苦しい戦いの中にあっても自分たちの日常事にだけ終始してしまわずに、なお、戦争や紛争の不条理と生まれた国による不公平さについても正しく理解しようとする、国際社会に貢献する存在になってほしいと願います。そんな生徒が育つ学校だと思っています。
そうこう話すうちに予定時間はなくなり、紹介した新刊本『雲を紡ぐ』(伊吹有喜著、文芸春秋)のことはそこそこに、私の話は終わりました。その続きをここでしたいと思います。親子三代の心の糸を紡ぐ物語。沢山の人と繋がり生きていく中で、自分は何を大切に思っていて、自分という存在をどう認め、どう自分の生き方を育てていけばいいのか、そんなことを考える物語です。優しくも力強い物語です。物語の舞台の一つは岩手県盛岡ですが、岩手県は2年生が訪れる東北校外授業でも馴染み深い土地。1年生が2学期の国語で学ぶ『銀河鉄道の夜』はじめ宮澤賢治作品も作中に散りばめられ、主人公達の心を支えます。「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう」と問いかけ「どこまでもどこまでも、一緒に行こう」という決意表明。「言はで思ふぞ、言ふにまされる」という岩手県名の由来ともなる「思う」気持ち。自分に問いかけ、急がずに考えて納得し、決意することの強さを、私たちも学びたいと思いました。
 
生きていく私たちに文学が与えてくれる力、励ましてくれる力。私は夏休み中に1年生のロイロノートに送られている「読書報告私のお気に入りの3冊紹介」を傍らで楽しく眺めました。本表紙のカラフルな写真カードに続けて語られている紹介文は、きっとこの夏、その本を読んでそれを綴った1年生に力を与えてくれたことでしょう。自分が自由に選びとった本に、何を感じたのか、そこにその人の今がきっと表れています。
生徒の皆さん、これから始める2学期を、小さな選択や決意を積み重ねながら、自分を慈しみ少しずつ少しずつ育てていく毎日にしていこうではありませんか。皆さんの一人一人の心の成長と心身の健康を心から願っています。
 
校長  椎野秀子
  • オンライン始業式のようす
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  • 『雲を紡ぐ』
    『雲を紡ぐ』