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2021/06/11

  • 校長より

読書会の楽しさ「読み込むこと、話し合うこと、共感すること」(6月11日号)

6月は3学年共に、読書週間・読書会の月です。各学年の図書委員たちが4月から集まり学年全員で読む読書会の本を選び、当日を含めた企画進行を担います。

今年の本は、1年生・あさのあつこ著『一年四組の窓から』、2年生・赤川次郎著『ふたり』、そして3年生・村上春樹著『沈黙』に決まりました。既に本は配られ、図書委員の提示した話し合いのテーマを心に留めながら読書している生徒たちです。来週再来週にかけて授業時間にクラスやグループの読書会を展開していきます。その時間が実り多いものとなるよう図書委員は、話し合いのテーマはもちろん、グループ分けやプリント作り等こまごまとした準備を丁寧に重ねています。

私は数年前『一年四組の窓から』を初めて読んだ時、「話し合うなら、この本!」と心に稲妻が光ったものでした。それを1年図書委員が選び、様々な人間関係について話し合うと聞き嬉しいです。中学生になるということは、今までより多くの人間関係の網目に絡まりながら、時に心を悩ませ自分の言動を決めていくということです。その苦労にまだ直面していない人も、読書の中で話し合いの中で、学んでいくことでしょう。
『ふたり』は、大林監督の映画にもなった温かく懐かしい作品。2年生図書委員は王道の青春ファンタジー2作『カラフル』とこれを最終選考して決めたそうです。頼り切っていた姉を亡くした妹、主人公の「心の成長」にスポットを当てて話し合う計画ですね。きっと2年生ならではの楽しい話し合いが深まることでしょう。
3年生の『沈黙』は私にとって思い入れの深い作品で、何度も授業で取り上げました。村上春樹の体験が素であり、村上作品の抱えているテーマの一つでもあり、後年の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』にも繋がります。学校という社会で起きてしまう力の支配の問題を超えて、個人が社会的支配から逃れ自分を生きることはできるのか・・と思索は深くなります。3年生よ、読書会で大いに思考し、大いに語ってください!読書会こそ、話し合うことで作品やお互いの考えに共感する、本校らしい行事なのですから。

校長  椎野秀子

  • 図書委員の話し合い
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  • 各学年の本
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