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2020/12/08

  • 教員リレーエッセイ

【12月】日々新しく、本校らしく

「こんな夢をみた。」
「こんな夢をみた。」

「去年(こぞ)今年 貫く棒の 如きもの」

高浜虚子


気が早いと分かりつつ新年の句を今の思いとして挙げました。年が改まる毎に私達は気持ちを新たに、新しい自分に挑戦しようと決意します。その一方で、貫く棒のごとく変わらずにあるものを確かめ、安心と自負を抱きます。このせめぎ合いの中で、人は年を重ね、変わらぬ自分らしさを培っていくのでしょう。そしてそれは、学校とて同じ。

3年生で初担当となった74回生と初教材『夢十夜』を11月の授業で学びました。「『夢十夜』を是非一緒にやりましょう!」と美術科の先生からコラボ授業を提案頂き、司書教諭の先生にレファレンスも頂き準備を始めました。本校では1年生で漱石作品『坊っちゃん』を一冊扱うので、長い教員生活でも初めての『夢十夜』、しかも曜日の関係で授業はたったの2回。それでも十夜全編を読んでほしいし、授業ではエッセンスとなる三つに絞って掘り下げていこう、美術作品だけでなく国語でも夢語り創作文を作品にしたい。授業の夢は貪欲に広がりました。

そして、この挑戦に3年生は見事に応えてくれました。「第一夜」の授業終盤で起こった感嘆のどよめき、「第六夜」で明治の知識人漱石の自負と憂いと警告について考えた時間の真剣な眼差し、嬉しかったです。期末テストの記述問題も考え深めた作品論で読み応えがありました。そして昨日は「わたしの夢十夜」提出日、早速掲示した作品たちで廊下が華やかになりました。凝って撮影した写真を添える力作揃い、これから皆で読みあいましょうね。振り返って初『夢十夜』、楽しかった!
3年生の皆さん、3学期はいよいよ美術『夢十夜』石膏刷り版画制作ですね。そして私の授業は「深夜特急」(沢木耕太郎)、今度は社会科とのコラボ授業になります。お楽しみに。

日々是新しく、もちろん、貫く棒の如きものを大切に、本校らしく「生徒の力」を信じて。

国語科 椎野