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2019/06/18

  • 教員リレーエッセイ

【6月】読書会の一コマから

読書会(クラス会)
読書会(クラス会)

今年も春の読書週間がやってきた。この時期、三学年とも学年単位で読書会を開くことが恒例となっている。
私が担当する二年生は、朝井リョウの『桐島、部活やめるってよ』を課題図書にすることが決まった。普段の学校生活、とりわけ部活動を中心とした内容は、今の自分の学校生活に重ね合わせ、また、来るべき高校生活に思いを馳せることができるものだ。
私が見ていたクラスでは、様々な登場人物の生き方から、「人に流される」ということに対してどう思うかという話題になった。そのとき印象的だったのは、ついありがちな「人に流される」のは悪いことで、自分の意見をしっかり持つべきだという意見に偏らなかったことであった。状況によっては人に流されざるを得ないこともあるという意見や、何も考えずに周りの人と同じことをするのは問題だが、考えた末に周囲と同じ行動をするなら、「流される」ということにはならないのではないかという意見などなど。一つの行為を善か悪かで分けてしまうことや、最初から「あるべき姿」を結論とはしないで、自らの視点から考えた意見が多く出されていた。
中学校生活も二年目に入ると、納得のいく成功体験もするし、思いもよらぬ失敗も経験する。その年齢相応の悩みも増えてくる。しかしその一方で、友人の喜びや悲しみを共感し、思いやる心も急激に育ってくる。
読書会の中の小さな一場面であるが、一年間の中学校生活を経て、様々な角度から物事を考える生徒の姿勢に頼もしさを覚えた。これから年々生活領域が広がっていく中で、さらに様々な経験をし、広い視野を持てるようになることを切に願っている。

国語科  鈴木