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2020/01/16
- 教員リレーエッセイ
【1月】「ムーミン」が教えてくれる「自由」

明けましておめでとうございます。本年の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
昨年は「自由」を求める人々のニュースが多く目にとまりました。未来を憂う香港の若者たち、自分らしくあることの自由を求める動き、年末には「自由」を求めて日本を脱出した人もいました。本校でも「自由」であることをとても大切に考えています。でも、いったい「自由」とはどういうことなのでしょう?
その答えの1つは、小説「ムーミン谷の仲間たち」にある「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」という物語にあります。フィリフヨンカは昔からのしきたりや秩序にこだわる生き物です。細かい物が好きで、家の中を清潔に保ち、家具や食器を大切に整えています。でも一方で世界のおわりが来て、自分の大切にしている物を失うことへの漠然とした不安にいつもおびえています。ある日、ものすごい嵐と竜巻がやってきて、フィリフヨンカが大切にしていた家ごと吹き飛ばしてしまいます。その自然の圧倒的なパワーを見て彼女は嘆くどころか、「なんてうつくしいこの世の終わりなんでしょう!これで私は自由よ!」といいます。自分の価値観や「こうでなくてはならない」というしがらみから解放され、何かを失う不安からも自由になったのです。自分を不自由にしているのは、案外自分自身かもしれません。未来を担う中学生の皆さんには、自然に囲まれた本校の環境の中で、何物にもとらわれない精神の「自由」を味わってほしいと願っています。
英語科 本木