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2022/07/20

  • 校長より

「八(はち)セミ」と「軽(かる)セミ」 ~ 2つの討議セミナー ~

  • 大学校舎を利用した「八セミ」
  • 「八セミ」小討論
  • 「八セミ」全体討議
  • 「軽セミ」大樅の樹の下で
  • 「軽セミ」大樅を囲んで
  • 「軽セミ」三泉寮での特別授業

暑中お見舞い申し上げます。生徒達が夏季休業に入った7月後半、生田の森には油蝉の大合唱が響き渡り、本格的な夏の到来を実感します。

本校では、1年生から3年生までの有志生徒が集う「高校生活研究セミナー」(八王子の大学セミナーハウスに宿泊)と、2年生全員が参加する「軽井沢セミナー」(軽井沢三泉寮に宿泊)という二つの討議セミナーを実施しています。生徒達から、前者は「八(はち)セミ」、後者は「軽(かる)セミ」と呼ばれ、親しまれている行事です。本日は、6月下旬から7月上旬にかけて行われたこれらの討議セミナーの様子をご紹介します。


「高校生活研究セミナ— in 西生田」(Spring Discussion)
春と秋、本校では、八王子にある公益財団法人運営の大学セミナーハウスで「高校生活研究セミナー」(1泊2日の討議セミナー)を開催しています。今年度春のセミナーは6月24日・25日、宿泊はせず、西生田キャンパスの大学校舎を利用して実施しました。

1日目は「小討論」 ——— 6つのテーマ(将来、進路・進学、学校生活、人間関係、SNSの中の世界、ウクライナから見る平和問題)に分かれての話し合い ——— 、2日目は「全体討議」 ——— 参加者全員でレクリエーションを行って交流を深めた後、丸く輪になって「高校生活について~充実した高校生活を送るには~」というテーマでの討論会 ——— を行いました。学年を超えたディスカッションを通して、生徒達は自分の主張をした上で、相手の意見も聞きとり、考えを深めていきます。最初は遠慮したり躊躇いがちであった生徒も、話しやすい雰囲気の中、自ら手を挙げて発言し自信をつけていく姿、真剣にこれからを考えている姿へと変化を遂げていきます。短い時間の中でぐんぐんと成長していく生徒達の様子に、一緒にいるこちらが励まされ、元気をもらう瞬間です。後日、参加者の声も含めての資料(まとめ)が全校に向けて配付され、「また参加したい」と回答している生徒が大変多かったことも嬉しいことでした。


「プロローグ~いざ、軽井沢~」
 9月上旬、2泊3日で行う「軽井沢セミナー」は、高校生活の折り返し地点に立つ2年生が自らを振り返り、将来に向けて大志を抱くきっかけとなる重要な教育活動です。今年度、コロナ禍の収束が見通せなかったため、宿泊して寮生活を送ることは断念しましたが、本学園の「聖地」へ3年ぶりに赴くことができました。

7月5日・6日、2年生は4クラスずつに分かれて、日帰りで軽井沢にある本学園の寮舎・三泉寮を訪れました。創立者成瀬仁蔵は、1901年日本女子大学校創立後、1906年に、長野県軽井沢に、夏の寮を開設しました。「三泉寮」と名づけられたこの寮(「健康の泉」「智識の泉」「心霊の泉」の三泉を汲むことを願った創立者の思いが込められた命名と言われています)は、日本の高等教育機関で最も歴史のある「夏季寮」と言われています。

三泉寮の奥、緑豊かな小高い丘の上にそびえ立つ樹齢千年以上と言われている大樅の樹も、本校にとって大切な存在です。かつてこの樹の下で、創立者成瀬仁蔵やインドの詩聖タゴールも瞑想し、学生達への講義を行いました。
今回、生徒達は、大樅の樹の下で学年主任教員の話を聞いて心を落ち着けた後、大樅の幹に手を触れたり、その周りを皆で囲んだりしていました。風雪を耐え忍んで大自然の中に凛と佇む姿を見て、学園に脈々と流れている伝統の意味を実感した生徒も多かったようです。また新しい試みとして、実社会で活躍する卒業生を招いての特別授業を行いました。男女雇用機会均等法施行以降、時代が少しずつ切り拓かれていく最先端を歩み、現在管理職として活躍している卒業生から熱いエールを送ってもらい、生徒達は選択の連続である長い人生について、より一層考えを深めるきっかけとなったようです。9月に行う「軽井沢セミナー in 西生田」での討議が楽しみです。
 

新たな試みを始める時、問題が生じた時、そして関心あるテーマについて掘り下げたい時、生徒達自身が徹底的に話し合う文化が、本校にはあります。高校生の日常は時に複雑で、上手くいくことばかりではありません。不安に苛まれ、途方に暮れる日々もあります。それでも諦めず、懸命に真摯に意見を述べ合い、自分の道を拓いていく生徒達 ——— 言葉を尽くして話し合うことを大切に、今後益々成長していくことを楽しみにしています。

校長 薄 由美